2021.06.05:土曜日

 
 

 
 
この度の、はんまけいこさんの展覧会「はんまけいこ 南の島のものがたり vol.3」は、現在のコロナ状況のため、沖縄小浜島からはいらっしゃることができず、ご本人が不在のまま開催されました。
離島に生活されるはんまさんが今回東京にいらっしゃる事は、東京の状況を鑑みた地元の方々の感覚からも不可能だったと容易に想像されます。
はんまさんご自身も、また人々の心を明るく導いて下さる力のあるはんまさんにお会いする事を楽しみにしていらしたファンの皆様も、本当に残念だったと思います。多くの方々からそのような言葉を聞きました。
そのような状況でもはんまさんの人気は変わらず、大人気の個展でした。
水彩絵具で描かれる自在なタッチは、ますます技術も磨かれて、楽しく見応えのある作品になっていると感じます。
ヤギさん達や動物達、人間達にも惜しみなく注がれる、太陽の光や緑の樹々のエネルギー。大自然の恵みを贅沢に浴びながら創作活動に励むはんまさんの生活は、人間のひとつの理想的な生活と思います。
そのような環境から生み出されるはんまさんの作品の数々、陽気で健康的しかも欧風に洗練された画風には、揺るぎない力がみなぎっていて観客の方々にエールを送ります。
人々にとり、失われてしまった「自然」という理想的な生活形態と「都会」社会のサイクルの中をずっと長い期間生きていらっしゃるはんまけいこさん。自然の人であるだけでなく、SNSなどを駆使して以前から都会に住む人々との連携はきっちりと取れています。
小浜島から送られて来るはんまさんからの、空や海や樹々の青さに触れ、その中で暮らす可愛らしいヤギを見、私たちはほっと癒されるひと時を感じることができるのです。
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/hanmakeiko_2021.html

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2021.05.28:金曜日

 
 

 
 
写真家百瀬恒彦氏のポートフォリオを拝見したときに、見慣れたはずのマザーテレサの肖像がありました。
そこには、見たことのない、言葉では表現できないこちらを見つめる眼差しがあり、
この時代にこそ、皆様に見て頂きたい百瀬恒彦さんの作品をと、展覧会を企画させて頂きました。
和紙に乳剤を添付して印画紙を作り暗室でプリントしたもの数点、越前和紙にインクジェットでプリントしたものとで20点ほどを展示致しました。
百瀬さんのメッセージの文章、ぜひご覧下さい!!
 

 
「特別な人」 マザー・テレサ                           
 
仕事柄、女性雑誌を中心に数えきれないほどたくさんの人のポートレートを撮ってきたけれど、そのなかでも僕にとっての「特別な人」がいる。マザー・テレサ。
僕がマザー・テレサと出会ったのは、彼女が亡くなる2年前の1995年2月、インドのコルカタ(カルカッタ)にあるマザーの教会「神の愛の宣教者教会」でだった。このときも雑誌の仕事で、事前に施設などの撮影許可は得ていたのだが、当日、マザーがその教会にいるとはかぎらず、しかも彼女は大の写真嫌いで有名だった。
けれどもその日、ミサにマザー・テレサがどこからともなく、影のようにふっとあらわれた。思ったより小柄な人だった。世界中から集まった人々がどよめくなか、一人ひとりに声をかけながら彼女が僕に近づいてくる。マザーの姿を間近で撮りたいと思った僕は思わず、目の前に来た彼女に「ミサのときの写真を撮らせてください!」と言っていた。一瞬、マザーの人の心を見抜くような鋭い視線に睨まれた。永遠にも思われた時間が経過したあと、マザーの口から出たのは「よいでしょう」という一言だった。
あとで聞くと、マザーがミサで祈る写真を撮ったフォトグラファーはほかにいないのではないかということだった。僕自身、あのときの緊張の一瞬一瞬を思い出すと、いまでも心が震えてくる。
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/momosetsunehiko_2021.html

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2021.05.07:金曜日

 
 

 
 
