阪本純代さんの作品に初めて触れたのは数年前、ななめ上方から描写した小学校のお教室内部のイラストレーションの下絵をツイッター上で拝見した時のことでした。その時に、阪本さんの実力と相当ながんばり屋さんなのだなという事を実感した事などが、懐かしく思い出されます。
建築の図面から起こされたようなそのスケッチ画は、鉛筆でラフに描かれたものでしたが、人の心に響くエネルギーを孕む印象的な一枚であったと思います。
今回の展覧会では、これまで阪本さんが培って来られたテクノロジーが見事に花開いた様に感じました。多くの建築家の方々が憧れ、遊び心に満ちたシステム家具デザイン等で知られるジョエ・コロンボを彷彿とさせる作品も魅力的です。
イラストレーション、パノラマとして展開される楽しいファニチュア設計やアニメーション映像的なファンキーな都市計画も、2次元世界で自由自在に表現される阪本さんの作品には、ダイナミックな可能性が溢れておりました。
また、想像力溢れるロボットたちのキャラクターのアイデアや感性も女性の発想とは思えないところも含めひじょうに興味深く、DMになった作品は、意義深い素敵な仕事を獲得する契機ともなりました。
作品の画面構成能力の中に阪本さんの感覚的進化が加味された美意識には、右脳と左脳のバランスの良さを感じ、感銘を覚えました。
AAAAA
今年の卯月俊光さんの作品のテーマは「富士山」。数十点を超える作品の全ての色彩の組み合わせと表情が異なり、ヴァラエティーに富んでいます。
和紙のテクスチュアを生かして着彩され箔を施されメイクアップされた富士山は、伝統的テイストを控えたポップなパワーが燦めきます。
・・・・とここ迄書いて、改めてYUI GARDENの義山さんの書いた卯月さんの作品へのコメントを読み、感心しております。
YUI GARDENのスタッフは、ボスの横河氏、サブリーダー国枝氏の他に後4名の若い建築家と経理の方、全部で7名の方々ですが、ギャラリーは建築家が仕事の分担を決めて運営にあたって下さっております。その中で、新たな展示の搬入が終えるとFBにコメントを書く係が義山さんなのですが、会を追う毎に腕が上がって来て、各々の作品へ向けられる視線の的確さにちょっと私としましては脅威を感じているのです!!
日々の仕事に追われて(ぐずぐずしていて)私は何週間か後にブログを書くのですが、何と義山さんは作品を観ると同時に、瞬間的に書いてしまうのです!
今後は、YUIのブログ、義山さんのコピペにさせて頂こうかしら?・・・という事で、今回の卯月さんの作品への彼のコメントをご紹介させて頂きますネ。
コンクリート壁に架けられた30を超える富士山の作品。
空間の高さを活かした展示、見上げて気づく富士の山。
水彩紙に型紙、染料、箔。現われる柔らかな色彩。
富士山に雲、月・・記号的にも見える一つ一つ。
大きく、絡まり、多様な色使いが 自然の壮大さを
改めて伝えてくれるようです。
日本的にあるモノに対し、POPに新たな視線を与えてくれます!
ある規則的な行為が反復、そしてゆらぎ。
騙し絵でもない、繊細で巧妙な技法。
アクリルにデジタルフィルムを組み合わせた作品は圧巻。
これは何ですか?そんな質問を卯月さんにしました。
今思うと野暮なクエスチョン・・
それは「何か」ではなく、
技法が形となった、「そのもの」なのかもしれません!
http://spaceyui.com/schedule/utsuki_14.html
スペースユイ hp
https://www.facebook.com/yuigarden?fref=ts
ユイガーデン fb
AAAAA
アニメーションからイラストレーション、油彩画と、日本のビジュアル史に燦然と行跡を残されている久里洋二さんをゲストにお招きしての、山口マサルさんとの二人展は、お二人の頭脳から次々と生み出されるイマジネーションの豊かさを再確認させられる事となりました。そして今回は、久里さんの美しいお仕事ぶりの油彩画も展示頂きました。
久里さんが昨年の山口さんの個展にお出かけ頂き初めてお会いした時に、ご本人から放たれる予想を超えた楽しい人物像に感激したものでした。お年を重ねられてしか得られない、達観し身に付いたユーモア感覚が周囲の人々を包み込んで、その場にいる皆を愉快な気分にさせて下さいます。
山口さんも相当に陽気な親分気質の方で、私たちの気分を明るくして下さる方ですが、親分の親分はやっぱりすごかった!
