2015.09.11:金曜日

 

 

 

 

 

 

2011年3月の震災直後の小池アミイゴさんの活動を見ていて、ぜひ彼の作品と活動をギャラリーを通して皆様にご紹介させて頂きたい、今の私たちにはアミイゴさんのエネルギーが必要なのだから、と直感的に感じました。

ペインティングやドローイング等の作品、文章、何かに突き動かされるかに思える行動・・・と、名前の付けられないトータルなアミイゴさんの活動には、理屈を超えて胸打たれるものがあります。

アミイゴさんは、震災後に宮古、塩釜、気仙沼、いわき等と、被災した地を回を重ね訪れて、日々を営む人々の日常や海辺の風景を、素早いタッチのスケッチやペインティング作品として制作致しました。

記者や学者等の職業の名前が付いた人としてや、任務としてでもなく、誰に言われるでもなく、ただのひとりの人として東日本という未曾有の災害に遭った場所を訪れました。また、気仙沼の大漁旗のイベント等でイラストレーターとして訪れた事もありました。

その土地に住む災害を被った人々と等身大の気持、というには語弊があるかも知れませんが、時には積み立て預金を崩しながら、真摯な姿勢で臨まれるアミイゴさんの、力を出し切ったフィールドワークは、決していい加減な気持で出来るものではありません。

当画廊では、2012年、2014年、2015年、と三回にわたり東日本をテーマにした展覧会を開催させて頂きましたが、二度の展覧会の案内状は福島県いわき市の豊間ビーチのものです。定点観測の様に毎年訪れ、少しずつ気配の変わる風景を描き、2014年は宮崎県塩釜のカモメを描きました。光りに包まれた海と空・・・。いずれも静かさが胸に響く作品です。

僭越な言い方ですがアミイゴさんの作品は、個展を重ねる毎に心打つ力を持たれていった様に感じております。

アミイゴさんが励んで来られた道のりの一瞬一瞬のプロセスが結実し、 作品の中に、名状しがたい何かが芽生えて来ていると感じます。活動の中で進化をしながら培われて来た技術と感性に、テーマを超えて普遍の色彩が舞い降りたかの様に・・・。

住まわれている方々への共感の思い、亡くなられた方々への追悼の意を、描く側と共に見る側の人間も、同じ国土に住む者として湧き上がる自然な感情をアミイゴさんが表現して下さっている様に思えるのです。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/koike-amiigo.html

 

 

 

エンブレム問題から浮かび上がって感じた事について: 

 

仕事柄、アートディレクターやグラフィックデザイナーの方々を多く存じ上げておりますが、今、オリンピックのエンブレムのデザインで問題になっている佐野研二郎さんは知り合いではなく、その事に少し胸をなでおろしている自分がおります。

この問題につきましては、実に様々な意見を実際に耳にしておりますが、やはりあれだけの実例が明らかになってしまっては、庇いようがなく感じられ、これからの人生がたいへんだろうな・・・等と思ってしまいます。

でもこれは、彼一人の問題ではなく、デザインや広告の世界のシステムの問題も含めて皆が何となく感じていたけれども、激しく疑問を認識する事となってしまったのではないでしょうか。

多くの優れたイラストレーターと接している自分としては、何故ADがイラストレーションをイラストレーターに発注しないのだろう?という素朴な疑問をまず感じます。企業から依頼された多くの仕事をフリーランスに発注する事なく、全て自分のところで処理してしまう、というのは随分無理があるのではないでしょうか?

何人かのスターデザイナーが企業から集中的に仕事の依頼を受け、大勢のスタッフと共に流れ作業的にこなしていたら、クリエイティブな気風からはどんどん遠ざかって行く場合が多いのではないかと案じられます。イラストレーターに仕事がなくなるだけではなく、フリーランスの個人の優れたデザイナーにも仕事が来なくなります。一般の世界で起きている悪い意味でのグローバル化が、こちらの業界でも起きていて、それが構造的な問題である事にあらためて感じ入っております。

この画廊を始める時に、個人が個人の作品を見たり購入したり、というだけではなく、メディアを通して大勢の方に見て欲しいと思いました。それには、イラストレーションという作品表現のシステムがとても魅力的に思えたのです。批評家や一部の専門家の意見や賞等で作品の価値が決って行くのはおかしい、もっと開かれた場所=メディアで見てほしい、そしてフェアな人々の目線で作品の価値を感知し理解してもらう事のできる環境を望んでおりました。それには、デザイナーや編集者、代理店、etc、作品に関わる方々の目線が本当に大切なのです。

その流れが何か滞っている、と感じたのはいつの頃からでしょうか?元来優れた感性は理解されずらい側面もありますが、だからこそ自分等の仕事もやりがいがありました。

感性を磨く、ということは、単に流行感覚のアンテナを張り巡らせるのみでなく、もう少し違った角度からのアプローチや地道な姿勢を併せ持って得られるものと思います。私たちを取り巻く環境全体が崩壊に向かっているようにさえ見える今、客観性を保ち続けるのはたいへんな事と思いますが、作家の方々、彼等の作品を扱われる方々にもセンシブルなフェアな目線を持ち続けて頂けたら・・・、と思います。

佐野さんの今回の事件では、エンブレムやその他の彼の仕事の模倣の問題についてよりも、浮かび上がったデザイン業界の仕組や利益の偏在性について考えさせられる事が多かったです。