2014年に、越智香住さんの作品を初めて見せて頂いた時に、何てセンスの良いおしゃれな陶芸なのだろう、と感じたことを思い出しております。
ご自宅の窓際に展示するように置かれた、白いお皿やカップなどの器や小さな家のオブジェは、ハイセンスなインテリア雑誌の1ページのようでした。
ところが、実際の個展では、そのようなおしゃれな陶芸作品やオブジェはギャラリーの一部分での展示に過ぎず、主体となる作品は釉薬などかかってない荒削りとも言えるダイナミックな彫塑作品でした。
まだ宗教や科学、芸術などの境い目が認識されない遥かな時代の、アニミズムやアルカイックといった言葉を想起させられるような、力のある作品群には本当に驚かされました。
そして今年は7度目となる越智さんの個展ですが、ずっと驚かされ続けているのです。
時代の先端を行くインテリアスタイリストのようなセンスと、人の心奥にひそむ魂を掴みとる力とを併せ持つからこそ、多くのファンの方々の気持ちを捉えて離さないのでしょう。
越智さんの作品の中で、日常世界から少し超えた意識の感じられる「祈りの世界」、また、逆に「呪術的な世界観」、そして普段の我々の世界にそのまま存在する無邪気な犬や猫などの作品・・・・。
それらが全部矛盾することなく、越智さんの作品世界として展示され、訪れた方々の目を楽しませてくれました。
昨年は、コロナ禍のため、個展中止を余儀なくされてしまい、ファンの方々をがっかりさせてしまいましたが、今年は昨年の分のエネルギーも込めて、そして数量的にも多くの作品を展示下さいました。
2022年も同じ時期に個展開催を予定させて頂いておりますが、少しでも穏やかな世界になっておりますように・・・。
思わず、越智さんの作品に願いを込めてしまいます!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/ochikasumi2021.html

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2021.04.27:火曜日

 
 

 
 
アベヨシコさんの作品は「quatre chambres Ⅱ -4つの部屋-」というタイトルのように4つの描き方に分かれています。シルクスクリーン、油絵、立体、ミクストメディア、と見応えがたっぷりです。
アベさんは、感じ取った景色や気配を、素早く色彩に、そして形へと画面に乗せて、ひとつの作品を創り上げます。アベさんの感覚によって瞬間的に捉えられた、生活空間の中でのモチーフたちが可愛らしく軽やかに作品として誕生し続けます。
技法は違っても、矛盾する事なくどれもアベさんの世界観であり、言葉では現しきれない美術的なエネルギーがほとばしるように伝わって参ります。
小さな油彩画たちは、ポップな軽やかな楽しさがいっぱいです。
平面作品のコラージュ、またマットなタッチに着彩された紙の立体オブジェを混えたコラージュ作品も、今回の展覧会では、白いボックス型の額の中でエネルギーを放っておりました。
具象、抽象、折り混ぜながら自由な表現形態で描き続けるアベヨシコさんの、湧き出でるクリエイティビティーは、驚くべきパワーで息づき続けております。
アベヨシコさんの作品制作にはスピード感があり、そのため作品の分量もたいへんな数がありましたが、今回の個展会場では先述の4つのカテゴリーに分けられて、見易くメリハリのあるレイアウトで展示されました。
瞬間的な勢いを必要とする作品を描く作家さんの場合、その方自身の調子の波があって、タイミング的にその感覚を掴んで創作に臨む、という事を良く聞きますが、アベさんは何時どんな時でも安定していて、調子の波はないそうなのです!
豊かなエネルギーいっぱいのアベヨシコさん、未来を感じさせる、これから生れる作品たちを見るのが本当に楽しみです。
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/yoshiko-abe-2.html

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2021.04.16:金曜日

 
 

 
 
あだちのりふみさんの「にこまんが2」、一見ゆるやかなキャラクターが登場してニンマリとした笑いを誘いますが、悩めるキャラクター君たちは自分自身へと淡い哲学的命題を投げかけます。                                 
二コマに分けられ物語が紡がれた規則正しいスペースからは、長年培われた揺るぎのない作者のアートディレクターとしての力量が生きていることが感じられますが、全編にわたり、二つの抽象的なものたちに引き裂かれているキャラクターの悲喜劇が展開されているようです!                                   主人公は、実際に身体がふたつに裂けてその後身体が戻って来たり、投げかけた命題に対して、納得したり答えは先送りしたりと忙しい。                                    まんが画面の中で主人公が呟く疑問符は、二律背反として矛盾状態のまま提示されているのか、パラドックスとして帰結されるものなのか渾然としており、観る者を困惑させます。まるで悩めるあだちさんの個性そのもののように・・・。                       
そして、あだちさんは、そんなご自分の在り方を実は楽しまれているのではないかと思っています。
 
