2021.04.05:月曜日

 
 

 
 
DMのための画像が送られて来た時に、そのアマリリスの花の絵を見て、民野さんの心境の素敵な変化を感じました。
札幌から民野さんがいらして、搬入が終えた後、その疑問をストレートに伺ってみました。民野さんのお話によると、湖の見える道東にある民野さんの知人の小さな家にアトリエ替わりに数日滞在した時の事、窓から見える緑の木々を描いていて、急に絵の描き方が自由なものになった感覚を掴まれたとのことです。作品画面と筆の触れ合う中で、絵の具の用い方が今までの方法に捕われなくなったのだそうです。
約30年の間、ほとんど毎年個展を開催して下さる民野さんですが、時々新たな貌を見せて下さいます。
私がギャラリーを始めた理由は、「自由」というキーワードに尽きるような気が致します。背景に節度を持った自由である事は述べるまでもありませんが、表現する事においてのカテゴライズやスタイルから解き放たれたギャラリーにしたかったのです。
そして時代は、どんどん変わっていきますから、ギャラリーの在り方、絵画やイラストレーションもクオリティーは揺るがないものでありながらも、メディアと共に歩んで行く方向にしよう、と考えていました。絵画も彫塑も純粋な美術ですが、システムをイラストレーションのようにメディアに乗せ、広げていくべきと思っていました。
時節や流行や、また逆にマンネリズム的方向からの影響から離れて、言葉や他のどんな方法でも表せない表現としてのヴィジュアライズされた作品が素敵だな、と感じます。
民野さんを始めとしてそんな風に思っているクリエーターは案外大勢いて、彼らはとても自由です。
でも、そういった作家たちと一緒に仕事をし、広げて行く事に携わるメディアやお仕事の関係の方々の中には、本質的なものとは関係のない様々なファクターから離れられず、目には見えづらいけれど一番大切な感性を見逃している感覚を時に感じます。
魅力的な大きな力を持った作家さんの作品よりも、気軽に使い易い作品をメディアに掲載する傾向が続いていたら、美術というものの力の持つエネルギーの無駄使いになると思います。
私は、自分のギャラリーを支えている志が間違ったものなのかも知れないと悩んだ時期もありましたが、民野さんのような作家さんの作品、そして温かな気持にさせられる作家さん自身とギャラリーとの絆を考えますと、決して間違っていなかったと今では思えるのです。
そして、現在では作家がSNSを駆使し、自身もメディアを持つ時代となりましたが、彼らはその分野ではプロフェッショナルではありません。素晴らしい雑誌や書籍や広告関連のお仕事に携わる方々には、素人メディアの方々に負けない、充実のお仕事、期待しております。
親しさに甘え、民野さんの展示についてのページを借りて私事を述べてしまいましたが、民野さんご自身はずっと理想的な形でのお仕事を続けられ、カミユやサルトルの著書の翻訳物の装幀、トルーマンカポーティや現代作家の表紙も飾ります。何と言っても一番印象的なお仕事は、「わたしを離さないで」=カズオ・イシグロの表紙のイラストレーションです。昨年惜しくも亡くなられたアートディレクターの坂川栄治さんが来られて、打ち合わせをされていた情景が今も目に浮かびます。
毎年、民野さんの個展が近くなるにつれ、多くの民野さんファンの方が感じていらっしゃるに違いない、懐かしく温かなものが心に宿ります。
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/tamino-hiroyuki-2.html

AAAAA
2021.03.24:水曜日

 
 

 
 
2012年3月に初めて開催して頂いた、小池アミイゴ個展「東日本」。
未曾有の災害に罹災した方々に対して、今でも語るべき言葉が見つけられずにおります。
そのような時に画廊の仕事として出来ることの最も大事な試みが、小池アミイゴさんの個展を開催する事だったと思います。
被災地に行き、人々と行動を共にし、絵を描き、文を書き、子供たちとワークショップをする、それらの行動の全てがアミイゴさんの心の底からのクリエイティブな営為と感じます。
2021年の今回の個展「東日本」は震災10年目となる特別な展示でしたが、大変な経験をされた方々への共感の思いは元より、数々の活動を通して感じられる、健康なまた障害のある全ての子供たちへの優しい眼差しは、アミイゴさんのDNAに組み込まれたものという彼の真髄に改めて触れさせて頂きました。
今回は、空気感が本当に美しい新作絵本「はるのひ」を上梓するにあたって、ご苦労をされた様子なども含め、アミイゴさんに文章をお寄せ頂きました。
 

