2018.03.21:水曜日
下川路博美 小さな靴の物語

 

 

女性はみんな靴好き?男性もでしょうか。何故か靴の形態に魅かれ、取りあえず足をそっと入れたくなってしまう。

フェティシズムチックに靴は広く愛されている、と、独断的見解で思っているのですが、下川路さんの作品は、更にそんな心にぽっと灯りをともす女の人パワーが潜んでいます。

下川路さんは、おしゃれな女性の身の回りにある郷愁を呼ぶファッショナブルなモチーフを題材に銅版画作品で個展を開催して下さっておりましたが、今回初めて布の靴を作り、自作のエッチング作品等のコラージュを加え、素敵なプレゼンテーションが出来上がりました。

ロマンティックなオブジェ作品は、本当にカワイクて魅力的ですが、実は確実な技術や良き時代の思い出と一緒に新しい感覚も合わさった時間の積層といった、ファウンデーションがあってのものなのでした。

オリジナリティ溢れる作品なのに、郷愁を覚える素晴らしい作品展でした。

解き放たれたように自由に前に進んでいらっしゃる下川路さんから、当分目が離せません。

下川路さんの、作品制作に対しての思いを書いて頂きましたのでご紹介させて頂きます。

私には物作りに対する考えを教えて下さった3人の女性がいます。

1人目は専門学校デザイナー科の先生。

夏に行われていたファッションコンクールの一次審査に通り、実物制作に入りました。縫製は友人3人にお願いし、アクセサリー探しに原宿、青山あたりを歩き回りましたが見つからず、学校に戻って先生に相談しました。その時「なければ自分で作りなさい。」

この時の経験が自らの手で作り出すおもしろさを知った初めの1歩でした。

2人目は銅版画工房で指導して下さった先生。

製版を終え試刷りした作品に失敗した箇所があり、先生に見ていただいた時「おもしろく出来たじゃない。失敗と決めつけず、それをうまく生かしなさい。」と言って下さいました。この言葉で楽しみながら作る事を学んだような気がします。

3人目は私の母。

物作りのヒントになる色の綺麗な物、可愛い物が常に生活の中にありました。たとえばレースや刺しゅうのあるハンカチやゴブラン織りのバッグ。特にグレーのリバーシブルコートの内側が色彩豊かなバラ模様だった事は今も鮮明に覚えています。

今回初めて制作した布靴作品は、この3人の女性の教えに支えられて出来たものだと感謝しています。

残念ながら母は2016年の夏に他界しましたが「あら、私の好きなコートのボタンを作品の中に使ってくれたのね。」と喜んでいるでしょうか・・・・

                                                 3月18日     下川路博美

http://spaceyui.com/schedule/hiromi_shimokawaji_18.html

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