 
■2回目の「にこまんが展」について■
 
初日に来ていただいたお客様に、かつてデザインの仕事でイラストをお願いした方に、 35年ぶりにお会いしました。
 
その方曰く、「これってパントマイムですね・・・」
 
その方は昔パントマイマー経験があり、にこまんがは同じ(似てる)考え方だという。 パントマイムは動き(テーマ)の始まりと終わりがあって、 その間をつなぎの(面白い)動作で埋めていく過程が、同じ(似てる)といった事らしい。
 
確かに「にこまんが」は動きの間でもある・・・
 
または、映像の作りにも当てはまる、例えば、パン (Pan) は、映像の撮影技法の一つ で、
カメラを固定したまま、フレーミングを水平方向や垂直方向に移動させる技術。
 
にこまんがで描いてきた「間」は、気分や感覚だと思ってたが、動きや、瞬間でもあっ
た事に今回改めて気づかされました。
 
言葉の「間」、絵の「間」、時間の「間」、瞬間という「間」、永遠という「間」・・・
 
またしばらくは、この「間」というものを、追求していこうかな・・・とも思ってます。
 
2021年4月10日 足立紀史
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/adachi2021.html

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2021.04.09:金曜日

 
 

 
 
白の器は、どんな家にもレストランにも、普通に何気なく、また様々な佇まいで存在しております。ツルツルした表面のシンプルな物、工夫を凝らした工芸的なお皿、私の家にも色々な表情をした白い器があります!
そんな中で、高橋春夫さんの器の出番はほとんど毎日のように忙しく働いて下さいます。まず、形が自然で美しくて、表面の風合いに独特の味わい深さがあり、何と言っても使い勝手が素晴らしいのです。自分の作る大したことない料理でもおしゃれなご馳走に見えて嬉しくなります。
今年は、黒い色の器も沢山登場し、新しいセンスが加わりました。
今回、何故か黒のマグカップでお味噌汁が頂きたくなりました。この無意識の好奇心は自分でも使うまで分からなかったのですが、形のバランスがお椀的だったこと、そして黒のエナメル質の感じが漆っぽかったからだった様です。使っていて、何だかとても楽しいのです!
こんな風に日常的に何気なく登場する高橋さんの食器を使う楽しい時間を、皆さんにも味わって頂きたいな、と心から思います!
 
 
高橋春夫さんの器は白くて台に置いてディスプレーする作品ばかりです。それにいつも比較的作品の分量が少なくて、視力の弱い方(自分もです)が外からギャラリーを見ますと、時々空っぽの空間に見えることがあります。
そこで、以前から素敵な銅版画を制作していらっしゃる山田ミヤさんに高橋さんとの二人展をお願い致しました。
高橋さんと山田さんは、全くお互いを知らない同士ですが、作品の相性は本当に良くて、おかげ様でとても素敵な展覧会を開催することができました。
山田さんの銅版画は二色刷りの方法で創られていて、その二つの色の掛け合わせた部分とそれぞれの色の部分のバランスがとても美しく感じられます。
繊細な線描を、二色に分けた”刷り”で全体の色彩表現をされていて、制作にはたいへんな集中力が必要と思われます。同じ版の版画でも、二度と同じ作品はできないそうです!
そして、花々や小鳥たちをグラフィカルな構成で表現された作品は、思わずお部屋に飾りたくなります。
来年も同じ時期に二人展を開催させて頂く予定ですので、是非皆様にご覧頂きたいです!
 
