2013.04.29:月曜日

 

 

 

佐野洋子個展、やはり大好評のうちに終了する事が出来ました。お出かけ下さいました皆様、ありがとうございました。もう佐野さんにお会いできないのだ、と思いますと今更ながらに残念で悲しみも新たに湧いてまいります。会期中、佐野さんの著書で未読だったものを毎日読みふけってしまいました。
本を読む事でもう一度佐野洋子さんとお会いできた気がして、とても懐かしかったです。それにしても多才な方です。エンターテイメント性、サービス精神いっぱいの本、ドキュメントも小説も こんなに文章で人を離さない作家ってあまりいない。しかも神話の様な叙事詩的な本も書かれました。
佐野さんの最新インタビュー集「ほんとのこと言えば?」の中でおすぎさんがたけしの勲章の事に触れて、あれはフランス政府から電話がかかって来て実費を払ってもらうものよ、というヒトコマのステキな勲章と思っていたのに残念なお話など、抱腹絶倒なエピソードがどの本にも詰まってます。
のびやかな筆致で表現される銅版画も、子供心を掴む絵本も、人の心を鷲掴みにする文章も、神様から沢山の才能を与えられた佐野洋子さんの個展を開催できて、本当に嬉しく、光栄な事と思いました。そしてあらためて、洋子さんのご冥福を心からおいのり申し上げます。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/sanoyoko_13.html

 

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2013.04.19:金曜日

 

 

 

民野宏之さんの作品からは、いつもながら清新な空気を吹き込まれます。今年は特に風景のみの作品で、人の手のかかったものは何もないという潔さでした。

民野さんの作品は、どの様な題材でも底に流れる清々しい感性は一貫しておりますが、毎年札幌から届けられる新しい作風に驚かされます。

今年は、発表された作品の中の森の樹々や林を抜ける静謐な通り道、また時代の空気感を反映したかに感じる空の色などから、安らぎの感覚と共にひそかな不安感にも包まれます。

こういったカタルシスの感覚が、この時代感覚の中にひそむ痛みを伴った心地よさといったようなものを誘うのでしょうか。これらを掬いとり定着させた作品を街中や書籍などの中で再び発見したいものです。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/tamino_13.html

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2013.04.08:月曜日

 

 

岸田ますみ「さまよう風景」は、人々に印象深く作品の余韻を残して終了いたしました。

岸田さんは作品について多くを語る方ではありませんが、作品の画面から様々な言葉や音やまた、名前の付けられない感慨が、饒舌に流れて来る様に感じられました。

抑えた深い色調に描かれたシンプルな謎めいた海や山々、草原の風景は、わたしたちがいっしょに共有している感情を呼び起こされる様に感じ、刺激を与えられました。

そしてこのような感覚をもたらす作品の力を、様々な方が感じ取られた事を現場で感じ、嬉しく光栄な事と思いました。

 

 

http://spaceyui.com/schedule/masumi_13.html

 

 

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2013.04.01:月曜日

 

キッタヨーコ

 

今年3年目となる、「早春の透明」展は、明るく楽しい印象を残して終了致しました。ガラス作家のキッタヨーコさんを中心にした展覧会は、沢野弓子さんと田村愛さんの参加を頂いて開催されますが毎年三人の作品がきれいなハーモニーを奏で、ギャラリーを明るい空気で充たします。打ち合わせをしたわけではないのに、毎年互いの持ち味が響きあうバランスのとれた展示になり、驚かされます。

今年のキッタヨーコさんは、柔らかくヴォリューム感のあるキッタさん独特の個性豊かな作品を造り上げました。マジョルカのガラスヴァージョンといった感があり、どこにも見た事のないオリジナリティーに富んだ作品でした。

 

  沢野弓子           田村愛 

 

http://spaceyui.com/schedule/toumei_13.html

 
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2013.03.24:日曜日

 

