Monthly Archives: 7月 2018
2018.07.19:木曜日

 

 

 

竹井千佳さんの画集が出版されました!人気急上昇中の竹井千佳さん、画集の出版と個展とが重なり、ギャラリーは毎日記録的暑さにも負けず、大賑わいです。巻末に書かせて頂いた文章をブログに写させて頂きました。少し長目ですがお読み頂けましたら幸いです。

 竹井千佳さんの作品を最初に当画廊でご紹介させて頂いたのは、2011年の初夏の頃でし た。折しも東日本大震災の年、誰の心も沈みがちな日々を、作品を見て下さる方々に視覚を通して多少なりとも元気になって頂けたら、と企画した数名の作家による展覧会でした。

 正に本人の描いた絵の中から抜け出した様な溌剌とした少女の面影を残す竹井千佳さんでしたが、彼女の作品の持つエネルギーは、この企画にまず参加して欲しいと感じられるものでした。

 若い女性の可愛らしさや生活感覚、またある種の醒めた視線や少女の無垢な狡猾さも内包されたイラストレーションは、生命力に溢れ瑞々しさを振りまきながら、ご本人の存在の印象と共に作品を観る人々に鮮やかさを残したのではないかと感じております。

 その後の竹井千佳さんは、フリーランスのイラストレーターとして、 雑誌や書籍の装 幀、広告等、紙媒体のイラストレーションの他にも、複数のTV番組の空間構成としてイ ラストレーションを起用される等、 順調に活躍の幅を広げられて、多くのファンを獲得し て参りました。そして東京イラストレーターズソサエティーの公募展では大賞も受賞する 等、快進撃を続けます。

 NHKの人気番組「ガッテン」の空間装置のイラストレーションも人気を呼び、長い期間 番組を彩っております。

 TVの仕事と申しますと、竹井さんの強力なファンの方を思い起こします。数年前、イギリスのファッションブランド「LAZY OAF」の雑誌取材で、様々な分野で活躍中の女性 アーティストが取り上げられた中に竹井さんと一緒にコメディアンの渡辺直美さんがいら して、お二人の温かな素敵な友情が生まれました。日本トップのインスタグラムフォロ ワー数を誇る渡辺直美さんが、そのイラストレーションと記事をご覧になってすぐに竹井 さんをフォローして下さったそうです。

 TVの世界で大活躍中の渡辺直美さんの人気ぶりは周知の通りですが、明るく華やかな キャラクターを支えるバックボーンとして、たいへんな努力家であるという事、また研究 熱心な方という事を伺っていて、その辺のところも千佳さんのイメージとの共通項を感じ ております。陽性な、ハッピーオーラ溢れるお二人の間に友情が芽生えるのも当然の事 だったのでしょう。

 弾ける様に楽しい竹井千佳さんの作品ですが、個展の為のオリジナルな作品やシルクスクリーン版画の為の作品等は、 イラストレーションという範疇を少し超えた彼女の心の深奥が伺えるかのようです。時代を映すポップな感性と共に、抑制の効いたいわゆる日本画の風情も併せ持ち、また昭和の少女達に迎えられた塗り絵の世界観も彷佛とさせるものがあり、その新しい感性には感慨深いものがあります。

 竹井千佳さんの作品が人々に広く受け入れられる要因のひとつとして、確かな技術力というものがあると思います。鮮やかな色彩にパステルがかった色味が加わった絶妙なバランスのペインティングに、細い面相筆による輪郭のラインが丁寧に加筆された美しい仕事ぶりは、相当な集中力を要する作業と察せられます。まるで息を止めて描かれたかの様な綺麗なラインです。技術、作品世界観、共に追随を許さない真のプロフェッショナルな姿勢を千佳さんの中に感じております。

 若者にも子供にも大人にもオールマイティーに人気のあるアーティストである千佳さん は、ご本人自体のキュートさもこのまま永久保存できたら、と思わせる永遠の少女のよう なキャラクターです。

 率直な性格で、若干ご出身の栃木イントネーションがあるのも魅力の千佳さんは、普段お話しする声も朗らかに大きくて、遠くに居ても良く聞こえます。

 全く気取りのないチャーミングな千佳さんに、年を取らないでこのままでいてよ!と言うおやじ乗りの私に、じゃあ息を止める。と、おどける千佳さんです。

 しかし、同時に千佳さんの観察眼は凄くクールです。色々なことを同時に瞬時に感知し、視覚を筆頭とする五感を以って道行く人々にさえ寄せられる興味=愛の観察眼は、千佳さんの頭の中で無意識に分析と分類がなされる様子、千佳さんのハイパーなアンテナは、理屈や論理的コンセプチュアルワールドを遥かに飛び越えたパワーキャッチ能力がありそう です!