 
2012年3月の開催から6回目の開催となった個展「東日本」、3月17日に無事に9日間の会期を閉じることができました。

コロナの状況の中、お気遣い頂いた上でお運びくださいました皆様、ありがとうございました!

お運び頂いた方と絵を前に語り合う言葉は、ボクが次に何をするべきかのインスピレーションに溢れていて、1人ひとりと向き合う時間がほんと愛しかったです。

そうした会話からは、「東日本」というタイトルで10年やって来た意味に気づくことも多かったです。

今回は「はるのひ」という絵本を上梓した直後ということもあり、その原画も数点展示してみました。

「はるのひ」は、お話をいただいてから仕上がるまで3年3ヶ月かかった絵本で、小さな男の子がお父さんと声掛けあいながら走ってゆく、小さな冒険の物語です。

10年前の震災や原発事故、その後も度々起きた自然災害、そしてコロナの感染拡大という時代の中、日本の各地でお会いする人たちの暮らしに触れ、子どもたちが育ってゆく上で必要とされる、親子関係の原風景みたいなものが創れたらいいなと願いました。

ただ、それは頭で考える物語では無く、身体で覚え表現するようなことだろうなと。

それがどういうことか深く考えること無く、物語のプロットだけを頼りに旅に出てしまい、行く先々で出会う風景や人、足の裏や肌から感じるものによって、世界観を構築していったのは、2011年3月11日以降描いてきた絵のあり方と重なります。
そんなやり方だから、この物語が「春」を舞台としていることに気がついた時、そして、主役の少年に「こと」という名前をつけた時の2回、すべての絵を描き直しました。
さらには、少年の指先の角度をちょっとだけ修正しようとしたら、結局その他99パーセントの画面全てを描きなおすなんてことを、場面によっては20回くらい繰り返した絵もありました。

3年3ヶ月の間には、ご縁を頂き歩いた奥会津や塩竈、天草や知床、台湾や父を看取った群馬の地でも、自分の足で歩き回り、多くのインスピレーションを手にし、作品に色彩や構図、キャラクターに落とし込んでゆきました。が、その都度「ちがうー!」と心で叫び。何が違うのかわからずまま絵をぶっ潰して…
結果、3年3ヶ月も荒野を彷徨い続けてしまった感じです。

自分はなぜこんな遠回りをして絵本を作らねばならないのか?
制作期間中は分からなかったことが、今回東北を始め日本各地や台湾まで描いた絵と並べてみることで、明快になったように思います。

ボクが子どもたちと共有したいことは、ボクが人との出会いで得た感動が見せてくれる風景を、確信を持って一気に描き切る、そんな心の突き抜けた気持ちの良いもの。

ボクがお邪魔する土地に暮らす人が、普段見ているであろう何気ない風景。その何気なさが美しきものであることで、生かされるものってあるよなあ。それは、あーでもない、こーでもないと筆をためらい描くようなものでは無く、日常をスッと抜ける一陣の風のようなタッチで表現するべきだなあ。
だから、板にアクリル絵の具を何度も描きなおしを繰り返すとしても、それは白い紙に水彩で一気に描き上げた絵のようでありたいと思っていたんだな。
そんな10年目の気づき。