安曇野の工房でガラス作品の制作に励む宮本崇輝さん、鳥取の陶芸作家すえむねともひこさん、と、このギャラリーではめずらしいガラス作品と陶芸作品の展覧会が開催されました。

 

 

 

 

宮本崇輝さんは今回が最初の個展でしたが、作品の完成度も高くとても好評な展覧会でした。

宮本さんは、多摩美のガラス工芸を学んだ卒業生で運営する豊かな自然に囲まれた安曇野のガラス工房で作品の制作に励んでおられます。

宮本さんの作品は、現代に暮らす人々の日常の中に取り入れると、温かな心弾むものを与えてくれる感慨をもたらす力がありました。

プロダクト的なシンプル感覚が基底にありながら、冷たさは少しもなく、手づくり感覚の温もりも加わって、独特の魅力を醸成させている様に思います。

改めて宮本さんの作品を目の前にして彼が相当ストイックに造型を研究し、また時代の生活スタイルを鋭敏にキャッチしながら日々制作に生きている事を感じました。

27才の宮本さんの秀逸なトータルな感覚がどのように羽ばたいて行くか、とても楽しみです。

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/miyamoto_13.html

 

 

 

 

 

 

今は鳥取に住み、陶芸の工房を持ち、活躍中のすえむねともひこさんもユニークな素敵な個性の方です。沖縄県立大学で陶芸の勉強をなさったすえむねさんの作品は、どこか海を思わせる色彩やおおらかさが感じられます。

作品は、日常使いの食器から、幾何学モチーフを原点とする半立体レリーフ、そしてそれらの中間に位置する実用性と共に作家性のある作品等、カテゴリーが分かれていますが、全部の作品が、矛盾することなく、ひとつの空間にバランスよく提示されている事が、彼の力量を示している様に感じられました。

すえむねさんは、エッセイや小説も書かれ、また色々な生物についての知識や工学全般等、スタッフ皆なも驚く程、博学多識な生き生きとした方です。彼のビビッドな発想や創造の源流が少年の時代へと回帰し、作品へと結実している事を感じます。

 

 

http://spaceyui.com/schedule/suemune-13.html

 

 

 

 

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2013.03.05:火曜日

 

くまざわのりこ

 

くまざわのりこさんの、天然素材の様に純粋な優しい感触は、この時代に皆さんにとても必要とされていることを感じました。今回は、くまざわさんが長く続けている一保堂の仕事を主に発表致しましたが、同時に、一保堂のお茶をお出しするカフェも試みました。独特なデザインのお茶の缶はたいへん知られており、中味の茶と共に人気がありますが、良質なお茶と、くまざわさんの強烈なまでのやわらかな優しさが、画廊空間いっぱいに充填されたかの様に、皆さんが癒されてお帰りになりました。

京都からのそよ風は、関東圏に住む人々を、眼と、香りと、味覚と、やわらかオーラとで、慰めてくれたかの様でした。

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/kumazawa_13.html

 

 

 

画廊は今、西の方角からの風に誘われて、色々なことを計画したり、考えたり、作業したり、を繰り返しています。

信頼している知人が、今年4月に韓国ソウルに「PLUG FACTORY」というアートスペースをオープンします。小さなレジデンスも付いた、大きさはYUIよりも少し広めの魅力的なスペースです。IT関連にひじょうに強い男子たちで、韓国発英語のアートブックの電子書籍の事業もいっしょに立ち上げ、起業しました。彼らはまた、名古屋にも「ENDUX」というアーティストグッズの店も3月にオープン致します。新しい船出にスペースユイも関わって、今は楽しい準備に追われています。

ソウルの「PLUG FACTORY」は、韓国大統領府の近く、ひじょうに立地の良い場所で、石畳の道沿いの素敵なスペースです。屋根や外観は韓国の伝統的なデザインで、内側は現代のモダンな空間インテリアです。まだ行っておらず、ビデオで見ただけですが、皆さんにご紹介できる日を楽しみにしています。