イラストレーターは勿論ですが、フリーランスでオリジナリティーを大切に誠実に仕事をしているデザイナーの方々に注目して行きたい、と思っています。

 

 

 

「7 Artists Walking Point of View」

 

 

 

今年の夏の暑さには、振り返れば多少の懐かしさも感じますが、それはたいへんな季節でしたね。時々熱気に目眩がして、意識が正常に動かなくなりました。

高橋キンタローさんが企画して下さった「point of view」もそんな中開催されましたが、酷暑にも負けず多くの方々にご覧頂く事ができました。

以前からお付き合いのある高橋キンタローさん、谷口広樹さんをはじめ、水沢そらさん、河井いづみさん、足立もえかさん、門川洋子さん、ミヤギユカリさんという7名のイラストレーターによるたいへん見応えのある作品ばかりが展示されて好評を博しました。作風も年令もばらばらのメンバーでしたが、皆さんの作品から外の気温とは対照的に心地よいクールな風が感じられました。

またいつか、変化や深化を遂げながら、この企画展を開催できる事を期待してしまいます。

 

写真は、前列左より高橋キンタローさん、ミヤギユカリさん、谷口広樹さん、後列は左より河井いづみさん、足立もえかさん、水沢そらさん、門川洋子さん、お友だちの方?の8名です。 

 

http://spaceyui.com/schedule/7-artists-walking-point-of-view_15.html

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2015.08.15:土曜日

 

 

 

 

 

シーノ・タカヒデさんの個展前に、大きな仕事が舞い込んで来ました。シーノさんは丁度個展の絵の仕上げの時期でしたので、少したいへんな様でしたがそんな事を言っていられない魅力的な仕事でした。画廊でもめずらしいファッションブランドからのお話です。

いつもアフリカをテーマにした作品を、こぼれるように豊かなイマジネーションで描き続ける作品は、シーノさんにしか描けないオリジナリティ溢れるものです。

個性的なモチーフと自由な感覚で、誰に媚びる事なく制作を続けるシーノさんは、商業美術としての作品を上手く描き続けるという事は、少し苦手かもしれませんが、時々ぼーんと、大きなプロジェクトが動きます。

話は飛びますが、15才頃から画廊に来ていた或るユニークな少年が、いつか国会議員になる、と言い続けていて実際に衆議院議員になってしまった人がいます。そして夏休みの季節に、「ボクが売ってあげる!」と、半ズボンに画廊のプリント作品を入れたアタッシェケースという出で立ちのくりくり頭の少年、T君が画廊を飛び出して行き、「絵を売るのはむずかしいね」と、がっくりとどこかから戻って来た事や、やがて本当に議員になってしまった後もアートと自分の仕事と結びつけようとたいへん努力をして下さっていた時分のことを、懐かしく思い出されます。

何年か前のシーノさんの個展の時に、初当選をしたT君が、コンゴ共和国と近隣のサントメ・プリンシペという両国の大使を務める人を引き連れてやって参りました。コンゴ共和国の西側、海に浮かぶ小さな島国であるサントメ・プリンシペは、たいへんアートに親和性が高いと言われ、T君に見せて頂いたアフリカの未知の国の、洗練と野生の混合がフレッシュな海辺のギャラリーや街の風景の写真は、忘れ難いものでした。国と国とを繋ぐツールとしてのヴィジュアル作品は様々な角度から必要とされ、また、生み出す事も可能に思えました。私もシーノさんも詳しい事は忘れてしまったのですが、ギャラリーや、また場所を移して、何度も打ち合わせがなされました。

展覧会会期中の或る日、シーノさんがめずらしくちょっとだけフォーマルな感じの装いで現れました。議員や大使との打ち合わせを兼ねての会食があるとの事でしたが、シーノさんはものすごい拒絶反応を示しました。シーノさんは、私に一緒に行って下さい!等と子供の様に駄々を捏ねます。私は、こういう機会を仕事に生かさなくてはだめでしょ、と言い、画廊から送り出しましたが、翌日尋ねますと、シーノさんは途中で帰って来てしまったそうなのです。 ぐるっと企業家や政治家に(自民党)に囲まれてしまった様です。 とにかく政治の匂いが嫌いらしいです。

純真な少年だったT君も、自民党の政治家だったら清濁合わせ飲む事のできる複雑な回路をつくりあげてなかったら、やっていられませんから、ピュアなアーティストとは相容れないのだと思います。

でも、画廊主としては、アーティストではないのだから、この様な人々とも上手く付き合わなければいけないのかも知れませんが・・・。

そして今年の個展の直前に、シーノさんの作品をパリコレ用の服のテキスタイルに使いたい、というお話をコムデギャルソンから頂いた時には、画廊のスタッフも皆でいっしょに喜んだものです。もう時間がないので既にある作品の中から決定したいとの事、仕事は、既に迷う事はなくシーノさんに決っている、という事でしたので、担当の方にシーノさんの過去数年分の作品データをお渡ししました。不正アクセスの問題等で少し神経質になっているこちら側としては抵抗がありましたが、既に仕事として決定してるという事実の元に了承しました。

その後、シーノさんから、最初の約束とは違い、新たに絵を描かなくてはならなくなった事、そしてその後仕事が流れてしまったという事を聞きました。

画廊としましては、電話で、知らない内にシーノさんの作品が使用される事のない様、作家のオリジナリティ、著作権、名誉といったものをもっと大切に扱って下さい!と、こちらの気持を伝え、理解して頂く事ができました。この話の行き違いについては、この仕事の窓口になった方々の勘違いで、という帰結でしたが、画廊の義務としての作品のセキュリティーについても、考えさせられる事がらでありました。