1枚の絵を描き続ける先で、「あ、終わった」とバタっと筆が止まる瞬間があります。

そうして生まれたものは、あらゆる理屈を受け付けず、昔からそこにあったような顔をしています。
もしくは、おおらかな時間の流れを宿しただそこにあるもの。

理屈じゃなくただ存在する。

そうしたものの尊さと儚さと潔さ。

津波で、原発事故で、コロナで、もしくは生きづらいと言われる時代の中で、放っておいては失われてしまいかねない美しきもの。

それを表現するためには、制作にちょっとでも躊躇いを感じたら、全部を描きなおすしかなかったんだなあと。

そこで手を抜いてしまっては、
三陸の凍てつく海でワカメや牡蠣を育てている人や、
天草の灼熱の海で天日干しの塩を作っている人や、
台湾では育てるのが難しいされる梨の栽培に尽力する人や、
もしくは、一杯の珈琲を提供することに人生をかけて取り組む人に、
伝わるものは出来ないということです。

そうしたことがわかっていれば、もっとスムースに描けたのか?
それがわかったことで、これからはもっとスムースに描けるのか?

それはわかりません。

ともかくこの3年数ヶ月は、こうした破壊と再生を繰り返すしか、描くべきものが作れなかったのです。

絵を描くことを続けてきた2021年の春、相変わらず新人のような気持ちでいられることが、良いのかどうかも分からないですが、これからも「わからない人」であることを自覚し、人との愛しき出会いの中で、なにか輝くものを見つけて行けたらいいなと願い、この展覧会も終わりでは無く、次に続くのです。

そう考える先でまたなにか生まれたら、1人ひとりに分け合う気持ちの元、絵のある気持ちの良い空間を創ってゆきますので、その際はまた足を運ばれ、ひと言ふた言の会話を頂けたらうれしく思います。

こうした現場は、もちろんボクひとりでは構築出来ず、丁寧なオーガナイズを与え続けてくれる荒野の並走者 space yui に感謝であります。

2021
0317
アミイゴ
PEACE!!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/koike_amigo.html

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2021.03.15:月曜日

 
 

 
 
藤本巧さんの初めての個展「コレクション」が、たいへん好評のうちに終了致しました。
若々しいモチーフを明るく優しい色彩で表現したイラストレーションの作品画面からは、穏やかな大らかなエネルギーが伝わって参りました。
藤本さんの作品の特徴のひとつに、常に画面の中に可愛らしいキャラクターが参加していて、思わず笑みがこぼれてしまいます。彼らは藤本さんの作品にとってたいへん重要な存在なのかもしれません。
キャラクターたちは、魚やカニ、哺乳動物から人間まで、あらゆる生き物たちが、緩やかにしかし時にはエッジの効いたタッチで登場致します。
そして彼らは画面の中にさり気なく、またナンセンスな感じに佇んでいたり、弱気な者も怒っている感じの者もいたりしながら溶け込み、イラストレーション全体の楽しさをバックアップしています!
顔彩という難しい画材を使って描かれる藤本さんの作品には、冷静に熟考し技法を操作しながらも楽しさ溢れる画面に定着させるための創意が充ちています。
23才という年令でこれだけの完成度を持つ藤本さんの今後がとても楽しみですが、大きな伸び幅の感じられる個性と、作品全体から流れるさり気ない温かさを、たいせつにして頂きたいと切に感じております。
昨年まで、東京工芸大学で谷口広樹さんの教え子だった藤本さんは、ご縁があり当ギャラリーのスタッフでもあります。ギャラリーのお仕事の中でも、彼の誠実さを実感しております。
次回の個展も本当に楽しみです!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/fujimoto_takumi.html

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2021.03.05:金曜日

 
 

 
 