また、広島県福山市の重要文化財の古民家を建築家が大改装し、1階2階を合わせると160坪ある空間をアートインレジデンスやギャラリー、カフェ、ショップ等で構成する、というひとつのアート環境創りのプロジェクトにもお誘いを受けましたが、スペースが広すぎ、運営は自分のキャパを超えていると思われました。場所も直島にも近く、興味深いお話ですが、自分のできる範囲で関わる事ができたら・・・と思い、秋に完成する大角雄三氏設計のこの建造物をとても楽しみにしているところです。このプロジェクトは、画廊企画展、SCIENCE & PRAYINGでもディレクターとしてお世話になっている伊丹裕さんからのお話で、伊丹さんは東京の他、すでに岡山でも活動を開始されています。

そしてもうひとつの西からの風・・・。兵庫県に鶴林寺という丁度鶴が羽を広げた時の様な特徴ある屋根の国宝のお寺があります。こちらのお寺で、今年の10月から11月にかけての約一ヶ月間、木村かほる(筆者の妹なので敬称略)の個展が開催される事になりました。昨年も依頼がありましたが都合で開催できず、石川和男さんに替わって頂き、好評を博しました。 鶴林寺での絵画発表は、 兵庫県の信頼できるギャラリストの薮多門さんの加古川の美術プロジェクトの一環です。このお寺にも今年の秋にはぜひ行ってみたいと思っております。

 

 

 

2011  木村かほる

 

 

 

今、深谷さんの直面されていることは、私たち皆の問題と思います。深谷さん本人は、もうずっと東京にお住まいですが、緑豊かな福島県の広大な土地のご出身で、ご両親は東京に避難していらっしゃいます。ずっと住んでおられた土地を離れて狭い東京で過ごすご両親は、故郷に帰る日を夢見ていらしゃるようです。現在の日本で、様々なところで起きている、既に日常化している風景かも知れません。既に不可能に近い現実を年老われたご両親に告げるのは残酷な事で、それでは一体どんなことや情報が希望へと繋がるのかを思うととても複雑な気持になります。

こうした環境の中での制作は、相当にたいへんな作業であったようですが、無事に展覧会を開催できました。作品は少な目でしたが毎年の様に力がこもっておりました。

 

 

 深谷良一

 

http://spaceyui.com/schedule/fukaya_13.html

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2013.02.19:火曜日

 

 

 

松本圭以子 展「赤い実かがやく」(絵本原画展)は、松本さんの久しぶりの個展でしたが、とても幸福感溢れる楽しい展覧会でした。絵本の原作者の野中柊さん、そうえん社の福島聖氏さん、との奇跡的なコラボレーションともいえる作品展は、多くの方々の応援から開催の運びとなりましたが、こんなにも多くの方々に作品からの温かな感銘を感じとって頂けるという反応もめずらしいことでした。

絵本の原画展は、ともすると1枚1枚の作品として独立して成立するのがむずかしいのですが、今回は、見事に難題がクリアされた素晴らしい作品展となりました。

絵本も追加が追いつかず、すぐに売り切れてしまいました。松本さん、野中さんの次回の絵本が、早くも皆さんから期待されております。

 

 

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/matsumoto_13.html

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2013.02.19:火曜日

 

 

 

安西水丸展、サイエンス&プレイイング展と企画展が続きました。伊丹裕氏は、現代美術家で、物理学の研究家です。その伊丹氏が率いるサイエンス&プレイイング展は昨年に引き続き好評のうちに幕を閉じました。今年は装身具がメインだったため、空間が昨年よりも少し賑やかな感じでしたが楽しさが加わわりました。自由なイラストレーターははみ出し気味の方々が多くて、伊丹さんのディレクションの中に収まりきりませんでしたが、伊丹さんはすぐに考えをシフトし直されたもようでした!

