2020.12.21:月曜日

 

 

 

 
昨年の秋、当画廊では最初の個展でしたが、たいへん好評を博した荻原美里さんの個展が開催されました。
個展終了後も魅力的な作家による書籍の装幀等のオファー等が絶えず、その人気の程がしのばれました。
おしゃれな北方系の都会的エッセンスの気配をはらむ荻原さんの作品は、どこか寂しげなアンニュイな感覚が流れますが、人間の温もりが潜んでいて、作品に触れた人々の心に残ります。
多才な荻原さんは、文章も素敵です。下記にご紹介させて頂きます。
 

 
2020年12月12日 個展を終えて

朝、いつものようにブラインドを開けたらどんよりとした曇り空。じっと目を凝らしてみるとあいにくの雨。
 
もう一年。今年は特に早く感じた。自粛期間があったせいかもしれないし、歳のせいかもしれない。果たして人は来てくれるのだろうか・・・
 
たった一人でも観に来てくれるなら、その人がドアを開けて、私の作品たちを眺め、最後に背中を向けて帰る時、何か大切なものを思い出し、余韻がいつまでも続くそんな個展にしたいと思った。何度も何度も自分が観に行く立場になってイメージを重ねた。音、森の香り、偉人たちの言葉、そして一枚一枚の作品。
 
私の作品は水彩画なので、どこかサラっとしていて、色も寒色が多い。もしかしたら、普通だったら気づかずに通り過ぎてしまう作品たちなのかもしれないけど、透明なセロハンを重ねるように何層も色を重ね深みを出している。偶然の滲みや色の重ね、削り出し、白をかけて行く工程は人生を歩むのとよく似ているのかもしれない。今回の個展のDMに使用した「Day in the life」はこの世の中、大変な状況の中で、必死に個々の人生を戦い生きている人に、一度深呼吸をして叫びながら雪の中を心の中で走ってもらいたかった。何度も転びながら、冷たくて硬い大地を、先の見えない自分の人生に向かってただただ走ってもらいたかった。
 
最後に、お忙しいところ、足を運んで下さった皆様、会場を提供して下さったSPACE YUIの皆様、ありがとうございました。素晴らしい出会いと皆さまにお寄せいただいた声を励みに、これからもまた、お目にかかれる日を楽しみにコツコツと作品を制作していきたいと思っております。今後ともどうぞよろしくお願い致します。


 
簡単ではございますが、書中にてお礼申し上げます。
 
 
「涙が出そうになるくらいに、生きろ」
Live to the point of tears.
 
Albert Camus
                                         
                                           荻原美里
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/ogiwaramisato_2020.html

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2020.12.15:火曜日

 

 

 

 

今年の松本圭以子さんの展覧会テーマは、昨年に引き続き「猫」がテーマの、「しっぽの続き」と題した作品展でした。
表情豊かな猫の肖像画が、ギャラリー空間に、壮観に展示されました。主人公である黒猫の日々の生活のひとこまひとこまが楽しく丁寧に描かれた作品は、猫好きにはもち論ですが、猫に興味のない方々にもたいへん興味を持たれました。
パステルを主体とした画材で時間を重ねてリサーチされた猫の姿態や顔の表情が表現された画面からは、プロフェッショナルなイラストレーターの重みが伝わって来るようです。
ずっと大人向けのイラストレーションの仕事が多かった松本圭以子さんですが、最近は、絵本や児童書の出版関係の方々から興味を持たれる事が多く、たいへん人気があります。
作家の野中柊さんとのお仕事での児童書、ルビねこシリーズ第二弾「ルビとしっぽの秘密」の原画も一部展示され、好評を博しました。
「猫」を通して皆様の心が温まって欲しいという作者の試みは、見事に伝わっていったのではないでしょうか。
確かなテクニックと観察能力とで、絶え間なくイラストレーターとして、活躍を続けておられる松本さんの今後が楽しみです。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/matsumotokeiko_2020.html

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2020.12.08:火曜日

 

 

 