本年も山田博之さんの作品展が無事終了しました。
山田博之さんは、毎年テーマを決めて個展作品を描き上げ、会場全体の雰囲気を作品が醸成する世界観に染め上げられ、訪れた方々を楽しませて下さいます。
2021年個展のテーマは「Cactus:仙人掌」、壮観にさまざまなタイプのサボテンが描かれました。とても絵として映えるモチーフと思います。
作品全体をリアルに表現するタイプの作家さんと思いますが、スーパーリアルな表現に寄せながらも山田さん独自の省略の仕方や繊細に平面上で描き分ける描法などの巧みさ、しかもそれらを全体的にひとつの画面に定着させる画法はひじょうに魅力的で、本当に山田さん独自のものと感心致しております。
また、細密な表現とラフな線のタッチやペインティングと組み合わせたプレゼンテーションも山田さんのオリジナリティーを際立たせていると感じさせられます。今回の展示された作品の中にも、様々な表現によるご自分の作品の部分を切り取り、コラージュした作品が、「Cactus」とはまた別のパワーを放っておりました。
絵を描くという行為自体が、ごく自然に山田さんご自身と一体化していて、どのような作風でも自分のものとしてこなしてしまう、というエネルギッシュな力量は、あまり感じた事のない感慨です。
山田さんの来年の個展テーマを、今から楽しみにしております!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/yamada_hiroyuki2021.html

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2021.02.23:火曜日

 
 

中村幸子+中村桃子
 
 
うつくしいひと・・・。
何ともこころ魅かれるタイトルです。
久しく温めていたギャラリーの企画展、中村幸子さんと長女の桃子さんによる2人展を開催いたしました。
 
  母・中村幸子とのはじめての2人展です。ひみつですが、
  タイトルは母からイメージしてすぐに決まりました。
  これは、そんな家族の戯れです。    中村桃子 ・・・(展覧会DMより)
 
スペースユイでは中村幸子さんと、数十年に及ぶお付き合いがあり、幸子さんの個展開催は元より、シルクスクリーン版画や多くのTシャツやファブリック等のグッズ類も、楽しく遊びながら作って来た歴史があります。
幸子さんは、デビュー当時からユニークな個性を持つ評判のイラストレーターでした。ミステリアスな多少の毒っ気の含まれたイラストレーションから、ファッショナブルなテイストの作品まで、多くの分野で多才ぶりを発揮いたしました。
中でも一番に魅かれた幸子さんの作風は、作品全体が醸成する、画面空間の背景から匂い立つように流れ出る美しい気配を持った女性像だったような気がいたします。
そして桃子さんの描く女性像も、フレッシュな清々しい空気感が真っ直ぐに心の奥にまで伝達され、作品を見る人の心が打たれるのです。
現在の桃子さんの活躍ぶりには、幸子さんのイラストレーターとして同世代時の感覚を彷彿とさせる、感慨深いものがあります。

桃子さんがまだ本当にBABYの頃、拙宅にて幸子さんや友人と時々時間を共にした記憶がありますが、あっという間に桃子さんは大きくなって立派なアーティストとして成長しました。
母、幸子さんの生来の個性である不思議な、次元を超えた世界観の表現は、人々と共感できる部分と不思議な謎の部分とがあると思われます。
ある意味現実感覚を相当逸脱した不思議な感覚を持ったアーティストとしての姿勢の幸子さんと共に生きて来られた桃子さんは、その魅力やテイストを充分に吸収され、消化&昇華しながらご自身の作風を作り上げて来られたのではないかと感じます。
そして展覧会場では、お二人の作品が画廊空間の中で呼応しあいながら、言葉には表現しがたい空気感を作り上げていると感じております。
幸子さんの画面からは4.5次元の振動が伝わって来て、理解は難しいけれど誰でもこの新たな感覚を美しいと感じられる。
桃子さんの瑞々しい作品は、幸子さんの作品よりコミュニケーションが容易な分、切なさの含まれた晴明なパワーを受け取ることに説明が要らない。そんな感じが伝わって参ります。

アーティストにとって、エゴイズムが勝っていてもそれはアーティストの特権なのではないかといった意見が多々ありますが、最近それは違うのではないかと思っております。
自由な心の中に花が開くように、絵画、音楽、演劇etc.、多分野において溢れ出た表現の時代を通過、60年代から現代へと今から振り返ると激動とも言える時代を通り抜けて、時が成熟した今、人々は気がついていると感じます。
クリエイティブな創造的な精神は、「思いやり」というごく当たり前の心をすでに肉体化していて、一番に捉え、そんなこと言葉にする必要のないほど自然体なのかも知れません。
目に見えない次元を示唆する不思議な世界観を描く幸子さんの、思いがけない強くきっぱりとした思いやりの心に何度も遭遇し、感動した記憶があります。
様々なことがらを乗り超えて、多様な個性を内包し年齢の力も借りながら紡ぎ出される幸子さんの作品からは、辺りを祓うかのような引力が感じられます。
また、桃子さんがしっかりとそんな美質を受け継がれ、新たな力へと育み、驚く程多くの方々の共感を得ておられることが頼もしく、素晴らしいことと思います。
 
