2018.07.06:金曜日
安西水丸 MIZUMARU SIMPLE ー水丸ラジオー

 

 

 

 

 今回の水丸さんの個展初日にJ-WAVEでご紹介を頂きました。そのテキストを皆様にご紹介させて頂きたく、ご覧下さいましたら嬉しいです。

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 安西水丸さんには、1984年からお亡くなりになる年の直前の2013年まで、ほとんど毎年の様に展覧会を開催して頂いておりました。2001年からは和田誠さんとのコラボレーション展が自然発生的に毎年の恒例となりましたので、その間に個展を開催する年は年に二回展覧会が開かれていた、という事になります。

 2014年の早春、就業時間を過ぎて皆がいなくなった画廊で丁度水丸さんの最後の作品となってしまった「音シリーズ」として三点程作ったシルクスクリーン作品の額装作業をしている最中に、水丸さんのご親戚の方が画廊の前を通りかかられ、水丸さんの訃報を告げられました。それまでご病気だったと伺った事もなく、あまりに突然のお話に、呆然と立ち尽くしてしまいました。映像のお仕事をされているその甥御さんも本当に悲しそうにされておりました。

 「空間のこども」と題した当画廊でのグループ展に「風の音」、「夜の音」、「雨の音」と題された黒を基調とした作品の額入れ作業をしていた時の事でした。

 2013年には水丸さんのこれまでの作品を集約した全体像を表すような、小さなギャラリーにしては少し大げさですが、二部に分けた大規模な個展を企画致しました。水丸さんのこれまでの作品の一区切りで、新作も混じえた集大成的な展示と思って開催した展覧会でしたので、まさか最後の個展となるとは思ってもおりませんでした。 

 2014年以降には、当然ながら新作はもうできませんので、水丸さんの展覧会を開催する事がたいへん困難になっております。時が経つのは早く、亡くなられてからも毎年開催し続けて今回の個展で4度目となります。年々増え続ける水丸ファンの方々からのご希望が絶えません。また、表参道交差点の山陽堂書店の上階にある山陽堂ギャラリーでも毎年「七夕の夜」と銘打たれた展示がなされ、今年は8回目となります。山陽堂さんとは連携して水丸さんを懐かしみながらいつも楽しい企画展をさせて頂いております。これまでに当画廊で作成した版画作品は、正式に数えた事はないのですが、250種類を超えているのではないかと思います。長い期間をかけて丁寧に作成された作品です。山陽堂さんでは、そのような中からテーマに沿った作品をチョイスし、展示して下さっております。

 その様に、ファンの方々を始めとして山陽堂さんや地方で頑張っておられる本屋さんを兼ねたギャラリーの方々、また最近では海外からのオファーもあって、水丸展をストップする訳には行かない、と思っております。

 版画作品は相当注意深く作成していて、陶器やバッグ等のグッズ類に関しましても、水丸さんの視線を想像し、定番にできる様なものしか作らない心づもりでおります。

 今年の「MIZUMARU SIMPLE」というタイトルは、様々な方向から水丸さんの書籍やそして作品も提示されつつありますが、そのような中でも、水丸さんだったらこういった方向性を選択なさるのではないかというタイプの作品制作をしたつもりです。

 そして今回はシルクスクリーンプリントとしての初めての個展、1987年に制作した作品の中から特に人気の作品を復刻致しました。最初の版画作品は、やはりたいへん感慨が深いものがあります。これは作家の方全般に言える事と思いますが、水丸さんの今回の展示作品も、若い時代特有の、エッジが効いた空気感が、作品を見られる方々にとって大変新鮮に感じて頂けるのではないかと想像致します。

 1987年の復刻作品の他にも、あまり知られていない1984年の初個展に展示したペン画の小品もシルクスクリーンに刷りました。画廊を訪れる方にとって、既視感のない、フレッシュな印象を感じて頂きたいと思って計画して行く内に気が付いた事があります。そのときどきの個展で、あれっと思う感じのちょっとこれはシンプルすぎるかな?という感の作品がありますが、そして皆さんも同じ感想を抱かれる様なのですが、年月が過ぎると、そんな思いが信じられないくらいに心に沁み込む作品があるのです。2018年の個展では、そんな作品も多数展示されております。

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