シーノさんが、自分にとってはどんな仕事もいっしょなので、と、案外にこの事を気にしないで下さった事が、救われる思いでした。

そして、忘れた頃にひょこっと画廊に現れる、現在も何度目かの当選をしているT君の事も時々思い出されます。

 

 

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/shino_15.html

 

 

 

 

 

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2015.07.27:月曜日

 

 

 

 

松川けんしさんの作品からは、一種の苦みを含んだ哄笑が聞こえて来そうです。悪意さえも剽きんにかわしたり、ない交ぜにしたりして上手に料理し、もうひとつ味わいのあるものに昇華してしまいながら・・・。

今回の展覧会のタイトルも最初に見た時には、一体何の事だろう、と思いましたが作品を前に、松川さんが何を表現したかったのか朧げに理解する事ができました。

「脳天は壊了か」という一瞬目が覚めそうなタイトルです。壊了という言葉も初めて知りました。表現豊かと言ったら良いのか、意地悪なのか、何とも松川さんらしいタイトルと思います。あらゆる事象への諦念からのエネルギッシュな出発なのでしょうか。壊了よりも建設の力をむしろ感じます。

往年の芥川賞作家、吉田知子さんの作品タイトルから引用されたそうですが、今回の展示のコンセプチュアルなタイトルとして、たいへん秀逸なものに感じました。そして松川さんご自身の脳天はまだまだ壊了していない様子、安心致しました。

松川さんは酒飲み仲間が大勢いらして、皆さんとの愉快な会話が飛び交いますが、偽悪的で実はシャイな松川さんを皆が愛情を込めて見守っておられる感じが伝わって参ります。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/matsukawa_15.html     

松川けんしhp

 

 

 

 

 

 

 

甲斐荘暁子さんの作品には、いろいろな多くの思いが込められていると感じられます。

ご自身は、作品についてを語らない作家さんですが、光や水の色を取り込んだ色彩の作品は、マチエール豊かに生命のリズムを唄い上げているかの様、とても饒舌に魅力的です。作品から人々の声や歌声、鳥のさえずりや樹々のざわめきが聴こえて来そうです。レイヤーのかかった様に感じる重層的な作品の構成からも、様々な楽器の奏でる音楽を感じてしまいます。

視覚表現の中に、音楽的なものや画材から覚える触覚的なテクスチュア感覚、言葉には表せない感性をこれほど豊かに情感を込められる力量に感嘆しております。

甲斐荘さんの全ての作品が、ポップで、明るく楽しさに満ちておりますが、この世界を飛び越えて、次元の狭間を見つめ表現をされている様に感じます。

平面作品の他に鉄素材を用いて制作したオブジェも多数展示致しました。重量のある、労を要する熱い鉄と取り組みながら、軽やかな見応えのある作品を創りました。

甲斐荘暁子さんは、感性の織りなす言葉には表す事のできない詩情あふれる世界観を見事にビジュアライズされていると思います。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/kainosyo-15.html

甲斐荘暁子 hp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2015.07.11:土曜日

 

 

 

 

 

 

佳作の揃った「少女小説」展、終了致しました。(SPACE YUI)

現代地球上で興ている不思議ワールドは、私たちが現実に生きる日常のスペースにも相似形で表れます。

自明の理で正しくない事が、白昼堂々と決定されて行き、TVや雑誌では、私たちがもっと美しくできる舞台装置をわざと醜い物で充たしている・・。

人々の承認もなく流れていく、私たちにとってそんな筈ではなかった不合理の数々を、未来を生きるこども達は、どんなこころで受け止めるのでしょうか?

シフトを変える事ができるのは、ジャーナリストでも政治家でもないのかも知れません。

文化はもっと成熟している予定だったし、すでに到達していた世界すら破壊されてしまったかもしれない。

そんな世界を少女達は知っていて、そのような少女達だけが解読可能な未知の暗号を解く鍵を持っているのではないか?という希望を込めた企画展でした。

YUI GARDENの美しい環境の中でご覧になっていただけたらとても嬉しいです。(7/13~)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/shoujoshousetsu_15.html

 

 

 

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2015.06.03:水曜日

 

 

北見隆 This is a book.

 

 

 

北見隆さんの個展「This is a book.」は、実に10年ぶりの開催でした。

どのギャラリーにも共通の事と思いますが、作家とギャラリーには時間と共に培われた独自な関係性がある様に思われます。

北見さんとは、共に様々な仕事での出来事をいっしょに経験させて頂き、喜んだり悲しんだりしながらこれ迄の時間を歩んで来た実感を感じております。

もう20年も前になりますが、ギャラリーの企画編集による神話絵本シリーズで北見さんに「聖書物語」をお願いし、素晴らしい作品を描いて頂きました。8冊の神話絵本を8人の作家さんに書いて頂き、出版と展示をいっしょに開催するという二年がかりの企画でした。旧約聖書からのアダムとイブや、ノアの物語を詩情豊かに格調高く表現された北見さんの絵本の素晴らしさは忘れがたいもので、大きな価値ある金のリンゴ賞(ヴラティスラバの絵本催事)も頂きました。