 
2018年の個展に引き続いて、今回も「髪」がテーマの作品が生まれました。
2018年は「舞毛」、今年2020年は「乱気流」というタイトルで個展が開催されました。
展覧会の開催前に、須川まきこ個展「乱気流」のDMを拝見した時、何やら今の時代を表すようなタイトルの音の響きと共に、豊かな長い髪をセクシーになびかせた女性の肖像の上にレイアウトされた高橋善丸さんデザインの文字も素晴らしく、今回展示作品の完成度の高さが想像されました。
搬入時に作品の開梱を終了した際には、意に違わず全ての作品がエンターテイメント精神いっぱいに、力強く表現されているのが見てとれました。
女性たちの長くヴォリュームのある髪が風にたなびき、アールヌーボー様式のような曲線を描く様子は、いつしかひじょうに個性的な須川さんの作品モチーフとして定着しており、これからも独自の表現として進化し続けて行かれるのでしょう。
毎回驚くほど多くの方々が訪れる人気者の須川まきこさんの個展は、コロナの状況も変わらず良くならない中での開催でしたが、皆さんの心の中のもやもやした感情をいっとき拭い去ってくれる力があったと思います。
須川さんの作品には、全てに渡り人を喜ばせよう、楽しんで頂こう、という精神が息づいていて、作品を拝見していると、とても楽しい気分にさせられます。
作品を見てその力を見る側が受け取って感じるということは、作者も見る側の人々からエネルギーを頂けるという感覚があります。
作家と作品と来廊される方々とのサーキュレーションが素敵ですと、ギャラリー空間もハッピーな感性に満たされます。そのような時が、ギャラリーの人間として、とても稀有な幸運な経験と思うのです。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/exhibition/sugawamakiko_2020.html

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2020.12.02:水曜日

 

 

 

 
仁後真理子さんの、4月に予定していた展覧会でしたが、このコロナ禍で大幅に延期となり、ようやくこの11月に開催となりました。
7ヶ月間も日にちが開いてしまったため、作品の点数もたいへん多くなりました。予定が大きく変わってしまい、仁後さんには本当にお気の毒だったと思います。
そのような事情から、数々の作品の中には仁後さんの新たな試みも見られました。白無地の陶器に絵付けされたたいへん味わいのある独特な風合いを持った皿やカップが展示されました。
仁後さんは、陶芸の砥部焼で知られる愛媛県の砥部市へと出向かれて、白生地に、藍色の呉須と呼ばれる顔料で鮮やかなイラストレーションを描きました。
人々に愛でられるタッチの絵付けは、とても初心者のものとは思えない出来栄えでした。
これまでの仁後さんの真骨頂とされている可愛らしい動物たちだけがモチーフではなく、草花がモチーフである食器は、印象も新たに、誰の目にもその力が伝わったのではないでしょうか。
また、仁後さんの大胆且つシンプルでキュートな動物たちの絵は、常に絵本の編集者の方々の注目を集めていて、優れた絵本を多く出版されています。
年齢の低い幼児絵本を得意とされる仁後さんは、ご自身も純粋な子供の魂を抱かれていて、そんなスピリットを心から大切に、ご自身の胸に湛えられているのでしょう。
編集者の方々の手から、絵本という形で子供たちに手渡された仁後さんの作品の意図は、確実に沢山のピュアな心に届けられている、と感じております。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/nigo2020.html

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2020.11.22:日曜日

 

 

 

 

「境界線」という、興味深いタイトルのオカダミカさんの個展でした。
 ファッショナブルなモチーフとテイストに定評のある、オカダミカさんの、意外とも思われる側面がテーマの個展だったのでしょうか。
 「目線や立ち位置を変えれば、そのどちら側にでもいける。 境界線を作るのも無くすのも、超えるのも自分。そんな気持ちで境界線をテーマに制作してみます。」・・・オカダミカさんのDMに書かれたメッセージです。
 ギャラリーを訪れる方が多様に解釈のできる「境界線」というタイトルは、想像力を湧かせながら作品を鑑賞できるキーワードとなる言葉だったと思います。
 今回の展示作品には、女性二人の肖像の頭部の部分が溶け合っているモチーフのものが多く見られました。異なる人間同士の考えや感性の違いを超えて行くことの意味を提示されていたように思います。
 「美意識やイデオロギーの溝は埋められなくても、共存して行く。」それは案外に容易いことなのではないか?オカダさんの作品が指し示しているように思います。
 また、オカダさんの作品の元来からの特徴でもありますが、描かれている女性の視線の神秘的な不思議さを感じます。作品の中でファッショナブルな衣装に包まれながら、現実世界のその先の遥か彼方を見つめている人の眼差しには、一体どのような世界が映っているのでしょうか?
 それらの観点からオカダさんの作品を拝見しますと、観る側のイマジネーションを誘う様々なファクターが、光るモザイクの様に見え隠れしているように思われます。 
 ご本人の、愛情溢れる姿勢と冷静さとがファンデーションとなり創出された作品からは、繊細かつ鋭敏な心情を包括しながら、揺るぎのない核心のような芽生えが感じられます。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/okadamika2020.html