普段から早口で頭の回転も猛スピード、せっかちな山口マサルさんですが、作品も素早いイマジネーションを瞬時に画面に定着させたかの様なイラストレーションでした。ひとつの画面に無尽蔵に湧きい出るアイデア満載の空間造形や風景やキャラクターが登場して、サービスいっぱいですので、味わう側も楽しくて見応えがあります。また一方で、そんな山口さんの世界観はそのままに、イメージや時間が止まったかの様な静かな作品が意外に人気がありました。
AAAAA
本当に、世の中の人々が茶畑和也さんの様な人ばかりだったら、争い事も裏切り行為も戦争も起きはしないのに・・・、と思います。
平和がご本人のDNAに滲みわたった貴重な大切な人類代表、茶畑和也さんの作品展は、私たちの周囲にいつも温かなのんびりした空気をふりまきます。
緩やかな性格の茶畑さんですが、きっちりと見据えられた政治社会の真実を教えて下さる側面もあります!破壊された様な現実のさなかでさえもゆったりと人々を見つめる目線がしなやかな茶畑さんの作品は、未だひたすらに穏やかで楽し気に見えます。
茶畑さんの作品世界が、更に大きく広がりを持ち、圧倒的に平和な世界に向かって行き、作品のWAVEが世界を包み込んで行って欲しい!と切に思うのです。
http://spaceyui.com/schedule/cyabata_14.html
茶畑和也hp
信耕ヒロ子
確かな造形技術とフレッシュな感性が藤という素材に生命の息吹を吹き込んで、見事な作品世界を創り続けておられる信耕ヒロ子さんの意欲的な作品展でした。
身近な動物たちや虫、恐竜等もモチーフにして、自由自在に楽しい作品を細い籐素材で編み上げます。巻貝、蜂の巣が照明器具として用いられる灯りを素敵に取り入れた作品も魅力的でした。小さなクロワッサンを形どったブローチはまるで食べられそうな感触も楽しく、遊び心満載の作品は幅広い層の方々に人気があります。
それらの楽しい小さな作品の他に、ダイナミックな人体等の彫塑的な素養がなければできないトルソー作品も見応えあるものでした。
ご本人の個性もユニークな信耕ヒロ子さんの作品は、色々な側面から刺激的でした。
http://spaceyui.com/schedule/shinkohiroko_14.html
信耕ヒロ子hp
AAAAA
岸田ますみさんの作品画面からは、圧倒的な空気感が感じ取れます。大地を流れる風、雲。海と空も、草原と空も、同じ色を纏い合い、或る時には異なる表情も見せて、全てが一体になったり、分離したりしながら、私たちを取り巻く存在とその不思議さを呈示するかの様です。
一体にグレイッシュな色調や人気のない風景は、孤愁の感慨を呼び起こすと同時に、何か言葉にはならない刺激的な心地良い風が吹き抜けているかに思います。
1987年にスペースユイで初めての個展を開催された時には、明るいシンプルな色感と構図の静物画が多く、写真の今回発表された小品の油彩画からは岸田さんの当時の作品を想起させられます。これらの作品はまるで、夫君である安西水丸氏の作風にリンクしているかに見えますが、こののびやかな線は初期の頃の岸田さんそのものです。
2回目の1989年の個展以来、現在に繋がる、岸田さんの思索的な色感の作風は一貫しておりますが、沈静した感覚の色彩群の中に出現した鮮やかな油彩画が、とても意外であり、またフレッシュな印象を受けました。
今年の3月、突然水丸さんが逝去され想像に難くない思いをなさっておられるにも関わらず、ご苦労を微塵も感じさせない岸田ますみさんの作品展は、感動的な一週間でした。
http://spaceyui.com/schedule/kishitamasumi_14.html
田村愛さん、京都の大学や専門学校で教鞭を取りながら、毎年個展を開催するがんばり屋さん!もうまなちゃん、とは呼べない位に学生さんたちにも信頼の厚い田村愛さんです。今回は、体調があまり良くない中で、本当に良く頑張ったと思います。もうすっかりお元気な様子ですが、田村愛さんの小柄な身体から生み出される誰よりも大きな作品が、今年も展示されて感動致しました。シルクスクリーンをプリントする作業は、体力も精神力も要する事と容易に想像できますので、毎年の田村さんの大作への挑戦には頭が下がります。
紙にもファブリックにも自由に何でもシルクプリントができる田村愛さんの、制作への熱意には、並々ならぬものが感じられます。