桃子さんのイメージする「うつくしいひと」が、幸子さんである感慨に、他人が実に僭越なことですが、胸が熱くなる思いです。
 
 

中村桃子
 
 

中村幸子
 
 
http://spaceyui.com/schedule/nakamurasachiko-nakamuramomoko.html

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2021.02.13:土曜日

 
 

 
 
 堂前さんの最初の個展から、知らぬ間に11年目を迎えました!
 そして、函館からいらっしゃる堂前さんの作品を心待ちにして下さる方々が年々増えて参りました。今年は、新たな表現方法の作品と、更にパワーアップした以前からの描法の作品とで、素晴らしい展示ができました。
 静かな佇まいの堂前さんですがご自身の中に結実した豊かな経験から、実はお話しするととても楽しい方です!
 会期中に偶然お出かけ頂いた、函館出身のイラストレーターの水沢そらさんのご実家のお店だった木造のレトロな建物と、堂前さんの現在のお店である、はこだて工藝舎へ引っ越される以前のお店が同じ建物だったという偶然も発覚!お二人が不思議なご縁で繋がっていたことがわかりました!
 現在のはこだて工藝舎も歴史的な立派な建造物、そしてそれ以前は港町特有のエキゾチックな木造建築の建物を店舗に選ばれている堂前さんの感性に、あらためて感じ入っております。
 堂前さんの作品の中には函館の街の風景が描かれたものも時々あって、見ほれてしまいます!
 今回は、堂前さんに想像力を刺激される素敵な文章をお寄せ頂きましたのでご紹介させて頂きます。
 

 
 今住んでいる函館には高校入学の時に初めて来て、それはもう47年前にもなります。あれからいろいろな所に住みました。その結果たった3年間の下宿生活の中で過ごした記憶が、今の函館生活に繋がっています。当然当時は若く何も分かっていませんでしたが、まだ町も少し元気があったのでしょう、よくいろいろな所を歩き廻りました。
 陶器を作る場所として仕事場を探しに戻って来たのが30年前になります。バブルも終わって町もだいぶ傷みが出始めた頃だったのか、古い建物も次々と壊され、それ以来今も空き地が増えています。住む人がいなくなって窓ガラスが破れ、雪で屋根が壊れそうになっている家を散歩途中に見ても、普通の景色になりました。窓からは昨日まで人が住んでいたように台所道具がぶら下がったままで、通り過ぎるたびに目が行きます。ここでどんな生活があり、玄関を開けてどんな人が出入りしていたのだろうと、つい思ってしまいます。
 特に立派な家ではなくても、物語が感じられたり浮かんだりする街並みが残る町が、函館旧市街地です。そういう事を感じる年頃になったと言うことかもしれませんが、高校時代も同じように感じていたので、今ここにいるのでしょう。
 いつか作品を見て何か函館生活が感じられるような物が作れればと思っています。
 
 今年が普通の年で過ごせますように。
 
堂前守人
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/doumae_morito2021.html

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2021.02.04:木曜日

 
 

 
 