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2020.11.14:土曜日

 

 

 

 
ものを創る人に取って、直観はとてもたいせつと思います。
論理的思考を基本としなければならない、また生来の思考の規範、ほとんどの基盤が論理に依って成る人々によって成立している社会を鑑みた時、特に感覚的かつ直観的世界観から成る分野のはかなさと、実に大切な重みとを同時に感じております。
太古の時代には、論理的な世界と直観的な世界が拮抗していたのではないでしょうか?
そして時間軸を空間軸に替えて考えた時、再びその問題に突き当たる気が致します。
眠りの中での夢が自分の頭で考えた事ではなく、他人の想念の電波としてやって来る場合があるように、論理を超えた目に見えない世界観までをどうにかしてキャッチして行くことの重要さを痛感しております。
シーノ・タカヒデさんがアフリカの大地に立って、視界をめぐらせた時に得た感覚は、人々からすでに奪い去られた神話の世界を想起させるものではなかったでしょうか。
地平を超えただけではなく、まさしく時間的なものも超えて、シーノさんはアフリカに魅かれて行ったのではないでしょうか。
アフリカの世界を描き続けているシーノ・タカヒデさんの心の中には、強く刻印された消えないインスピレーションのようなものが存在し、生き続けているのかも知れません。
長期に渡り何度も渡航していたアフリカ滞在という経験で培われたその印象の感覚が、普遍的な論理さえも味方にした柔らかな直観と結びついて行ったら・・・、と想像致します。混迷の極まる時代、プリミティブな本質的な生き物としての人間を、思い興されます。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/shino2020.html

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2020.11.10:火曜日

 

 

 

 
本展覧会に於ける沢野弓子さんには、心から感謝申し上げたいと思っております。
3ヶ月にも満たない準備期間での個展開催でしたが、見事に素晴らしい展示を成し遂げて下さいました。
10月末のこの会期は、カナダ在住のイラストレーター、スリープレス・カオさんの作品展が予定されておりました。カオさんとは最後の最後まで開催について話し合いを続けて参りましたが、このコロナ禍の中での開催リスクを考慮し(カナダ、日本両国での各2週間の自主隔離の義務等)、断念せざるを得ない結論となりました。
スリープレス・カオさんの展示は丁度1年ほど延期となりましたが、来年10月には素晴らしいイラストレーションを皆様にお届けできると思っております。
さて、今回の沢野弓子さんのアイデアと意外性に富んだ展覧会は、沢野さんによるスタンプのコレクションから発想されたひじょうにユニークな展示でした。
誰に見せるという目的ではなく、これだけ多くの珍しくまた貴重なスタンプを、日本だけでなく、ヨーロッパの蚤の市などでも買われて沢野さんがお持ちだったという事は全く知らなかったので、とても驚かされました。
ゴム製のスタンプだけではなく、細い金属がまるでタワシのような、大きな歯ブラシのような構造で作られている、見た事のない花々のスタンプもありました。
スタンプの製造された時代も、100年以上を経たものから新しいものまでと時代もそして地域にも幅があり、嫌でもイメージが膨らんで参ります。小さなギャラリー空間の中に立ち現れた、時間も場所も超えたプレゼンテーションだったと思います。
お客様には、沢野さんが縫製された小さな木綿地や麻の小さなポーチに、それらのスタンプを自由に好きなだけ押してもらって各人独自のヴィジュアルスタンプ作品を作って頂くという贅沢な時間を、たっぷりとお楽しみ頂けました。
大の大人の皆さんが、子供のように夢中でスタンプを押されている姿が本当に楽しそう!素晴らしい時間でした。
また、ヤシの繊維を用いて作られたブローチやコラージュ作品も既視感のない新感覚の作品で、皆の眼を楽しませて下さいました。
グラフィックデザイン的なエッセンスとセンスをバッグ等に置き換え、沢野さんが豊富に持たれている装飾的なパーツをコラージュした作品も、変わらぬ人気を誇りました。
例年は、2年に一度のペースで開催して頂いておりますが、今回は思わぬきっかけからフレッシュな展覧会が開催できました事、ギャラリー、そして沢野さんファンの方々にとりましても、幸運な経験でした。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/sawanoyumiko2020.html