また、今年の作品には、普段よりも濃い目の色感新たな側面も表現されておりましたが、持ち味である作品の透明感は少しも損なわれず、改めて田村さんの力量を感じました。
http://spaceyui.com/schedule/tamuramana_14.html
イギリスからのジョン・シェリーさんの展覧会は、2年ぶりの夏の開催でした。前回は「ジャックと豆の木」の原画を、今回はミケランジェロがダビデ像を制作する迄を描いた「巨人の影に」の原画を展示致しました。
シェリーさんは、ずっと以前は広告の仕事をメインでなさっておりましたが、徐々に絵本の制作へと移行して参りました。
彼の、オーソドックスな絵画的描写力を軽妙なタッチにギアチェンジして行く個性や現実的な物をアーティスティックにまた、カリカチュアなセンスを込めて描いたりといった、インターナショナルな意味での絵本作家としての資質を以前から感じ入っていたものですから、シェリーさんがコンスタントに日本やアメリカの出版社でクオリティーの高い絵本を出版する様になられた事をとても喜んでおります。
また同時に、常に時代の風を纏い、ファッショナブルな感性を併せ持つシェリーさんにとって、コマーシャル等の仕事も天性の才覚があると思います。
2012年に「ジャックと豆の木」の展示の時に、ミケランジェロのまだ彩色してない段階の作品を見せて頂いた事が今回の展覧会へと繋がった時の様に、今回はシェークスピアが主人公の絵本のラフスケッチを見せて頂き、とても大きな驚きと感動を覚えました。シェークスピアを核にして、当時の人々が演劇や実際に演劇が繰り広げられる劇場とどの様に関わり歴史を築いて来たのかという事がとてもわかる表現でした。特に当時のロンドンの建築物が日本の歌舞伎や神社の形態とも通じる感じが興味深かったです。
次回は、2016年の夏の開催になりそうですが、シェリーさんの来日に際しては、彼の優しい眼差しと共に在る深い人間洞察やインテリジェンスに触れる事のできる楽しさに満ちたものであり、日本の友人達も最早心待ちにしておられる事と思います。
お嬢さんのセレンちゃんとクロネコとのイギリスでの暮らしも、いつかシェリーさんの手によって絵本に描かれたら、どんなに楽しく親密感溢れるものになるでしょう。
http://spaceyui.com/schedule/johnshelley_14.html
SPACE YUI hp
http://shelleyjapan.blogspot.jp/
John Shelley: blog
AAAAA
竹井千佳
夏の展覧会もジョン・シェリーさんの展示を残すのみとなりました。今日、展示の準備作業をしましたが今年も素晴らしい展覧会です。シェリーさんの展覧会のご報告は後日させて頂きたく存じますが、7月の後半には、自身の絵の中から抜け出したかの様に若々しく活力溢れる竹井千佳さんの展覧会が開催されました。
作品を鑑賞する人々の気持を引き立てる鮮やかな色彩の作品画面ですが、パステルがかった色味が加わって絶妙のバランスのペインティングに、細い面相筆による輪郭ラインが加筆され、千佳さんの独特の作品世界が形成されて行きます。丁寧な美しい作業です。
若い女性の可愛らしさや生活感覚、またある種の醒めた視線や少女の無垢な狡猾さも内包されたイラストレーションは、竹井さんの手によって、強く温かな印象を差し出されます。
本来、はち切れんばかりに健康でキュートな女の子たちの表情からは、何やらアンニュイな風情も立ち上り、無意識のうちにもこの時代の苦さを体現しているかに感じられます。作品に散りばめられたオリジナルスパイスが生かされて、ぴりっと作品を引き締めているかの様です。
時代や人々の表情を切り取るセンスと制作に於ける技量の確かさが合わさって、活躍の場の更なる広がりが予感されます。
竹井千佳
http://spaceyui.com/schedule/takeichika_14.html
竹井千佳 個展 hp
松本圭以子
また、7月の前半の松本圭以子さんの「あの日、あの頃」は、子猫と女の子とのやさしくやわらかな日々の風景を描いた作品展で、ベテランの筆致が充実の安定した世界観を表現し、多くの方々と共に楽しませて頂きました。
熟達した技術で表現されるパステル作品の画面からは涼しい風が吹き抜ける様な清涼感が感じられました。
松本圭以子
http://spaceyui.com/schedule/matsumoto_14.html
松本圭以子 個展 hp
シーノ・タカヒデ