 

 
 

 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/takahashi_yamada.html

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2021.04.05:月曜日

 
 

 
 
DMのための画像が送られて来た時に、そのアマリリスの花の絵を見て、民野さんの心境の素敵な変化を感じました。
札幌から民野さんがいらして、搬入が終えた後、その疑問をストレートに伺ってみました。民野さんのお話によると、湖の見える道東にある民野さんの知人の小さな家にアトリエ替わりに数日滞在した時の事、窓から見える緑の木々を描いていて、急に絵の描き方が自由なものになった感覚を掴まれたとのことです。作品画面と筆の触れ合う中で、絵の具の用い方が今までの方法に捕われなくなったのだそうです。
約30年の間、ほとんど毎年個展を開催して下さる民野さんですが、時々新たな貌を見せて下さいます。
私がギャラリーを始めた理由は、「自由」というキーワードに尽きるような気が致します。背景に節度を持った自由である事は述べるまでもありませんが、表現する事においてのカテゴライズやスタイルから解き放たれたギャラリーにしたかったのです。
そして時代は、どんどん変わっていきますから、ギャラリーの在り方、絵画やイラストレーションもクオリティーは揺るがないものでありながらも、メディアと共に歩んで行く方向にしよう、と考えていました。絵画も彫塑も純粋な美術ですが、システムをイラストレーションのようにメディアに乗せ、広げていくべきと思っていました。
時節や流行や、また逆にマンネリズム的方向からの影響から離れて、言葉や他のどんな方法でも表せない表現としてのヴィジュアライズされた作品が素敵だな、と感じます。
民野さんを始めとしてそんな風に思っているクリエーターは案外大勢いて、彼らはとても自由です。
でも、そういった作家たちと一緒に仕事をし、広げて行く事に携わるメディアやお仕事の関係の方々の中には、本質的なものとは関係のない様々なファクターから離れられず、目には見えづらいけれど一番大切な感性を見逃している感覚を時に感じます。
魅力的な大きな力を持った作家さんの作品よりも、気軽に使い易い作品をメディアに掲載する傾向が続いていたら、美術というものの力の持つエネルギーの無駄使いになると思います。
私は、自分のギャラリーを支えている志が間違ったものなのかも知れないと悩んだ時期もありましたが、民野さんのような作家さんの作品、そして温かな気持にさせられる作家さん自身とギャラリーとの絆を考えますと、決して間違っていなかったと今では思えるのです。
そして、現在では作家がSNSを駆使し、自身もメディアを持つ時代となりましたが、彼らはその分野ではプロフェッショナルではありません。素晴らしい雑誌や書籍や広告関連のお仕事に携わる方々には、素人メディアの方々に負けない、充実のお仕事、期待しております。
親しさに甘え、民野さんの展示についてのページを借りて私事を述べてしまいましたが、民野さんご自身はずっと理想的な形でのお仕事を続けられ、カミユやサルトルの著書の翻訳物の装幀、トルーマンカポーティや現代作家の表紙も飾ります。何と言っても一番印象的なお仕事は、「わたしを離さないで」=カズオ・イシグロの表紙のイラストレーションです。昨年惜しくも亡くなられたアートディレクターの坂川栄治さんが来られて、打ち合わせをされていた情景が今も目に浮かびます。
毎年、民野さんの個展が近くなるにつれ、多くの民野さんファンの方が感じていらっしゃるに違いない、懐かしく温かなものが心に宿ります。
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/tamino-hiroyuki-2.html

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2021.03.24:水曜日

 
 

 
 
2012年3月に初めて開催して頂いた、小池アミイゴ個展「東日本」。
未曾有の災害に罹災した方々に対して、今でも語るべき言葉が見つけられずにおります。
そのような時に画廊の仕事として出来ることの最も大事な試みが、小池アミイゴさんの個展を開催する事だったと思います。
被災地に行き、人々と行動を共にし、絵を描き、文を書き、子供たちとワークショップをする、それらの行動の全てがアミイゴさんの心の底からのクリエイティブな営為と感じます。
2021年の今回の個展「東日本」は震災10年目となる特別な展示でしたが、大変な経験をされた方々への共感の思いは元より、数々の活動を通して感じられる、健康なまた障害のある全ての子供たちへの優しい眼差しは、アミイゴさんのDNAに組み込まれたものという彼の真髄に改めて触れさせて頂きました。
今回は、空気感が本当に美しい新作絵本「はるのひ」を上梓するにあたって、ご苦労をされた様子なども含め、アミイゴさんに文章をお寄せ頂きました。
 

 
2012年3月の開催から6回目の開催となった個展「東日本」、3月17日に無事に9日間の会期を閉じることができました。

コロナの状況の中、お気遣い頂いた上でお運びくださいました皆様、ありがとうございました!