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2020.11.03:火曜日

 

 

 

 
手島加江さんの作品に込められた思いが、すーっと心に届けられる時、心地よい風の感触や自然の中に立ち返る佇まいを感じます。
漉かれた和紙に載せられた墨の香りが、優しい花や女性像にのって匂い立つ様です。
清潔な墨を一本の線で表現する手島さんの姿勢をとても清々しく感じます。
そんな手島さんに文章を書いて頂きました。
 


 

私は、青い花が好き、白い花も大好き。作品展を予定した時にはこ
 
のような年になるとは、思いもよらず、、、
 
年の初めには呑気に構えていた。しかしマスクが店頭から消え怖い
 
ニュースが目から耳から入り気持ちがどんどん縮こまっていく。
 
追い討ちのように友人の大病などでがんじがらめになってしまっ
 
た。
 
そんな時、友達の励ましの言葉をもらい気持ちを立て直すことがで
 
きた。
 
マスクは日常になっても自分を開放される時は、好きな草花を見て
 
いる時だ。
 
今回このテーマにして良かったと思う。
 
絵を見てくださった方々が少しでも微笑みになれたら、いいなと思
 
います。 (手島加江)
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/tejimakae2020.html

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2020.10.23:金曜日

 

 

 

 
小山春子さんは、真言宗の僧侶であるご主人と、港区に在る寺院での日々のお仕事にも従事していらっしゃいます。
作品には、そのような背景から生まれるのでしょうか、独特な魂の世界が感じられます。
麻などのさっぱりと清しい白や生成りの生地に、白の刺繍糸で表現された静かなモチーフが優しく大らかに浮かび上がります。所々に集まり縫い付けられたビーズの集合体が光に反射してきらめき、糸や布地との質感の対比を美しいハーモニーで奏でているかのようです。
白地とは逆に黒地を生かした夜景を描いた作品も大人気でした。
布地に刺した糸やビーズでしか表現できないかも知れない独特な質感が、夜景という状景を完成度の高い作品へと作り上げました。
日常の楽しい物たちや風景、そして形而上学的な世界まで、描かれるモチーフは多岐にわたりますが、小山さんの個性がトータルに反映されていると思います。
刺繍等の手仕事的な作業は、編み物などにも共通すると感じられますが、精神の衛生にも貢献する部分があるのではないでしょうか。
作者の制作時の気持ちが伝わるかのように、作品全体から穏やかな、観る者の気持ちを緩める気配が伝わって参ります。
小山さんの多様な貌を持つ作品が、今年もどんどん洗練されていらっしゃる事を感じ、更に驚かされたい!という気分が生じております。
 

 

 

 
http://spaceyui.com/schedule/koyama_haruko2020.html

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2020.10.16:金曜日

 