これ迄何年にもわたり、ギャラリーの年末グループ展企画であるBOX OPERA展を中心になって開催して頂きましたが、お忙しい北見さんの個展はなかなか開催して頂けませんでした。それだけに皆さんの期待も大きかったけれど、そんな期待を上回る見応えある楽しい展覧会となりました。

SPACE YUIでの展覧会だけではなく、 北見さんの作品展では、すでに完成された感のある力量を何度も見せて頂いております。

そして今回の展覧会では、ご自分のクリエイティビティーを継続するだけではなく、更に乗り越えて行かれる、ということの大切さと貴重さを教えて頂いた様に感じております。

 

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/kitami_15.html

 

 

 

 

高橋キンタロー of the shape looks 2015

 

 

 

高橋キンタローさんとは彼が20代の頃からの知リ合いで、長いお付き合いなのですが、知り合った最初の頃から同じ髪型で、体形もファッションも、全く変わらず時を止めてしまったキンタローさんにまず、改めて敬意を表します!

永井宏さんの志を引き継がれる様に、仲間の方々とタンバリンギャラリーを創造の若々しい現場へと創りあげて行かれたキンタローさんと永井さんが実は同世代、とは思ってもいず、先輩後輩の仲とばかり思い込んでおりました。

今回のシンプルな一筆描き感覚の勢いで仕上がった展示作品には、ご覧になられた皆さんが目を奪われるような鮮やかな印象がありました。

キンタローさんはさり気なく作品を発表される様にお見受けしますが、実際に作品制作に向かい、白いキャンバスの前に立つ時にはたいへんな精神統一と集中作業が為されていることを想像致します。

ご自分も若者の中に溶け込む様に、若い作家の方々を応援されておりますが、誰に対しても分け隔てなく接するキンタローさんの大容量エネルギーには感動を覚えてしまいます。人々への愛に満ちたキンタローさんには、ご自分の事は後回しの部分があり、それは人として類い稀な美質と思うのですが、ギャラリー側の人間としては歯がゆくもあるのです。

キンタローさんのご事情を省みずに感じる事は、もう少しエゴイストになって、ご自身の作品制作に向われても良いのでは・・・等というおもいです。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/takahashikintaro_15.html

 

 

 

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2015.05.10:日曜日

 

宮本崇輝   「 life のびやかに歩む」

 

宮本崇輝

 

 

4月の個展の後にすぐにオーストラリアへと旅立った宮本崇輝さん。今頃はオーストラリア南端部の都市アデレードで、楽しい日々を送られていることと想像致します。

2000度の熱を持つ溶けたガラスを相手にするには、繊細な感性と強靭な身体能力を併せ持っていなければならない筈・・・。

高温と格闘しながら作品制作に励む中で、最近少しスリムになられた宮本さんですが腕の筋肉の力こぶも逞しい実はタフな青年です。

前回に続いて今年の展覧会でも、作品として自由に作られたオブジェと、実用のガラス器との二つのタイプの展示がされました。

透明感を際立たせるかに感じられる色付けされた作品からは、自由にのびのびと楽しみながら制作した、という感覚が伝わって参ります。ガラスという素材の性質を追求し、扱いに長け、力を出し切った、と言っても良いくらいに心に伝わるものがありました。

ガラス自体が持つものなのか、宮本さんの創造性なのか、素材と作家との分ちがたい感性と瑞々しい生命力が、作品に宿っていると感じます。

グラスや水差し等の実用の製品もガラスの厚みや口径サイズのバランス、形の取り方等に言葉では表現できない感覚的なセンスが光り、思わず所有されたくなる方々が多く、とてもよく売れました。

アデレードは、YUI DROPSでもおなじみの「JANESS」というアロマ製品の会社がある街です。優れた薬草学者でもあるジャニス・スミスが経営する「JANESS」は世界各地のアロマファン注目の地でもあり、とても興味深い場所です。

宮本さんはオーストラリアの次はカナダへと向われる予定です。大きく羽ばたいて、どんな素敵な実りを持ち帰って下さるのでしょう。

 

 

宮本崇輝

 

 http://spaceyui.com/schedule/miyamoto_15.html

 

 

 

 

北沢夕芸   「 POP FETISH WONDERLAND」

 

北沢夕芸 

 

 

北沢夕芸さんは現在最も充実して、エネルギーに溢れた作家さんのひとりと感じます。

当画廊では、2010年に開催して以来の久しぶりの個展開催となりました。

作品完成度の成果と充実の様子が、御来廊下さった方々の賑わいや反応からダイレクトに感じられる大盛況の展覧会でした。

ひとつひとつの作品に、作家の想像力がぎっしりと込められた物語が語られており、見応えある作品から刺激を受けると、いやがうえにもイマジネーションが膨らんで参ります。

物語溢れる画面は、絵本のページをめくる様に連続してストーリーが流れて行く訳ではないのですが、作品から少し離れて、もう一度見つめていると、ギャラリー空間全体から「北沢さんワールド」としか言いようのない世界観が立ち表れて来る様子が感じられるのです。

作品舞台の設定は、架空の時間と空間の様に感じとれますが、この時代へと通じる現実味を帯びて作品を観る人々を立ち止まらせてしまいます。

そんな北沢さんの「POP FETISH WONDERLAND」では、ペインティング、ドローイング等の平面作品の他に、柔らかな木の素材を削った表情豊かな少年や少女や動物等、独特な魅力ある立体作品も出品され、こちらもたいへん人気がありました。