お運び頂いた方と絵を前に語り合う言葉は、ボクが次に何をするべきかのインスピレーションに溢れていて、1人ひとりと向き合う時間がほんと愛しかったです。

そうした会話からは、「東日本」というタイトルで10年やって来た意味に気づくことも多かったです。

今回は「はるのひ」という絵本を上梓した直後ということもあり、その原画も数点展示してみました。

「はるのひ」は、お話をいただいてから仕上がるまで3年3ヶ月かかった絵本で、小さな男の子がお父さんと声掛けあいながら走ってゆく、小さな冒険の物語です。

10年前の震災や原発事故、その後も度々起きた自然災害、そしてコロナの感染拡大という時代の中、日本の各地でお会いする人たちの暮らしに触れ、子どもたちが育ってゆく上で必要とされる、親子関係の原風景みたいなものが創れたらいいなと願いました。

ただ、それは頭で考える物語では無く、身体で覚え表現するようなことだろうなと。

それがどういうことか深く考えること無く、物語のプロットだけを頼りに旅に出てしまい、行く先々で出会う風景や人、足の裏や肌から感じるものによって、世界観を構築していったのは、2011年3月11日以降描いてきた絵のあり方と重なります。
そんなやり方だから、この物語が「春」を舞台としていることに気がついた時、そして、主役の少年に「こと」という名前をつけた時の2回、すべての絵を描き直しました。
さらには、少年の指先の角度をちょっとだけ修正しようとしたら、結局その他99パーセントの画面全てを描きなおすなんてことを、場面によっては20回くらい繰り返した絵もありました。

3年3ヶ月の間には、ご縁を頂き歩いた奥会津や塩竈、天草や知床、台湾や父を看取った群馬の地でも、自分の足で歩き回り、多くのインスピレーションを手にし、作品に色彩や構図、キャラクターに落とし込んでゆきました。が、その都度「ちがうー!」と心で叫び。何が違うのかわからずまま絵をぶっ潰して…
結果、3年3ヶ月も荒野を彷徨い続けてしまった感じです。

自分はなぜこんな遠回りをして絵本を作らねばならないのか?
制作期間中は分からなかったことが、今回東北を始め日本各地や台湾まで描いた絵と並べてみることで、明快になったように思います。

ボクが子どもたちと共有したいことは、ボクが人との出会いで得た感動が見せてくれる風景を、確信を持って一気に描き切る、そんな心の突き抜けた気持ちの良いもの。

ボクがお邪魔する土地に暮らす人が、普段見ているであろう何気ない風景。その何気なさが美しきものであることで、生かされるものってあるよなあ。それは、あーでもない、こーでもないと筆をためらい描くようなものでは無く、日常をスッと抜ける一陣の風のようなタッチで表現するべきだなあ。
だから、板にアクリル絵の具を何度も描きなおしを繰り返すとしても、それは白い紙に水彩で一気に描き上げた絵のようでありたいと思っていたんだな。
そんな10年目の気づき。

1枚の絵を描き続ける先で、「あ、終わった」とバタっと筆が止まる瞬間があります。

そうして生まれたものは、あらゆる理屈を受け付けず、昔からそこにあったような顔をしています。
もしくは、おおらかな時間の流れを宿しただそこにあるもの。

理屈じゃなくただ存在する。

そうしたものの尊さと儚さと潔さ。

津波で、原発事故で、コロナで、もしくは生きづらいと言われる時代の中で、放っておいては失われてしまいかねない美しきもの。

それを表現するためには、制作にちょっとでも躊躇いを感じたら、全部を描きなおすしかなかったんだなあと。

そこで手を抜いてしまっては、
三陸の凍てつく海でワカメや牡蠣を育てている人や、
天草の灼熱の海で天日干しの塩を作っている人や、
台湾では育てるのが難しいされる梨の栽培に尽力する人や、
もしくは、一杯の珈琲を提供することに人生をかけて取り組む人に、
伝わるものは出来ないということです。

そうしたことがわかっていれば、もっとスムースに描けたのか?
それがわかったことで、これからはもっとスムースに描けるのか?