 
この度は、急なお願いにも関わらず完成度の高い山崎杉夫さん、信濃八太郎さんの二人展「僕の町、僕の場所」を開催する事ができ、快くお引き受け下さったお二人には本当に感謝致しております。
安西水丸さんの教え子だった山崎さんと信濃さんの展示は、現在のコロナ禍の中、海外に滞在のため個展開催が困難になった方の会期でした。
今回、とても水丸さんの存在が色濃く感じられ、懐かしい思いにかられた一週間でした。
山崎さんの大胆かつ繊細にデフォルメされた構図を透明感のある鮮やかな色彩で表現された作品と、対をなす信濃さんのしみじみとした感情を紡いだ暮らしの場である街や馴染みの空間の描写、そんなお二人の絶妙なコンビネーションが楽しく味わい深い展覧会でした。作品に添えられた万年筆で書かれた文章や文字からもお二人の個性が感じられ、お人柄が偲ばれました。
今回はお二人に、文章をお寄せ頂きましたのでご紹介させて頂きますね。
 

 

Sugio Yamazaki
 

 
「僕の町、僕の場所」というタイトルや絵と文を一緒に展示するというアイデアは信濃くんからの提案でした。いくつかアイデアを出し合ったもののこれが今の気分には一番しっくりくるなと感じ即決しました。遠出が難しい今、自分の町を見直すいい機会になりました。身近すぎて見落としていた景色を発見したり、忘れていた昔の出来事を思い出してみたりと何か絵日記でもつけるような感覚で描きました。
また、グループ展は個展とは違う難しさがあると常々思っているのですが、今回は違和感なく展示できました。 先に述べた展示テーマや文も書くこと以外、事前に特に細かい相談はしなかったのですけど、展示枚数や作品サイズもバランス良く会場に収まりました。これはやはり付き合いが長いせいかもしれませんね。伊達に20数年間、飲み続けてきたわけではないんだなと確信しました。
そして、数年前までそうした酒席の真ん中にはいつも恩師である安西水丸先生がいました。
先生ゆかりのギャラリーで展覧会ができることは僕たちにとっては特別なことでした。会期中にはオーナーの木村さんと先生の思い出話をしたり、信濃くんと共に、先生が馴染みだった寿司屋で〆張鶴を飲みました。最終日に大雨が降ってきたのも、雨男だった先生が労いに来てくれたものだと信じています 笑
生前、水丸先生は人とのご縁をとても大切にしていました。大きな会社の社長でも僕たちのような名も知れぬ雑草のような教え子に対しても常に丁寧に公平に、そして楽しそうに接していた姿が印象的でした。考えてみればこの二人展もいろいろなご縁が繋がって実現した訳ですが、元を辿ってみれば水丸先生に行きつくように思います。未だお世話になりっぱなしの信濃と山崎ですが、これからも人とのご縁を大切に、一枚一枚楽しんで絵を描いていこうとあらためて感じさせてもらった貴重な6日間になりました。 山崎杉夫
 

 
始まってしまえばあっという間でしたが、初めての場所で展示させていただくことで新たな出会いもあり、とても貴重な時間となりました。機会を与えてくださったスペースYUIの木村さん、高橋さん、そして連日秋雨のなかご来場くださったみなさまに改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。言いたいことはぜんぶ山崎さんが書いてくださっているので繰り返しませんが、僕らにとって月に一度安西先生とお会いする時間は、楽しみな一方、何より緊張する時間でもありました。話題豊富な先生の前に「手ぶら」で臨むことなどできませんので、そのために一ヶ月間、本を読んだり、映画を見たり、展覧会に出かけたり、新しい飲み屋やカレー屋を探したり(山崎さんなんて茶道まで始めたり!)して過ごす。そんな準備の時間が何年も続いたことが、僕たちふたりにとって今に生きる財産となっていることを、今回のテーマで描きながら改めて痛感した次第です。
そして山崎さんとお会いすると、あの頃の、馴れ合いを嫌う先生を前にしたときの二人の緊張感を、すぐ取り戻すことが出来、そういう意味でも自分にとって貴重な二人展となりました。山崎さんにも御礼申し上げます。
今回搬入時に、何もかかっていない白い壁を前にして、安西水丸先生と和田誠さんが毎度二人展のオープニングの際に「作品解説」と称して楽しそうに掛け合いをされていたことを思い出しました。そんな壁に自分たちの作品を展示できた喜びを胸に、また次に向かってまいりたいと思います。
信濃八太郎
 

 

Hattaro Shinano
 

 
http://spaceyui.com/schedule/yamazakishinano.html

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