キュートなモチーフの背後にかすかに感じられる呪いや、また、逆に祈りの感覚の表現も謎めいていて興味深いです。

北沢さんの持ち味豊かな作品の個性には、見る側の想像力の参加する余地があり、人々を魅きつけるのかも知れません。

 

 

 

北沢夕芸 

 

http://spaceyui.com/schedule/kitazawa_15.html

 

 

 

 

越智香住   「うきくも」

 

越智香住

 

 

東京造形大学で彫刻を学び、スペインで陶芸の技術を習得した越智香住さんの二度目の個展が好評のうちに終了しました。

昨年の作品に引き続き、越智さんの作品は迫力があります。昨年より更に何か呪術的な原初的なパワーが加わって心に響きました。

前回の作品は、古い時代のヨーロッパの様式を強く感じましたが、今年は越智さんのテイストはそのままに、もっと自由に制作されていると感じました。

あどけなさと達観の表情を同時に持つ少年の像や横たわった天使達、そしてシャーマニズムを感じさせるマスクが鑑賞する人々の心を強く捉えました。

越智さんのどの作品からも感じられる事ですが、作品の表情の彼方から届けられる不思議さに多くの方々が関心を抱き、魅きよせられるのを感じます。

特に小さなマスクは、今年とても人気がありました。自然な土の色彩の濃淡によって着色されたオブジェは、可愛らしさをひそめ、呪力を持ち、インパクトがありました。

越智さんもギャラリーの人間も知らない何人ものお客様が、小さな越智さんのマスクを購入されて行かれた事が印象に残ります。

また、シンプルの極致を目指しているかに見える白と黒が基本の清潔な食器は、お料理が美しく映えそうです。

CASA BRUTUS等の雑誌やお料理の本、TV番組等に、キッチン周りの物を提供する仕事をしている画廊近くのお店の方が、 纏めてご購入下さいました。雑誌やTVで越智さんの陶器にお目にかかるのが楽しみです!

 

 

越智香住

 

 http://spaceyui.com/schedule/ochi_15.html

 

 

 

 

 

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2015.03.30:月曜日

 

 

 

 

今年もロサンゼルスから大きな荷物を持って伊藤雄三氏がやって来ました。巨大な黒い円筒を横にした形のナイロン製のバッグには、クマの縫いぐるみが30個入っていました。菴連也クンの展覧会のために伊藤氏がオリジナル制作した白いセーターを来た可愛らしいクマです!連也クンへの愛情がひしひしと伝わって参ります。

伊藤氏は、世界で活躍中のアーティスト、オードリーカワサキを初めて日本に紹介した人で、今は貿易会社のオーナーですが、ご自身も多摩美の油絵学科出身です。

ウン十年も昔、大学卒業後すぐに、ミラノの建築事務所で見習いの様な仕事についていた時に、自分と同年令の伊藤氏=ゆうちゃん、は、フィレンツェで美術全般の勉強にいそしんでおりました。その時からの友情が今日迄続いている、という訳です。20代の若者だった当時は、気がつきませんでしたが、あまねく全ての人々に愛の深いゆうちゃん、インターナショナルなトラさん、という感じでしょうか・・・?

 

 

 

 

そんなゆうちゃんが3年程前に、ロスの自宅のNETテレビに連也クンが出演しているのを見て、一挙に連也クンの作品と本人自身の魅力に引き込まれてしまいました。

今回は二度目の開催となりますが、 昨年の一月に初個展を開催した時に実際にお会いした連也クンは、ご自分の病気の事よりも周囲の人々の事を気遣う優しさに溢れた小さな人格者という風情がありました。

ユーモアの感覚と、物語テラーの才能が見え隠れする創造性に満ちた作品は、多くの人の心をとらえて、連也クンを応援する人々の輪が広がっております。

連也クンは素敵なご両親、可愛らしい妹の依愛ちゃんという、本当に素晴らしいご家族をお持ちです。

この展覧会を、病気と闘いながらも、 ご家族といっしょに、 すくすくと成長する連也クンとそして応援団長のゆうちゃんとの、コラボレーション展の様に感じております。

 

http://spaceyui.com/schedule/rennyaihori_15.html

  

 

 

 

 

スペースユイのスタッフになってからあっという間に時が経ちました!台湾出身のNomii Rabbitさんの作品はひじょうに完成度の高いグラフィカルな持ち味が魅力です。三コママンガ等の物語性も本国の言葉ではない所為もあるかも知れませんが、彼女自身のユニークな言語表現と相俟って、独特な滋味に満ちた人生観が、画面から生き生きと伝わって参ります。

Nomiiちゃんは可愛らしく見えますが、実はたいへん頭の良い人で、台湾では一番難しいとされている国立の大学と大学院の、難しそうな学部を卒業しています。美術学科ではありませんw。

そのような訳で、スペースユイの現在の事務&管理能力は、オーナーの実力を超えたパワーがあるようです!

いずれ台北で、Nomii’s SPACEを開業予定です。夢溢れるNomii Rabbit SPACE、どのように展開するのか、本当に楽しみです。

 

http://spaceyui.com/schedule/nomiirabbit_15.html

 

 

 

 

 

 

この季節になると懐かしさが込み上げます。伊藤雄三氏もそうなのですが、民野宏之さんも、もう親戚の人をお待ちする様な感覚になっています。画廊の奥には実は宿泊できる設備があり、遠くからの作家さんは時々画廊に宿泊するのです!

