2021.02.23:火曜日
中村幸子・中村桃子 「うつくしい人」

 
 

中村幸子+中村桃子
 
 
うつくしいひと・・・。
何ともこころ魅かれるタイトルです。
久しく温めていたギャラリーの企画展、中村幸子さんと長女の桃子さんによる2人展を開催いたしました。
 
  母・中村幸子とのはじめての2人展です。ひみつですが、
  タイトルは母からイメージしてすぐに決まりました。
  これは、そんな家族の戯れです。    中村桃子 ・・・(展覧会DMより)
 
スペースユイでは中村幸子さんと、数十年に及ぶお付き合いがあり、幸子さんの個展開催は元より、シルクスクリーン版画や多くのTシャツやファブリック等のグッズ類も、楽しく遊びながら作って来た歴史があります。
幸子さんは、デビュー当時からユニークな個性を持つ評判のイラストレーターでした。ミステリアスな多少の毒っ気の含まれたイラストレーションから、ファッショナブルなテイストの作品まで、多くの分野で多才ぶりを発揮いたしました。
中でも一番に魅かれた幸子さんの作風は、作品全体が醸成する、画面空間の背景から匂い立つように流れ出る美しい気配を持った女性像だったような気がいたします。
そして桃子さんの描く女性像も、フレッシュな清々しい空気感が真っ直ぐに心の奥にまで伝達され、作品を見る人の心が打たれるのです。
現在の桃子さんの活躍ぶりには、幸子さんのイラストレーターとして同世代時の感覚を彷彿とさせる、感慨深いものがあります。

桃子さんがまだ本当にBABYの頃、拙宅にて幸子さんや友人と時々時間を共にした記憶がありますが、あっという間に桃子さんは大きくなって立派なアーティストとして成長しました。
母、幸子さんの生来の個性である不思議な、次元を超えた世界観の表現は、人々と共感できる部分と不思議な謎の部分とがあると思われます。
ある意味現実感覚を相当逸脱した不思議な感覚を持ったアーティストとしての姿勢の幸子さんと共に生きて来られた桃子さんは、その魅力やテイストを充分に吸収され、消化&昇華しながらご自身の作風を作り上げて来られたのではないかと感じます。
そして展覧会場では、お二人の作品が画廊空間の中で呼応しあいながら、言葉には表現しがたい空気感を作り上げていると感じております。
幸子さんの画面からは4.5次元の振動が伝わって来て、理解は難しいけれど誰でもこの新たな感覚を美しいと感じられる。
桃子さんの瑞々しい作品は、幸子さんの作品よりコミュニケーションが容易な分、切なさの含まれた晴明なパワーを受け取ることに説明が要らない。そんな感じが伝わって参ります。

アーティストにとって、エゴイズムが勝っていてもそれはアーティストの特権なのではないかといった意見が多々ありますが、最近それは違うのではないかと思っております。
自由な心の中に花が開くように、絵画、音楽、演劇etc.、多分野において溢れ出た表現の時代を通過、60年代から現代へと今から振り返ると激動とも言える時代を通り抜けて、時が成熟した今、人々は気がついていると感じます。
クリエイティブな創造的な精神は、「思いやり」というごく当たり前の心をすでに肉体化していて、一番に捉え、そんなこと言葉にする必要のないほど自然体なのかも知れません。
目に見えない次元を示唆する不思議な世界観を描く幸子さんの、思いがけない強くきっぱりとした思いやりの心に何度も遭遇し、感動した記憶があります。
様々なことがらを乗り超えて、多様な個性を内包し年齢の力も借りながら紡ぎ出される幸子さんの作品からは、辺りを祓うかのような引力が感じられます。
また、桃子さんがしっかりとそんな美質を受け継がれ、新たな力へと育み、驚く程多くの方々の共感を得ておられることが頼もしく、素晴らしいことと思います。
 
桃子さんのイメージする「うつくしいひと」が、幸子さんである感慨に、他人が実に僭越なことですが、胸が熱くなる思いです。
 
 

中村桃子
 
 

中村幸子
 
 
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