OTA Minami 個展「アラブのお父さんを呼んでいる」

グラフィック的な構成で、シンプルかつシュールな作品が好評のOta Minamiさんです。
比較的明度の高い爽やかな色彩で表現された画面から、清々しい気配が流れて参ります。
若々しい感性のOtaさんからはこれからも目が離せません。

OTA Minam

イラストレーター。1995年生まれ、兵庫県神戸市在住。 大阪芸術大学デザイン学科グラフィックデザインコース卒業。 展覧会、ZINEの制作などを中心に活動。

Instagram https://www.instagram.com/ota_minami/
hp https://otaminami.work/
X https://twitter.com/o_tami0122

Q: 作品のアイデアは、どんな時にどの様に生れますか?
A:
普段の生活の中で見ていて気になったものから描いて、広げていくことが多いです。
グラスや置物もですし、角材(生活の中に角材ってあまりないと思いますが、私の部屋にはたくさんあります…)や外の建物などをチェックして描いたりしているうちに、テーブルの線を描き足して、窓を描いて…と、だんだん空間が出来上がってきます。現実的にある風景を描いているというよりは、空間の中でモチーフを置いたり動かしたりして遊ぶ感覚に近いので、遊んでいるうちに机の上の風景なのか、外なのか…?不思議な絵になっていって面白いです。

Q: 好きな演劇、興味のある舞台芸術がありましたらお話し下さい。良ければその理由も。
A:
チェルフィッチュ+金氏徹平さんの「消しゴム」シリーズが気になっています。演劇は、まず人間に起きる出来事や、人間という立場を通して「演じる」「観る」があり、劇に出てくるモノも、人が行うことを補足するために出てくるものだと思っているのですが、「消しゴム」シリーズは人もモノも対等に扱われて繰り広げられる演劇で、関係するもの全てに平等な考え方がとても好きです。でも日本であまり上演しないのです…。

Q:あなたの作品の表現方法や画材、モチーフやモデルへのこだわりについて教えて下さい。
A:
絵はデジタル上で描きますが、展示をする時は色の部分をジークレー版画+主な線をシルクスクリーンでプリントしたものをお見せしています。線まで全部ジークレーでいいじゃないか、とも思いますが、一番最後の仕上げで途端に絵が自分の手から離れてしまったような寂しい気持ちになってしまいます…。色と分けたレイヤーにして線を自分でプリントすると、インクが紙にのっている感じがよく伝わり、絵の見え方も大きく違ってきます。私はグラフィックデザイン専攻で大学を卒業しましたが、印刷好きがここにも現れているかもしれません。

Q:何か人と違う美術に関連する以外の才能があったら教えて下さい。し下さい。良ければその理由も。
A:
才能とまでは言い難いですが、絵とは別の時間で、言葉で遊ぶことも好きです。作品のタイトルにもなっている自由律俳句(詩)も、最初は絵のタイトルにしようとは全く考えずに、いつも乗っているバスの中やお風呂、トイレ(!)、布団の中で浮かぶ言葉や音律をiPhoneのメモに書き留めて、最後に詩集にする時に絵と合わせます。絵と合わせた時のイメージの膨らみ方や、全く関係のなさそうな言葉を合わせた時の発見を楽しんでいます。1つの本にする時が一番楽しい時間かもしれません。

Q:ご自分の作品と世界(社会)との繋がりについて、こだわりはありますか?
A:
自分とは離れた地で起きていることも、辿っていけば自分の日常で起きることと同じこともあり、きっと私の隣の人との間に起きていることなのだろうな…と最近思います。世界で起きることの全てを自分ごとにするのは難しいと思いますが、共感の入り口になっているのでは…。今回は机の上の世界に外の世界が入り込んでいる絵が多くなりました。きっと境目なんてないのだろうと思います。

Q:最近一番嬉しかったでき事は何でしょうか?
A:
昨年春、私の姉に子供が産まれ、もう少しで1歳になります。おばの立場で、ある意味無責任に(笑)子供をかわいがれるのですが、会うたびにできることが1つ1つ増えていったり、見せる感情がはっきりしてきたり、まなざしがふと大人のようにも思えたりして、たくさんの発見があります。この間絵本をプレゼントしたら、気になる色のページをじっと見たり、食べたりしてました(笑)

Q:13歳の時の夢は、今に繋がっていますか?
A:
13歳の頃は、絵を描く仕事か、小説家(!)になりたがっていたような記憶があり…今と思っていることはあまり変わらず、とにかく絵と言葉にまつわることをしたかったみたいです。

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