目の前には大きなコンビニがありますし、近所にはジャグジーの設備もある素敵な銭湯もあります!札幌から清涼な空気を運んで下さる民野さんは、もう20年くらい毎年個展を開催しておりますが、ここ数年はホテルユイにチェックインなのです。

民野さんの作品は、画面から優しい波の様なものが伝わって来るかに感じられます。シンプルに空だけを描いているのに、これ程に強い優しさを放つ力は、ただ者ではありません。ピュアなマインドで、空を、地平線を、樹々を自由に描きながら、もうひとつの眼差しはシリアスな真実を求めていると感じます。

それでもやはり、柔らかな、純粋な、笑顔の民野さんです。

          

            

 

http://spaceyui.com/schedule/tamino_15.html

 

 


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2015.03.16:月曜日

 

ブログを更新しないままに、新しい年を迎え、更には季節が替わり三月になってしまいました。

言い訳はしまいと思っていたのですが、少ししてしまいたくなりました!! 画廊の仕事について・・・。

画廊以外の多くの仕事にいえる事かも知れませんが、毎日が、現在と過去と未来のMIX状態!もちろん未来へと続いている今現在のギャラリーの現場が一番大切なのですが、すぐ過去になってしまう時間とも格闘、未来のスケジュールや新しい作家にも気持を持って行かれ、そして未来も過去もすぐに入れ替わってしまうから、脳みその容量及びパワーがたりなくて、時々パニック状態に陥ります!自分ではもう少し受け入れる余裕があると思っているのに、じわじわと知らぬ間に限界に近づき超えて行く事が間々あります。やがてゆっくりと元の状態に戻りますので、全然本当は大丈夫なのですが・・・。

そんな何度目かのパニックからだいぶ回復し、ブログにも立ち向かえる様になりました!!

 

人々の善意と共に、確かに存在する悪意・・・。様々な想念が渦巻いている現実の社会の中で、表現の世界に関わっている方々は、無力さを感じられているかも知れませんね。構造的に理性とか理屈で出来上がっている社会に向けて、人々が感じている閉塞感を分解してそうではない意識として差し出すことのできるのは、今こそ、真摯に表現の世界と携わっておられる方々なのではないかと思います。

言葉では説明しずらい世界観を、言葉では表せないからこそ作品で表すという作業を今見つめ直しております。そして、あまりに現実的な人々にはどうしても感知できないたいせつなニュアンスを、共有できる感覚に翻訳し提示する、という至難の作業が今求められている様に思います。

中村幸子さんと高橋知江さんの二人展「花と人」を見て、そんな風に感じました。そんな境界域を超えて観る人の胸に迫る中村さんの作品と、呼応しながら涼し気な風を感じさせる高橋さんの展覧会は、企画者が自ら述べるのも僭越ですが、とても香り高い空気感を醸成していたと感じました。

 

 

中村幸子             高橋知江

 

 

当ギャラリーでは、1年、1年半に一度や2年おきに等と、繰り返し展覧会を開催下さる方が多く、作品についての感想を書かせて頂いておりますと、各作家の方々の作品の変化に驚かされる事があります。また同時に書かせて頂いている中で、作品のエッセンスはほとんど変わらないと感じる事も屢々です。ギャラリーと作家さんとは基本的な信頼関係がないといっしょにお仕事はできませんので、スペースユイで開催して下さる作家の方々には常に感謝の気持を抱いております。

このブログも2010年に出版した「ギャラリーノート」のスタイルを継続し、作家と展覧会作品につきまして毎回書かせて頂いておりましたが、これからは、もう少し自由な感覚で書いていきたいと思っております。

 

 

安西水丸

 

 

1月の最初の展示、安西水丸さんの展覧会を無事開催する事ができました。昨年3月の水丸さんの急逝から、もう一年が過ぎようとしております。時の経過がこんなに早く感じられる事に驚いております。今にして思いますと、一人の作家さんとこんなにも長い期間、コンスタントにお付き合いさせて頂くという事、特に水丸さんの様に展覧会が特にお好きではなかった方の作品展を3O年もの間ほとんど毎年開催させて頂いた、という事は本当に奇跡の様な事、と思っております。

まだギャラリーが出発したばかりの時期から水丸作品と共に時代の空気を吸収し、水丸先輩に支えられ、共にこの時代を歩んで来た様に思います。

今回の展覧会は、水丸さんが亡くなられてからの開催でしたので、当初予定していた内容は変更せざるを得ませんでしたが、平凡社さんのご協力で村上春樹さんとの共著「夜のくもざる」をテーマにした展覧会の第二弾を開催する事ができました。20年前の1995年にも同じテーマで開催致した事が懐かしく思い出されます。

また、ご家族が水丸氏の抽き出しからそっと持って来て下さった未発表の素晴らしく愛に満ちた小品や、伝説的な「青の時代」や「日出ずる国の工場」等の書籍から作成した版画等も「夜のくもざる」シリーズと共に展示させて頂きました。

長いおつき合いの中で感じる水丸さんは、いろいろな側面の魅力を持たれる不思議な方で、今でも印象がひとつに纏まりずらいのですが、心に大きく残る印象は、柔らかい温かな笑顔の感覚です。ちょっと意地悪な皮肉屋の部分もあった筈ですが、何故か優しい笑顔ばかりが強く心にしみ込んでいるのです。

 

 

 

石井逸郎

 

 