シーノ・タカヒデさんの作品は、何時もながら、描くのが楽しくて仕方がない、といったワクワク感が伝わって参ります。猫を沢山飼っていらして観察しておられる為か、魅力的な人間の様な猫も登場して人気です。アフリカのおしゃれな女性や男性たちのファッションや風俗も生き生きと表情豊かに描かれます。
シーノさんの作品は、現在YUI GARDENにて開催中ですが、天井が高く自然光の美しいギャラリー空間での、今回のシーノさんの作品は大きさもあり、とても映えるのではないかと期待されます。
シーノ・タカヒデ
http://spaceyui.com/schedule/shiino_14.html
シーノ・タカヒデ 個展 hp
AAAAA
今年も人気者のあずみ虫さんの展覧会が、「物語のための絵」をテーマに開催されました。宮沢賢治やアンデルセンの物語の中の情景から創造した完成度の高い作品が展示され、好評を博しました。
あずみ虫さんは、安西水丸さんのイラストレーション塾に通う生徒さんの一人でしたが、水丸さんが生徒の資質を上手に引き出す名人だったことは、水丸さんのアドバイスから生まれたブリキを切って絵の具を塗る、というあずみ虫さん独特の作品スタイルを見ても理解できます。
素材と作家の感覚とがぴったりとフィットし、物語の中の様々な場面を描いた作品から、見る人を豊かなここちよい心情へと誘うエネルギーを感じ取ることができます。
http://spaceyui.com/schedule/azumimushi_14.html
堂前さんの陶器に描かれた絵は、自然に溶け込むかの様な色彩の優しい華やぎがあります。見つめていると、じわっと良さがにじみ出て来るいぶし銀の様な魅力がある陶器と思います。
土から器の形をつくり上げ、絵を描く、という作業は、時間と労力のかかる仕事です。柔らかな花柄が人気ですが、幾何学的なシャープな模様も組み込まれていて、しかも会場全体がひとつの流れに統一された世界観があり、作品の持つ力量を感じさせられます。
堂前さんの器は使い込んで行くと更に味わいが深く感じられ、そして困った事に食欲を増進させる性格を持っている様なのです。
http://spaceyui.com/schedule/domae_14.html
AAAAA
あっという間に月日は過ぎて行きます。YUI GARDENでの木村かほる個展も始まったばかりと思いましたらもう明日で終了です。相変わらず緑の中の建物は風情がありました。鳥を追いかける子供たち、ゆっくり散歩を楽しむ人々の間を縫って、澄んだきれいな小川が流れます。時々小さな生き物がせせらぎを跳ねている様子が見えます。
そして、遥かに高い天井から注ぐ光線が空間全体に広がり、ギャラリーはさながら光の箱の様でした。
今日は、横河設計工房の国枝さんにアトリエで建築模型を見せて頂きました。国枝さんはじめ若いスタッフの方々がそれぞれに担当された現実の建物を想像しながら楽しい時間を過ごさせて頂きました。
YUI GARDEN来週は、備前焼の天野智也さんの展示です。光に反射して淡く空間に溶け込む様な絵画から、土のどっしりとした個体の作品へと変わる空間の変化も楽しんで頂けると感じます。
天野さんは今年で7回目となりますが、私の様な陶芸の世界の素人にもその力量が解る様になって来たのでは、と僭越ながら思います。
建築の世界にも繋がるシンプルな構成的な作品も含まれており、ご本人のお人柄と相俟って、年月を追う毎にどんどんファンを増やしております。
シンプルな事と味わいのある事とが結びつくのは、逆説的ですが、多くの素敵な作品に当てはまるのではないかと思われます。
七年前に岡山市でご活躍のギャラリスト薮多門さんから、備前の若手で素晴らしい作家がいるのでぜひご紹介をしたい、と伺った時には、いつか大好きな備前焼の展覧会を開催したいけれど、何の情報もなく雲を掴むかの話だった私には本当にありがたく、即答でお返事させて頂きました。今となりましては藪さんには本当に感謝です。
http://spaceyui.com/schedule/amano_14.html
AAAAA
木村かほる
ずいぶん久しぶりのブログ更新となります。妹、木村かほるの個展・・・far away・・・、その前週には守屋文典個展、と、奇しくも水丸さんの後輩にあたる作家の発表が続き、日芸に縁のある日々が続きました。
二人とも日大芸術学部の油絵学科卒業で、デザイン科で大先輩の水丸さんと知り合ったのは社会に出てからの事ですが、水丸さんにはずいぶんお世話になりました。