今回は装身具というテーマだけに、出品者の方々も若い元気一杯な女性アーティストが多く、パンクな感覚のタイツなども出品、伊丹さんの端正な空間把握のインスタレーションとの対比が面白かったです。

また、唯一装身具のプロフェッショナル、長井一馬さんの作品の存在も空間を活性させて下さいました!

 

出品者:エヴァーソン朋子・小渕もも・オカダミカ × t o k o n e・甲斐荘暁子・国井節・澤奈緒・沢野弓子・須川まきこ・東郷聖美・長井一馬・羽山恵・松川けんし(敬称略)

 

 

伊丹裕 作品

 

 

 長井一馬 作品

 

 

 

 

http://spaceyui.com/schedule/science-praying-2.html

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2013.01.24:木曜日

 

 

 

現在、安西水丸個展を開催中です。今年は1984年から個展を開催して頂いている水丸氏の記念の展覧会です。そんな水丸氏について2010年に発表した「ギャラリーノート」という本の一章をご紹介させていただきます。少し長いのですがお読み下さいましたら嬉しく思います。

 

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 そんな日々を過ごしている或る日の事、安西水丸さんがぶらっと画廊に現れた。本当にぶらっと立ち寄られた、という感じだった。その日より以前にもお会いした事があったかどうか覚えていないのだが、ごく自然な感じで「木村さんは僕の後輩なんだってね。イラストレーションの世界にはあまり同じ学校の人がいないですね」と話され「僕に何か出来る事があったら、言って下さい」とおっしゃるのだ。

 私は間髪入れずに湯村さんとの事をお話しし、「急なのですが、できたら個展を引き受けて頂けないないでしょうか?」と図々しくもお願いしてしまったのであった。

 その日の事を今でも覚えている。まるで神様が舞台の陰から配役をしている様ではないか、と思った。それは安西さんも湯村さんも与り知らぬことであり、私サイドからの一方的な僭越至極な見解なのだが・・・ 

 お二人共イラストレーション表現としては、シンプルな線と面の表現という形態である。そんな表現形態の中に共通するテイストと、全く異なる個性が存在する事を魅力的なその画面の中から発見し、楽しませて頂いたものである。新聞や雑誌や広告にと、様々なジャンルで大活躍のお二人のイラストレーションに出会わない日はなかった様な気がする。まだまだ雑誌も広告も元気な時代であった。

 まだ画廊が若い時代に、両雄とも言うべきお二人と出会い、楽しく素晴らしい仕事をご一緒させて頂く事が出来た事をどれ程幸運であったか、今になってしきりに思う。

 水丸さんとは 1987年からずっと いくつものシリーズのシルクスクリーン版画を制作して来た。版画作家ではないので、大体10部から20部限定の少ない枚数しか作らない。極めて原画感覚の貴重品だ。すっきりしているが味わい深い、希有な個性の水丸さんの作品はずっと永続的に人気があり、気がついたら20年間もの間売れ続けており、この画廊の宝物の様な存在である。

 水丸さんは村上春樹さんと時々仕事を一緒になさるので、そんなご縁からギャラリーでも何度かお二人の展覧会を開催させて頂いた。「夜のくもざる」や「村上かるた」の書籍の原画と言葉の展覧会だ。

 世界の村上氏であるが、いつもとても静かな存在感で立っていらして、オープニングパーティーの時来客から村上氏のすぐ横で「きょうは、村上さんはいらっしゃるのですか?」と聞かれた事もある。

