2025年1月27日(月)〜2月1日(土) 民野宏之追悼展
残念ながら昨年10月に亡くなられた民野宏之さんの追悼展を開催させて頂きました。民野さんとギャラリーの長い年月にわたる個展開催の思い出を、民野さんの奥様の倫子さんとギャラリーの人間が書かせて頂きました。

民野宏之
1956年生まれ。92年、スペースユイでの個展を機に、フリーで活動を始める。 以後、同ギャラリーで毎年作品を発表する他、札幌、東京、大阪を中心に個展を開 く。 主な仕事は書籍の装画、PR誌のカバーイラストレーション、挿絵等。
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札幌でsha paniという立ち飲みのBARをやっていました
日中に絵を描き
BARで好きな音楽をかけながら・・・
1991年
東京から友人が帰札
「東京で展覧会やってみようかな!?」
すぐにギャラリーを探してくれ
BARをやめ東京での初めての個展
SPACE YUIさんとの出会いのはじまりでした
それから毎年のように作品を発表させて頂き30年以上・・・
2024年
10月18日 お昼にお気に入りのお菓子を食べる
「今までずーっと絵を描いて過ごせたのは木村さんのおかげなんだよ」
10月26日 ちょっぴり晩ごはんを食べながら映画をみる
「あー 今日も一日楽しかった! ありがとね」
10月31日 民野宏之 画家 68歳 永眠
SPACE YUIの皆様
民野さんと出会ったたくさんの方々
本当にありがとうございました
民野倫子
この度は、30年間にわたり毎年個展開催をして頂いていた民野さんの作品の中から、残された作品の一部を皆様に展示発表いたします。民野さんは、本当に絵を描くことが大好きで、奥様の倫子さんと作られた作品のアーカイブには、当然ながら、驚くほどたくさんの作品が収められておりました。
2023年3月の個展終了後、数ヶ月たった頃、民野さんから「柄にもなく入院しています」と連絡がありました。嚥下時の違和感により検査後6月頃から入院、長期入院の後12月に手術を。その後先進医療と二度目の抗癌治療と、現在の通常医療としての治療を施しました。一時は快方に向かい喜びも束の間、残念ながら完治しませんでした。
ずっとお手紙やメールをやり取りし、きっと良くなってまた個展を開催して下さると思っていましたが、2024年10月に私たちは民野さんを失ってしまいました。でも本当には、失っている感じがどうしてもしないのです。
時代の風がどんどんシビアになっている季節に、民野さんの作品展が近づくとひとすじの清涼な風の訪れを、心待ちにしていたことが思い出されます。多くの方々に愛され少し困った笑顔の民野さんの佇まいも忘れられません。
静物画も風景画も室内の情景も、民野さんの手にかかると作品から魔法のように静謐な気配溢れるエネルギーが醸し出されました。
イラストレーターとしても、自然体なペースで素晴らしいお仕事を残され、印象的な仕事としては「わたしを離さないで」=カズオ・イシグロの表紙のイラストレーション、カミユやサルトルの著書の翻訳物の装幀、トルーマンカポーティや現代作家の表紙も飾りました。視覚で以って人の心を癒したり感覚をアップさせるのは、本当にたいへんなことと思いますが、民野さんの、清潔で知的で温かな作品は見事にわたし達に幸せな気分をもたらして下さいました。
今回の民野宏之 追悼展では、奥様の倫子さんのご協力なしには実現することができませんでした。
このような時期にご対応くださった倫子さん、民野さんのご友人、そして来廊いただきましたみなさま、どうもありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
木村秀代