 人々の面白い表情や珍しい仕草や出で立ち、時には女の子達のやさぐれな感じさえも、千佳さんにかかったら彼女のオリジナルスパイスが効いて、コミカルで愛があり時々ペーソスも滲ませる、若手であっても実に味わいのある作品へとクリエイトされて行くのです。 存在自体、本人の描く作品のような竹井千佳さん、ビター&スパイシーな感性が内包されながらも、飽くまでも基盤は愛と優しさに溢れて率直なありのままの姿で生きている我らが千佳ちゃんが、ずっと人々と楽しさと愛情を分かち合い、変わらぬ価値ある作品を制作し続けて下さる事を願って止みません。

http://spaceyui.com/schedule/chika_takei_18.html

2018.07.18:水曜日

 

 

 

 

今年も天野さんの展覧会が無事終了致しました。

毎年6月の風物詩のように育まれて来た天野智也さんの備前焼の作陶展は、今年で11回目を迎えました。

そんな天野さんの作品に触れますと、年月の流れをしみじみと感じます。こんなにもコンスタントに開催を続けて下さることを自然の流れのように受け止めておりましたが、振り返って考えてみますと、たいへんありがたいことです!

陶芸作品というのは、なかなか鑑賞が難しい部分があり、年齢というものが大きくものをいうところがあると、美術関係者の方々からずっと聞いておりました。イラストレーション等の商業美術等の作品はどちらかと言えば、若い時代のエネルギーが生かされる分野ですが、陶芸の場合にはどうしても年季というものが重要なキーワードとなって行くのは何故なのでしょうか?

年月は知らないうちに流れて行くので、改まって意識して考えないと忘れてしまいそうですが、天野さんの作品の展示を始めた最初の頃は、もっと若く硬質な感覚の器や花器がギャラリーに並び、若い時期特有の個性と素敵さがあったのではと感じます。

天野さんのお人柄のように、作品も年を重ねる毎に優しく大らかになっていらっしゃっていて、ファンの方々は増える一方です。

釉薬を用いない備前ですが、灰を溶かした部分に光沢や模様を施したり、地層をそのままの様に器に映したりと、研究熱心な天野さんの手により器たちは様々な表情を見せてくださいます。

土を水で捏ね、小さな一軒の家の様にも思える規模の窯の火で焼くという、たいへんな営為を日々繰り返され重ねられた経験で培われるプロフェッショナルな技術が、天野さんの素敵な作品、実験的な作品を生み出すファウンデーションとなっている事に、改めて感じ入っております。

http://spaceyui.com/exhibition/tomoya_amano_18.html

2018.07.06:金曜日

 

 

 

 

 今回の水丸さんの個展初日にJ-WAVEでご紹介を頂きました。そのテキストを皆様にご紹介させて頂きたく、ご覧下さいましたら嬉しいです。

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 安西水丸さんには、1984年からお亡くなりになる年の直前の2013年まで、ほとんど毎年の様に展覧会を開催して頂いておりました。2001年からは和田誠さんとのコラボレーション展が自然発生的に毎年の恒例となりましたので、その間に個展を開催する年は年に二回展覧会が開かれていた、という事になります。

 2014年の早春、就業時間を過ぎて皆がいなくなった画廊で丁度水丸さんの最後の作品となってしまった「音シリーズ」として三点程作ったシルクスクリーン作品の額装作業をしている最中に、水丸さんのご親戚の方が画廊の前を通りかかられ、水丸さんの訃報を告げられました。それまでご病気だったと伺った事もなく、あまりに突然のお話に、呆然と立ち尽くしてしまいました。映像のお仕事をされているその甥御さんも本当に悲しそうにされておりました。

 「空間のこども」と題した当画廊でのグループ展に「風の音」、「夜の音」、「雨の音」と題された黒を基調とした作品の額入れ作業をしていた時の事でした。

 2013年には水丸さんのこれまでの作品を集約した全体像を表すような、小さなギャラリーにしては少し大げさですが、二部に分けた大規模な個展を企画致しました。水丸さんのこれまでの作品の一区切りで、新作も混じえた集大成的な展示と思って開催した展覧会でしたので、まさか最後の個展となるとは思ってもおりませんでした。 

 2014年以降には、当然ながら新作はもうできませんので、水丸さんの展覧会を開催する事がたいへん困難になっております。時が経つのは早く、亡くなられてからも毎年開催し続けて今回の個展で4度目となります。年々増え続ける水丸ファンの方々からのご希望が絶えません。また、表参道交差点の山陽堂書店の上階にある山陽堂ギャラリーでも毎年「七夕の夜」と銘打たれた展示がなされ、今年は8回目となります。山陽堂さんとは連携して水丸さんを懐かしみながらいつも楽しい企画展をさせて頂いております。これまでに当画廊で作成した版画作品は、正式に数えた事はないのですが、250種類を超えているのではないかと思います。長い期間をかけて丁寧に作成された作品です。山陽堂さんでは、そのような中からテーマに沿った作品をチョイスし、展示して下さっております。