 水丸さんの著作に「普通の人」という、普通のサラリーマンや主婦の日常を、楽しげに見えるマンガで描いているのだが、ひじょうに何と言ったらよいのかわからないアイロニカルな不条理な空気感があり、水丸さんの知らない側面が浮かび上がって、マンガそのものの面白さと共にどうしても作者にも興味が湧いてしまう。でもその不条理な不思議感覚をどう表現したらよいかわからなかった。そうしたらこの本の解説文を村上春樹さんが書いていらして、この本「普通の人」こそが安西水丸の「極北」ではないか、と表現されていた。村上さんは水丸さんのこうした面をものすごく理解なさっていて、誠に的確な表現で解説して下さっていたに違いないが、私は「水丸氏の極北」というオリジナルな素晴らしい表現にすっかり心を奪われてしまった。見事なプロの表現に、目から鱗が落ちたと同時に未知の領域を発見した気もして、本当に楽しませていただいた記憶が残っている。マンガの具体的な記憶はなく、エッセンスとしての(極北の)記憶しかないのだが、このお二人を流石なものだ、と実に感心したことが昨日の様に思い出される。そんな事を考えながらオープニングの時等静かなさり気ない佇まいでいらっしゃるお二人の姿を思い出すと、思わずくすっと笑ってしまいそうになる。

 水丸さんはイラストレーションだけでなく、小説やエッセイもお書きになる。小説、マンガ、イラストレーション、絵本と多くのジャンルの編集者や関係者が水丸さんの才能を見逃さない。

 そして不思議なことに、それぞれの表現のジャンルで全く異なる個性を見せつけて下さるのだ。その内のひとつだけに触れたら水丸さんの事を誤解していまいそうな程強い個性的な力を放っている。

 例えばエロティックな大人っぽい小説の世界観とマンガの極北の世界は重なってはいても異なっているし、イラストレーション、特に作品としてのイラストレーション等、官能的な隠し味はあるとしても、やはり際立つ個性は、すっきりとした美しい叙情性といったものではないだろうか。また、可愛らしいウサギやキャラクターの登場するシンプルな絵本と官能的な小説を作者を知らずに読んだとして、同じ作者が書いたと理解できる人がいるだろうか。

 人間の中に多面的に個性が存在する事は当然の事であるが、今あらためて、こんな風にいくつもの個性をはっきりと分けて率直に表現をしている水丸さんて本当にすごい!と思う。そしてどの世界観をとっても強烈でパワフルなのである。

 個人的希望を込めて言わせていただくと、水丸さんの本領はやはりイラストレーションなのだと思う。それも作品としてのイラストレーションだ。

 エロティシズムや極北の人間観察、また相反する暖かな眼差し等といった多層構造的隠し味があるからこそ、あのシンプルなラインの美しい作品には現代の人々の心をとらえて離さない力があるのだと思う。

 様々な状況の元に生きている人々の胸に共感を呼び起こすのだと思う。

 

http://spaceyui.com/schedule/schedule-pu/mizumaru2_13.html

 

 

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2013.01.05:土曜日

 

 年を越えて、2013年になってしまいましたが、昨年も沢山の方々にご来廊を頂きましてありがとうございました。いつも画廊へといらして下さる方々、そしてホームページを見て下さる皆様にはたいへん感謝申し上げております。

 

建石修志

 

 

北見隆

 

 

木村繁之

 

 

 

北見隆氏、建石修志氏、木村繁之氏の三人

 

 

毎年12月は、前半が水森亜土さんや田村セツコさんを中心とした展覧会、後半が北見隆さん、建石修志さん等によるBOX OPERA展と、全く180度異なるタイプの二展覧会ですが、毎年、天使が舞い降りて来る様な展覧会!と、自負致しております。

ずっと田村セツコさんや水森亜土さんの展覧会を続けさせて頂いているのは、作品はもちろんの事、お二人の人間性に強く魅かれているからです。同時代に生まれ、同じ時を駆け抜けてずっと永遠のように活躍を続けられているお二人・・・。周囲の人々を幸せにしたい、という志に胸を打たれます。キュートで可愛らしく幸福なイメージを人々に振りまくお二人ですが、そのプロフェッショナルな姿勢には、女の子の世界を紡ぐイラストレーターなのに、驚くことに男気という言葉が似合う格好よさがあり、感動的です。セツコさんと亜土さん、不世出のツインズ天使かも知れません。今年はお二人にはさまれ大人気サプライズゲストのささめやゆきさんの素晴らしい作品も展示させて頂くことができました。