コロナ禍の影響が1年以上経っても尾を引いている今、世界が止まってしまったかの様に感じられる日々を私たちは過ごしていると感じております。
法的なストップも補償もないまま、昼間の時間も外出を控えることを推奨する政治家たちの声を聞きながら、私たちは矛盾の中で仕事を進め生きて行かなければなりません。
素晴らしい作品を通常の状況の中で皆様に提供でき、共に楽しむ時間を共有できたら、と思わずにはいられません。
創造に携わる人々は、そんな状態でもエネルギーを全開にして創作を続けて行くことを余儀なくされます。
そして、星野哲朗さんの作品展では、昨年も本年もコロナ禍の中でのリスクある時期の開催にも関わらず作品の圧倒的なパワーを皆様に届けることができたのではないかと思っております。
元々、ペインティングの作家の方はエネルギッシュですが、星野さんも、例に違わず大きなパワーを抱いている方です。
いつもキャンバス上に思いの丈を全て表すかの様に、丁寧な様式美溢れる星野さん独特のテクスチュアを以って画面を完成に導きます。
星野さんの作品は、ひとつ々の画面の中に沢山の思いが込められていて、見応えたっぷりです。
しかし時には、画面のヴィジュアルの情報量やメッセージが多くて、時間をかけて観賞しないと人々が受け止めきれない場合があると感じました。
その為ギャラリーでは、星野さんの持つ内在的なホスピタリティーを表すには、引き算的な思考スタイルが良いのではないかと思うに至りました。時代を生きる人々は、忙しくリスキーな問題を抱えています。
そうして、星野さんの作品としては小さなシンプルな作品に、人々は共感を持ち所有したいと思って下さいました。
本年の個展では、星野さんに画廊サイドからの勝手な申し出を引き受けて頂き、本当に感謝しております。
来年の作品も、自信作をすでに手がけていると伺いました。星野哲朗さんの創作意欲に脱帽です!皆様どうぞ来年の星野さんの個展もお楽しみになさって下さい!
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/hoshino_teturo2021.html

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2021.01.31:日曜日

 
 

 
 
 谷口広樹さんの、作品に向かわれる姿勢をずっと拝見させて頂いていて、そのエネルギーとチャレンジ精神に対し、いつも驚きと尊敬の念を抱いておりました。
 長年ずっとトップを走り続けられている谷口広樹さんの膨大な分量の作品の中には、人々が未だ見ていないご本人さえも忘れているかも知れない珠玉の作品があるのではないかと想像致しました。
 今回は、そんな僭越なギャラリーサイドからの希望を快くお引き受け頂き、谷口さんのアンソロジーアルバムの様な版画作品と共に新たな息使いのフレッシュな新作品の展示が実現できた事をとても嬉しく思っております。
 谷口さんから、今個展につきましての素敵な文章をお寄せ頂きました。
  ↓
 
 コロナ禍の中、緊急事態宣言も発令されたにも拘らず、個展「儘風―mama kaze」をたくさんの方にご高覧いただき、感謝の意に耐えません。改めて「儘風(ままかぜ)」という個展のコンセプトについて触れておかねばと思います。
 昨年、世の中はコロナ一色となり、自分と対峙する時間が増えていきました。お陰で、忙しさに追いやっていた自分というものを取り戻すこととなり、本来の自分の趣味志向というものが浮上しました。特に霊的なことへの関心が噴出し、改めて学習・研究すべきことが山のようにあることを再確認しました。
 そんな状況の中、個展についてのインスピレーションをいただきました。この数年「花」を自由に描く表現を「儘花(ままはな)」と名付け嵌っていますが、「新しい時代」を受け、花を風に置き換え「儘風」としてみようと思い立ちました。「風」を描いていこうという訳ではなく「風の如く儘よ!」という「気持ち(=精神)」を表現することを主体として描いたらと考えたのです。「新しい時代」とは何か?それは「風の時代」ということです。これはコロナの吹き荒れる時間の中で再認識した占星術から得たものです。
 2020年12月22日が過ぎ、200年続いた土の時代が終わり、風の時代が到来したそうです。その変化の過程の中で、昨年は疾風怒濤の如くいろいろなことが起こり、我々は時代の変化を眼の当たりにしました。時代が変わっていくことで価値観の変化が起こり、その不安は当然あるのですが、むしろわくわくとしてこれからの時代に思いを馳せている自分がいました。この状況下に屈しない意外とタフな自分にも評価しつつ、これからの時代をどう生きていくかと、今、思案しているところです。
 私もあと30年生きるかどうかという年齢になりましたが、残る人生はしっかりと「いのち」を燃焼していかねばと心に刻んでいるところです。風の時代を迎え、私自身がどんなものを創造することができるのかということがとても楽しみです。
 コロナとそれによる経済的な混乱等、人々にとっての試練がまだまだ続くだろうと予想されます。みなさんが心穏やかに過ごされますよう心より祈念しています。
 