 その様に、ファンの方々を始めとして山陽堂さんや地方で頑張っておられる本屋さんを兼ねたギャラリーの方々、また最近では海外からのオファーもあって、水丸展をストップする訳には行かない、と思っております。

 版画作品は相当注意深く作成していて、陶器やバッグ等のグッズ類に関しましても、水丸さんの視線を想像し、定番にできる様なものしか作らない心づもりでおります。

 今年の「MIZUMARU SIMPLE」というタイトルは、様々な方向から水丸さんの書籍やそして作品も提示されつつありますが、そのような中でも、水丸さんだったらこういった方向性を選択なさるのではないかというタイプの作品制作をしたつもりです。

 そして今回はシルクスクリーンプリントとしての初めての個展、1987年に制作した作品の中から特に人気の作品を復刻致しました。最初の版画作品は、やはりたいへん感慨が深いものがあります。これは作家の方全般に言える事と思いますが、水丸さんの今回の展示作品も、若い時代特有の、エッジが効いた空気感が、作品を見られる方々にとって大変新鮮に感じて頂けるのではないかと想像致します。

 1987年の復刻作品の他にも、あまり知られていない1984年の初個展に展示したペン画の小品もシルクスクリーンに刷りました。画廊を訪れる方にとって、既視感のない、フレッシュな印象を感じて頂きたいと思って計画して行く内に気が付いた事があります。そのときどきの個展で、あれっと思う感じのちょっとこれはシンプルすぎるかな?という感の作品がありますが、そして皆さんも同じ感想を抱かれる様なのですが、年月が過ぎると、そんな思いが信じられないくらいに心に沁み込む作品があるのです。2018年の個展では、そんな作品も多数展示されております。

2018.07.02:月曜日

 

 

 

 

 河村要助さんと安西水丸さんの作品の発表が続きます。

 お二人が、お元気にその才能と個性を大きく花開かせて、活躍をされていた頃のお話ですが、画廊に水丸さんがひらっと一枚の紙を持って来て下さいました。

 河村要助さんが雑誌か何かの印刷物に掲載された短い文章を水丸さんがコピーされたものでした。それは商業美術としてのイラストレーションと、純粋な美術作品とを対比して書かれたもので、その秀逸な表現力に感嘆されお持ち下さったものでした。

 この事を思い出したのは、今回の河村さんの作品展を強くサポートして下さっている方々のお一人である藤田正さんが、今回の展覧会「JOYFUL TOKYO for 2020 vol.2」の作品の中に書かれている河村さんの英文が如何にエスプリの利いたインテリジェンス溢れる内容であるかを説明下さった時の事でした。

 水丸さんが持って来て下さった、その小さな紙切れをひどく大事なものに感じ、当時の自分のデスク脇の壁にずっとピンで貼って、いつも眺めていた様な気が致します。様々なヴィジュアル表現の形態とその差異と意義等に関しては、それこそ多くの優れた作家の方々が述べておられますが、河村さんの文章はそのコメントそのものがシンプルで小粋な完成された作品の様に素敵だったのです。

 それなのに、どこかにしまい込んでしまったのでしょうか、そのコピーがどこかに行ってしまい見つかりません。藤田さんには、それは見つけなければいけません!と叱られましたが本当にその通りです。

 ひょろっと背が高く、飄々とした河村さんの独特な心地よい距離感ある佇まいを思い出します。ちょっぴりアイロニカル&シャイで、孤独で人なつこい、もしかしたら東京よりニューヨークとか海外の都市の方が似合ったかも知れない、格好良い河村さんの存在の大切さを今更ながらに感じております。

 水丸さんも、ご病気療養中の河村要助さんのことをずっと心にかけておられましたが、水丸さんご本人が、周囲の方々を置き去りにして2014年に早世されてしまいました。

 お二人の仕事の数々、画廊での個展の様子、またいっしょにご参加頂いた何度かの企画展での親密感ある様子等が懐かしく思い出されます。そして今、そんなお二人の作品を発表できる立場に居る幸運な感覚と共に、当然の事ながら新作が発表できないという無念な気持とが相俟った、複雑な感慨を覚えております。

 また、水丸さんが持って来て下さった河村さんの素敵なコメント、見つかったら必ず皆さんにお見せしたいと思います。

 昨年から始まった展覧会「JOYFUL TOKYO for 2020」は、河村氏が海外の人々から見た日本の風習をポップに描いたペインティング作品のシリーズですが、今回の「JOYFUL TOKYO 2020 vol.2」では、JUN OSON、竹井千佳、水沢そら本秀康、山崎若菜(敬称略)5名の、イラストレーターとして河村要助氏の後輩にあたる方々にもご参加をお願いし、同テーマを現代の切り口から表現して頂きました。

http://spaceyui.com/schedule/yosuke_kawamura_18.html

 

 

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