それはわかりません。

ともかくこの3年数ヶ月は、こうした破壊と再生を繰り返すしか、描くべきものが作れなかったのです。

絵を描くことを続けてきた2021年の春、相変わらず新人のような気持ちでいられることが、良いのかどうかも分からないですが、これからも「わからない人」であることを自覚し、人との愛しき出会いの中で、なにか輝くものを見つけて行けたらいいなと願い、この展覧会も終わりでは無く、次に続くのです。

そう考える先でまたなにか生まれたら、1人ひとりに分け合う気持ちの元、絵のある気持ちの良い空間を創ってゆきますので、その際はまた足を運ばれ、ひと言ふた言の会話を頂けたらうれしく思います。

こうした現場は、もちろんボクひとりでは構築出来ず、丁寧なオーガナイズを与え続けてくれる荒野の並走者 space yui に感謝であります。

2021
0317
アミイゴ
PEACE!!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/koike_amigo.html

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2021.03.15:月曜日

 
 

 
 
藤本巧さんの初めての個展「コレクション」が、たいへん好評のうちに終了致しました。
若々しいモチーフを明るく優しい色彩で表現したイラストレーションの作品画面からは、穏やかな大らかなエネルギーが伝わって参りました。
藤本さんの作品の特徴のひとつに、常に画面の中に可愛らしいキャラクターが参加していて、思わず笑みがこぼれてしまいます。彼らは藤本さんの作品にとってたいへん重要な存在なのかもしれません。
キャラクターたちは、魚やカニ、哺乳動物から人間まで、あらゆる生き物たちが、緩やかにしかし時にはエッジの効いたタッチで登場致します。
そして彼らは画面の中にさり気なく、またナンセンスな感じに佇んでいたり、弱気な者も怒っている感じの者もいたりしながら溶け込み、イラストレーション全体の楽しさをバックアップしています!
顔彩という難しい画材を使って描かれる藤本さんの作品には、冷静に熟考し技法を操作しながらも楽しさ溢れる画面に定着させるための創意が充ちています。
23才という年令でこれだけの完成度を持つ藤本さんの今後がとても楽しみですが、大きな伸び幅の感じられる個性と、作品全体から流れるさり気ない温かさを、たいせつにして頂きたいと切に感じております。
昨年まで、東京工芸大学で谷口広樹さんの教え子だった藤本さんは、ご縁があり当ギャラリーのスタッフでもあります。ギャラリーのお仕事の中でも、彼の誠実さを実感しております。
次回の個展も本当に楽しみです!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/fujimoto_takumi.html

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2021.03.05:金曜日

 
 

 
 
本年も山田博之さんの作品展が無事終了しました。
山田博之さんは、毎年テーマを決めて個展作品を描き上げ、会場全体の雰囲気を作品が醸成する世界観に染め上げられ、訪れた方々を楽しませて下さいます。
2021年個展のテーマは「Cactus:仙人掌」、壮観にさまざまなタイプのサボテンが描かれました。とても絵として映えるモチーフと思います。
作品全体をリアルに表現するタイプの作家さんと思いますが、スーパーリアルな表現に寄せながらも山田さん独自の省略の仕方や繊細に平面上で描き分ける描法などの巧みさ、しかもそれらを全体的にひとつの画面に定着させる画法はひじょうに魅力的で、本当に山田さん独自のものと感心致しております。
また、細密な表現とラフな線のタッチやペインティングと組み合わせたプレゼンテーションも山田さんのオリジナリティーを際立たせていると感じさせられます。今回の展示された作品の中にも、様々な表現によるご自分の作品の部分を切り取り、コラージュした作品が、「Cactus」とはまた別のパワーを放っておりました。
絵を描くという行為自体が、ごく自然に山田さんご自身と一体化していて、どのような作風でも自分のものとしてこなしてしまう、というエネルギッシュな力量は、あまり感じた事のない感慨です。
山田さんの来年の個展テーマを、今から楽しみにしております!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/yamada_hiroyuki2021.html

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