 

 
 
http://spaceyui.com/schedule/hiroki_taniguchi2021.html

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2021.01.10:日曜日

 

2019年3月に続いて「PLANTS OF PLANET vol.2」という展覧会を計画致しました。
SPACE YUIには、YUI DROPSというアロマテラピーコーナーの存在があり、エッセンシャルオイルやフラワーウォーター等、厳選したアイテムを取り扱っております。
そして出品者の皆様は、植物のパワーや不思議な魅力をテーマにしたこの企画展の意図をステキに読み解いて下さり、素晴らしい作品を発表していただきました。
今回は、出品者の方々の作品をご紹介させて頂きます。
★出品者名:

伊丹裕、東逸子、萩原美里、門川洋子、北沢夕芸、北見隆、木村かほる、木村晴美、沢野弓子、須川まきこ、 下川路博美、 建石修志、谷口シロウ、谷口広樹、民野宏之、星野哲朗、松川けんし、水沢そら (敬称略)
 

 

*出品者の方々を代表しアロマテラピーの神秘的、深淵な側面を見事に表現して下さいました。
 

 

*「植物の量子力学」というタイトルに魅かれます。7.83Hzは地球の振動数・・。
 

 

*凜とした叙情的な空気感の中、柑橘の香りが漂います。
 

 

*eucalyptusというタイトルと名前、神話の登場人物のようです。
 

 

*植物の精は視覚に映らなくても、実際にはこの様に存在している。
 

 

*白地に浮かぶレリーフの植物のかたち。そして、はかなげな天使。
 

 

*くっきりとあざやかに、しかも透明感を携えて。
 

 

*流れる小川に、花々に囲まれたゆたう。タイトルは、ー休息ー
 

 

*心踊らされる靴のかたち、小さなネックレス。コラージュのモチーフは身近な装身具。
 

 

*花々の香りの中のわたし。
 

 

*荘厳な薔薇の精は、人間の顔をも持つ。
 

 

*Adam & Eve。人類の原型。神々の系譜はまた、人に準えられる。
 

 

*宇宙の花や植物たち、互いに語り合う。
 

 

*美しく、小さな花を真正面から描く。オキーフだけの構図ではなく。
 

 

*男性の集合的無意識の中にある女性像の原形であるアニマ・・・?。
 

 

*白い紙の張り子、そしてアルミのツリー。整合性あるフォルム!
 

 

*古代から草花の様子も少女の眼差しも変わらない。
 

 
http://spaceyui.com/schedule/plants-of-planet-vol-2.html

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2020.12.22:火曜日

 

 

 

 
誰も真似のできない信耕ヒロ子さんの籐の作品には、遊び心いっぱいの楽しさが溢れます。
そして作品は、楽しさだけではなく、ダイナミックな迫力が人々を惹きつけます。
正確な描写力で籐という素材を編み、作品として作り上げて行きますが、小さな肖像のオブジェ等はモデルになったミュージシャンや政治家たちに実に良く似ていて驚かされるのです。
またご本人自身もユニークで個性豊かな信耕ヒロ子さんは、映画のヒロインにも抜擢され、その映画がPFF(ぴあフィルムフェスティバル)のグランプリを取られました。
会場にはその映画と、信耕さんの作品がモチーフとなった演劇的な映像もギャラリー会場に流れておりました。
信耕さんが、籐というオリジナルな素材を駆使して制作されるオブジェは、小さな手のひらに乗る可愛らしい作品から、等身大の人間まで、本当に自由自在なのです。
信耕さんには、籐という、オリジナルな可能性に満ちた不思議な素材で、更に私たちを驚かせて頂きたいです!
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/shinkohiroko_2020.html

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