水丸展の次に開催されたロイヤルコペンハーゲンで活躍されていた石井逸郎さんの展示も大好評でした。現在はフリーランスの石井さんですが、作品の魅力とともに石井さんご自身の行動力からヨーロッパと日本を繋ぐ心豊かなトータルな、意義ある表現活動をなさっておられると感じます。

18世紀の銅版画に現在の作家である石井逸郎さんが彩色された、時代を超えたコラボレーション作品からは、心を打たれるエネルギーが感じとられました。

普段は、現代の暮らしと共に在る商業美術作品になじまれている画廊のお客様方も、石井さんの作品はストレートに受け入れておられる様子が印象的でした。

 

 

 

山田博之

 

 

また、今年二回目の展覧会だった山田博之さんの作品はフェイスブック等でも積極的に発表をされておりますが、装飾的にデザインされたアルファベットの作品やペインティングの表現力に感動して個展の開催をお願い致しました。作品カテゴリーの沢山の抽き出しがある方ですが、まだ見ていない筈の抽き出しの中身にも興味を魅かれます。

山田さんはたいへん率直な所が私等にはとても好もしくまた面白い方と思ってしまいます。イラストレーターとしてのストレートな合理精神と、言葉ではどんなに割り切り良く話してもちらっと溢れてしまう叙情性に山田さんの魅力を感じます。まだ山田さんご自身にも気がついていない何かが、目に見えない力を与えているかに感じられる作品もあります。磨かれた完璧な表現力の内部に存在する、神秘な部分に抵触するものを感じる時等に・・・。

 

                                                       
                                                         
野口純一             

 

 

当画廊では初めての個展となる野口純一さんの「よるとよる」が開催されました。アクリルガッシュで描いた様々な夜ばかりを描いた風景画は、多くの方々の視線を集めました。

静謐な夜の世界の中にある人々の暮らしから野口純一さんが抽出したピュアーな気配を、観る側の人々も確かな感覚で受け止めておられるようでした。

野口さんご自身も彼の作品そのもののように静かな純粋な空気感に包まれた方です。

 

 

 

深谷良一

 

 

その力量がギャラリーからはみ出しそうな深谷良一さんの作品が、今年もとても素晴らしくて、もうすでに来年のアイデアが湧きました。実現したらよいのですが、ご覧になられた方が皆がワクワクする様なとても楽しい企画です。皆様どうぞお楽しみに!

 

 

http://spaceyui.com/schedule/nakamura_takahashi_15.html

 

http://spaceyui.com/schedule/mizumaru_15.html

 

http://spaceyui.com/schedule/ishiitoshiro_15.html

 

http://spaceyui.com/schedule/yamada_15.html

 

http://spaceyui.com/schedule/noguchi_15.html

 

http://spaceyui.com/schedule/fukaya_15.html

 

 

 

 
AAAAA
2014.12.15:月曜日

 

 

 

 

2015年のスペースユイは、水丸さんの展覧会からスタートです。丁度20年ぶりに平凡社から村上春樹さんとの共著「夜のくもざる」が復刊される事となり、水丸さんと次回は俳画を掛け軸に誂えた作品展をと話していた適わなかった計画の替りに、素晴らしいテーマで展覧会を開催できる事となりました。

1995年にも平凡社よりの出版と同時に、当画廊で「夜のくもざる」展を開催、水丸さんの原画と村上春樹氏の原稿と共に数点の版画も発表しております。

村上春樹氏の洒脱なショートストーリーに描かれた水丸さんの36点の絵は、全作品を版画制作をしたいと思わせる、力のこもったものでした。

残念ながら全作品を版画にする事はできませんが、展覧会は「夜のくもざる」からの新たな版画作品をメインに展示させて頂きます。また、伝説的な「青の時代」、若い時代の水丸さんの未発表の小品や復刻版画作品等も展示致します。

展覧会を開催するにあたり、平凡社の方々からは常に適切なアドバイスとご助力を頂き、本当に感謝致しております。また、秋に展覧会が開催されたクリエイションギャラリーのキューレーターの方々にも膨大な水丸さんの原画の中から、こちらの要望する作品を快く探して頂きました。

版画作品と同時に水丸さんが愛着を持たれていた、スノードームやブルーウィロー、灯台等をモチーフにしたグッズも作成させて頂いております。

水丸さんは、日本でも海外でも観光地で販売されている感覚の、独特なカワイイおみやげ感覚のものをたいへん好んでおられました。 その事を特に意識して計画したわけではありませんが、今回、プラモデル製の東京タワーのトートバッグも作ってしまいました。

水丸さんの陶器を作るなら水丸さんの大好きなカレー皿等はどうですか?という陶器の会社のオーナーで、いつもたいへんお世話になっている横山氏のアイデアから、楕円の形をしたちょっと深さのある楽しいお皿も作ることが可能になりました。

そんなグッズ制作の準備に追われていた日々、ヴィクトリー陶器の横山氏と画廊で打ち合わせをしている時に、2月の第一週から始まる、水丸さんの次の週の展覧会開催者の石井逸郎さんがいらっしゃいました。

石井さんは、以前ロイヤルコペンハーゲンで10年間素晴らしい絵付けの仕事をなさっていて、今はフリーランスで日本とデンマークを一ヶ月毎に往復し、二つの国にアトリエとお教室を持つ方です。