北見隆さんと建石修志さんの作品の奏でるハーモニーはこの上なく美しい世界をつくりあげます。北見さん独自のモチーフを自由に組み立て表現する感覚と、建石さんの人を寄せ付けない程の精緻な美意識との素晴らしい響宴のよう。展示されている作品からは彼らの多大な分量の知識、磨いた感性の集積が感じられます。そして、作品からは決して想像もできないお二人のピュアーでシャイで人なつこく楽しい人柄も人気の秘密です。今年は個展開催のためお休みの東逸子さんに替わってお二人の強い推薦でご参加を頂いた木村繁之さんの完成度の高い作品には、妖しい魅力がひそんでおりました。

 

 

水森亜土

 

 

田村セツコ

 

 

ささめやゆき

 

 

亜土ちゃん、ささめやさん、セツコさんの三人

 

http://spaceyui.com/schedule/boxopera_12.html

 

 http://spaceyui.com/exhibition

 

 

2012年は、2011年に引き続き、私たちにとって希望を抱くことのむずかしい年だったかも知れませんね。それでも常と変わらず、素敵な作品を創り続けて下さる方々、そして作品の良さを感じ取り理解して下さる方々の存在を、本当にありがたく思っております。

もうずっと以前のことですが、一人の友人から「美術の世界は戦争なんかが起ったらやって行けないね。」と言われて、一瞬返答に詰まりましたが「戦争を起こさない為に美術や表現の仕事がある」と、とっさに答えている自分がいました。

実際に考えるとこれ程困難な課題はありませんが、どんな職業の人でも誇りを持っている人であれば、基本の部分では同じなのではないかと思います。その友人その他の生命の緊張にさらされている様なシリアスな職業を持つ方々を勿論尊敬しておりますが、私は、言葉では説明しきれないものを表そうとする美術表現の世界の方々の意識の高さをいつも誇りに思っているのです。

長年培って来た人々の叡智から生まれた当たり前の様に私たちの社会に作用していたシンプルな決まり事さえも奪われようとしている現在、日本という国の存在自体に誇りが持てなくなってしまいましたが、フリージャーナリストによる一情報によりひとすじの希望をもたらされました。

冤罪の裁判が続き、すっかり信用を失った司法の世界ですが、最高裁が昨年の10月と3月に平成22年の参議院、平成21年の衆議院共に選挙の地方毎の”一票の格差”に関して違憲状態であると判決を言い渡していること、また、昨年12月17日(選挙の翌日)に全国の高裁・高裁支部27カ所に一斉に提出した弁護士グループによる引き続き違憲状態で行われた選挙への訴訟が受理され、裁判所サイドは異例のスピード感覚で対処しているという情報、選挙のやり直しという可能性が充分にあり得るというお話があります。

いっぺんに文面が硬くなってしまいましたが、こういったことを最早私たちには関係ない、とは言えない世の中になってしまったと感じております。裁判所や国や報道機関等、本来自分たちを守ってくれる為の存在であった筈の機関やシステムが信頼を失っていること自体がとても不思議な感覚ですが、思えば正義感の強い人々が本来なら中心となっている場所でした。ネガティブな感情にとらわれがちな今、ずっと立ち向かって下さっていた弁護士グループの方々の存在が本当に心を明るくしてくれます。

何を信じたらよいかわからない、という言葉が多く聞かれます。少なからず自分の中にも存在する意識ですが、どんなジャンルの中にも信頼に足る職責を果たそうと出来る限りの仕事をしている方がいるという現実に出会い、そしてすっかり希望を見失っている中に、もう一度そのひかりを見い出すことができるなら、こんなに嬉しいことはないと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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