また、油絵学科の主任教授で、美術学部長であった中谷貞彦先生と妹とは年令の離れた仲良しで、デザイン科卒の劣等生代表の私も含め不思議な三人組での東京のレストラン食べ歩きツアーはずいぶん長い間続いておりました。そんな三人組の中に水丸さんが加わられた事もありました。
水丸さんにも教鞭を取られた事のある中谷先生は、ダンディでインテリジェンスに溢れていて、ジャンルを超え水丸さんに影響を与える程、自由な精神の方でした。当時の美術学科の受験では、デッサンの上手さよりも線の勢いを見る、と伺った記憶があります。デッサン偏重の受験体制に疑問を呈していらした水丸さんと中谷先生が重なります。
日大芸術学部は、楽しい学校でした。高校三年の一月に無理矢理進路を方向転換し、無謀な受験をしてようやく補欠合格した史上最低な美大生だった私は、悲惨な実力のまま新入生として授業を受ける事となりましたが、そんな私よりもデフォルメの激しい面白いデッサンをする人もいたりしてびっくりしたのを思い出します。一方で相当に力量のある学生達もいて、そんなデコボコな感じも自由な雰囲気を盛り上げていました。
自分の出身校について、あまり考えた事がありませんでしたが、同級生の建築家の横河健さんとYUI GARDENを通して一緒に仕事をするようになったり、水丸さんの愛校精神が何だかとても嬉しい感じがしたり、と最近不思議と日芸との縁を感じる日々です。
とは言え、どこに行くのか何を勉強するのかもまるで解っていなかった私をむかえてくれるのは、この学校しかない!という感覚はかなり以前から持っていて、本当は大好きだったのかも知れません。
守屋文典
守屋文典さんは、妹より一学年上でその学年トップの成績だったそうです。思慮深く、端正な作品は本人の姿勢そのものの様に感じます。スペースユイが歩き始めた時からずっとお付き合いさせて頂いておりますが、文学青年風な佇まいとその作品からは清潔な怜悧なそれでも優しい風が吹いて来るかのようです。
一見ロットリングで描いた様に見える線も、実は面相筆で息を止めるようにして描いており、見る人は驚かされます。柔らかな水彩の画面に筆で描いた墨のラインが緊張感を持って、時には可愛らしくもあって、平面表現の快さを感じさせられるのです。
守屋文典
http://spaceyui.com/schedule/moriya_14.html
また、妹、木村かほるの作品展では、解りづらい抽象作品であるにも関わらず、多くの方々に理解を得た事もありがたい事でした。喘息の為に油絵の具が使用できなくなった事で、画材変更を余儀なくされ随分悩んだ時期もありましたが、最近では自由に表現ができるようになった様です。空間が重なって表現されている事をたくさんの方々から面白く感じて頂けましたが、二つの真逆な興味深い批評を頂きました。
空間だけでなく、時間の層も閉じ込めようとする人間の業の深さを感じる・・という批評と
人としての、悲しみや暗さ等が感じられない・・・、という指摘の両方が面白かったです。
また、YUI GARDENの若き建築家の義山さんが書いて下さった妹の作品への批評が素敵でしたので、こちらに掲載させて頂きます。彼の視線と文章がいつもとてもフレッシュで楽しく読ませていただいております。
「TOKYO BABEL」「TKYO 赤ずきん」「TOKYO」
「SNOW MOUNTAIN」「廃墟と蝶」「CYCLE」
「ICHTYS Ⅰ 」「ICHTYS Ⅱ 」「FAR AWAY」等の
タイトルの作品を約20点展示しております。
抽象表現を追求した絵画・・という風にも見えるし、
構成の「図と地」で見てみると、必ずしもそうではなくて
形(具象)が色・彩色表現を引き立て一つのトリガーに
なっている印象もまた受けました。
形は円や矩形、時には家型。それらは全体の持つ淡い色彩の
流れの中で描かれ、関係が逆転するモノではなく、
作品の持つ空気感を纏ったオブジェが見え隠れ、
目に写り込んできます。
タイトルに着目してみても興味深く、単に作品の印象を
言葉で表す事以上に、木村さんの想い・世界観が文字に
現れているようで、
図・地・言 3つの関係で作品を見てみても良いかもしれません。
木村かほる “TOKYO BABEL”
http://spaceyui.com/exhibition/kimurakahoru_14.html
AAAAA
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