この偶然の興味深い出会いに、早速お二人をご紹介をさせて頂きました。陶磁器を取り扱う仕事という共通項はありますが、その背景や製法は全く異なります。そんな横山氏と石井氏ですが、オープンマインドなお人柄のお二人、お話もとても弾みました。

 

 

石井逸郎

 

 

石井氏より昨年から、折にふれて簡単なレクチャーを受けているのですが、今迄スペースユイとは全く縁のない世界、と思っていたロイヤルコペンハーゲンという最高の磁器ブランドと、その歴史的な背景が石井さんを通してちょっと身近な興味ある対象と思える様になりました。

デンマークの「フローラ・ダニカ」という54巻にもなる植物図譜集は、緻密に描かれた原寸大の銅版画であり、デンマークの全ての植物を採集し描写するという作業と共に、それらを磁器に絵付けをする、という事は、国家の学術水準と国力を示すことを目的とした大きな文化事業でもあったそうです。

 

 

Toshiro Ishii  with  FLORA DANICA

 

 

また、隣国スウェーデンと常に緊張関係にあった18世紀のデンマークは、ロシアと不可侵条約を結び、国を挙げて創りあげた磁器をエカテリーナ女王に献上する、という意図もあった様です。

この18世紀に刊行された「フローラ・ダニカ」は、最上の磁器絵付けの元となったものですが、科学的にも芸術的観点からもひじょうに価値のあるこの銅版画はほとんど人に知られておりません。今回石井さんが企画されているのは、これらの銅版画を復刻し、石井さんがリタッチ、彩色をする、というものなのです。250年の時を超えたコラボレーションです。

 

 

 

 

先日、元ハンガリー大使公邸で現在は民間に渡り、展示会場やレストランとして機能する恵比寿にあるQEDクラブという風情ある建物の中で開催された石井逸郎さんの「フローラ・ダニカ」と磁器の作品展に伺って参りました。

王家の紋章が織り込まれた重厚なテーブルクロスの上にテーブルセッティングされた食器や銀のカトラリーや燭台等、ヨーロッパの深い歴史を感じさせるテーブル上の小宇宙は、ひとつの世界史の断片を見ている感覚が致しました。

水丸さんのグッズであるカレーのお皿の打ち合わせをしている時に、ロイヤルコペンハーゲンの絵付けをしておられた石井さんがいらした、という感覚が、スペースユイについての、ある感慨をもたらしました。

丁度その時に開催していた企画展が「BOX OPERA Ⅸ」という、この画廊の長年にわたり行われている9回目の展覧会でしたが、その後すぐに水森亜土さんの展覧会を開催する、という時期でした。クラシックな感性いっぱいの「BOX OPERA Ⅸ」と、ファンキーにはじける水森亜土さんの個展、そして田村セツコさんの「屋根裏部屋のプリンセス」と続きます。自分で計画をしておきながら、あまりに異なる個性にくらくらする様な感覚を覚えましたが、この感覚がこのギャラリーの個性なのだと思いました。

 

 

 

 

皆様の中には、スペースユイの不思議なこの混在的な感じに違和感を感じる方も当然いらっしゃることと思いますし、納得のできる事がらです。

また、一方で人の感性や個性は本当に多種多様でこれほどまでに違っているのは同じ人類なのにどういう事なのでしょう?という思いと同時に、作品をカテゴリーで分けるのではなく、テイストや温度で感じ分ける、という方法があってよい様にも思われます。

ひとりの人間の中には静かに沈静する部分、生き生きと高揚する感覚、様々な振り幅で見え隠れする感覚の世界があると感じます。美しいものも、可愛いもの、驚かされるもの、啓示するもの等、私たちの心がポジティブに刺激されるものは、時間や空間を超えて全てが繋がっている様に思えるのです。

 

 

水森亜土

 


田村セツコ

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/box-opera-9.html

BOX OPERA Ⅸ  IL DRAMMATICO

 

 http://spaceyui.com/schedule/mizumoriado_14.html

水森亜土 個展

 

http://spaceyui.com/schedule/tamurasetsuko_14.html

田村セツコ「屋根裏部屋のプリンセス」

 

 

 

 

 

 

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2014.12.11:木曜日

 

 

 

 

明るく大らかな蒲優祐さんに頼んだら、装丁デザインもイラストレーションも、何でもきっちりとやってくれそうで、知り合ったら思わず仕事をお願いしたくなりそうです。

本のタイトル設定も帯のコメントも、柔軟に作り込み、書籍の装丁というひとつの小さな宇宙を楽しげに表現されていて、完成度の高い展覧会空間が形成されました。紙の素材等、ディテイルにもこだわって、内容に沿った素材を選びました。

蒲さんのグフィックワークは、タッチもテイストも、 あらゆるニーズに応えてくれる感覚です。それも無理なく易々と・・・。

絵を表現するというサイドから見ますと、どの様なタイプの表現も自分の表現でありながら離れた感覚でいる、どのタイプにも固執せず、それぞれを深めトータルな感覚で極め続けておられる・・・、ということでしょうか。

無意識的表現に感じるドローイングやペインティングからグラフィック処理的なイラストレーションやコラージュまで、幅広くタッチの異なる作品が会場に並びますが、色相が統一されているためか、不思議と違和感なくバランスが良いのです。

まだまだ謎の多い若きクリエイターの蒲優祐さんですが、何かを創る事の前提に感じられる、人々との間へのナチュラルな温かさをとてもたいせつなものに思いました。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/kaba_14.html

 

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