2017.06.06:火曜日
平野恵理子 捨てられなかった小さなものたち

 

 

 

 

デビューから30年を飾る平野恵理子さんの個展「捨てられなかった小さなものたち」が大好評を得て、開催する事ができました。

四年半ぶりの個展開催でしたが、平野恵理子さんの変わらぬ人気を再確認させられました。小さなラベルやマッチ、包装紙、海辺で採集した角の丸いガラス片といったもの等々・・・。平野さんが愛でる作品を拝見していると、ひとつひとつ小さなものの平面デザインの中に込められた愛情に感じ入ってしまい、これからはもう何も捨てられなくなりそうです。

小さなちびた鉛筆一本にしても、考えてみますと、芯の部分はもちろんの事、木質部分や表面の塗装の領域、そしてデザインワーク、と、多くの人々の手を通り私たちの元へとやって参ります。

平野さんの作品を通して、数限りないひとつひとつの「小さなもの」に、多くの人々の手が関わり、様々な思いが込められている事を再認識させられました。

本当にたくさんの方々が、平野さんの温かなものへの接し方から生まれた作品に、シンパシーと感動を覚えていらっしゃった様子がひしひしと感じられました。

大勢のお客様の中には、グラフィック関連のお仕事の方々もたいへん多く、なるほど小さなものたちには全てグラフィックデザインが成されているのだ!と気付かされたのでした。

平野恵理子さんの出発は、まだ小さかった画廊SPACE YUIからでした。可愛らしく学生気分の抜けない若々しい恵理子さんでしたが、瞬く間に、練熟の域の表現力と人々との共感を呼び覚ます創造のエネルギーを以て大活躍される様になり、現在に至っております。

平野恵理子さんの眼差しが、次回はどんなモチーフに向うのか、今から楽しみです。

エッセイストでもある平野さんから文章が届きましたので、以下にご紹介させて頂きます。

◎「捨てない技術」
今回の展覧会で描いたのは、「捨てられなかった」数々の物。
空き缶、紙袋、お菓子の箱やマッチ箱。
どれもふつうは捨てられていく、いってみれば「ゴミ」なのだが、デザインがよかったり素材が魅力的だったりして、捨てられなかった物が我が家にはたくさんある。
納戸いっぱいに、ギュウギュウに。

 

こんなにうずたかくあれこれ溜め込んでいると、いつかこの納戸で大怪我をするのではないか。
不安な日々だが、すぐに捨てるなんてできない。
どれもいとおしい長年のコレクションなのだ。
そうだ、いつか描きたいと思っていたが、今回の個展をいい機会に、これらの物を徹底的に絵に描こう。
絵に描いたら、案外もう気がすんで、処分できるかもしれない。
そんな色気も多少はあった。
だが、机の前にひとつずつ連れて来てはじっくり見ながら描いていたら、とてもではないが捨てるなんてできるはずもない。
ますます愛が深まって、すべてはまた元の納戸へバック・アゲイン。
今回の作品を見てくれた方がいみじくもおっしゃったお言葉。
「捨てるのは一瞬、後悔は一生よ」
天啓のようにこのお言葉を受けとめた。
そうだ、捨てなくたっていいんだ。
安心して、堂々と、これからもゴミ、ノーノー、宝物を大切にとっておこうと思う。
今回の個展で、これから会得すべきことがらを見つけた。
それは、「捨てない技術」。
平野恵理子 2017年6月10日

http://spaceyui.com/schedule/hirano-eriko_17.html

ページトップへ

Copyright © 2020 space yui All Rights Reserved.
解説: 調べる ファイルを更新