備前 天野智也作陶展「Elegant simplicity」
今年も岡山から備前作家の天野智也さんがいらっしゃいました。
山や野の花々、小ぶりの枝に咲く花や緑の葉も携えて楽しみな作品がたくさん到着です!
作品も人柄も素晴らしい天野さんは、年々ファンの方々が増えて毎日賑やかです。
研究熱心な天野さんの作品は、層土彩器等の天野さん命名のオリジナルな技法もあり、毎年新たな発見が楽しみです。
(層土彩器:掘り出した天然陶土の地層模様を崩さないよう1mmの厚さに成形した板状のものを別に成形しておいた器の表面に貼り付ける技法)
〈天野智也〉
1968年 三重県四日市市に生まれる
1989年 愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科修了
備前、永末隆平先生に師事
1994年 備前焼窯元陶正園勤務
2004年 岡山県赤磐市(旧熊山町)佐古に半地下式窖窯(あながま)を自作築窯する
2005年 初窯
2007年 岡山 ガレリア・プント個展
2008年 南青山 スペースユイ個展
2009年以降も毎年スペースユイにて個展開催しています。
Q. 天野さんの作品の表現方法や素材へのこだわりについて教えて下さい。
A.天然の陶土を掘り出し、薪の炎の熱で焼き固める技法『焼締』
その最も原始的な技法を連綿と続けている備前という焼物が岡山県にあります。
その備前を作り続けております。
材料となる備前土は数万年前に火山岩が風化堆積し出来上がった陶土。この陶土にはさまざまな鉱物組成が含まれております。焼成することにより化学変化を起させ、その組成の個性を作品に表出させることが制作の根幹にあります。
焼成に使用する赤松をはじめ数種類の薪。窯内で薪の炎に晒される作品には降灰による刹那的な色付けがなされます。それに加えて焼成時の窯内雰囲気の操作 、酸素量管理などにより多様な色味や質感を作品に出現さています。
Q. ご自分が一番大切にしていることを何でも!
A.作品制作、焼成を通し完成までに、釉薬や顔料、添加化合物を一切使用せず、
自然の素材だけを使って『器』を作っています。
『食』への安全性も然ることながら、自然の素材でのみ得られる折り重なるような
天然色彩の色斑も作品表現の重要な要素であると感じています。
なぜなら盛られる食材や挿す草花は、色も形もその瞬間のもの。
ひとつとして同じものはなくそして天然の色。
色斑のあるもの同士は相性が素晴らしくよいのです。
その自然のものたちを心地よく受けとめる形や質感、色彩をまとった『器』を作りたいと思っております。
今回のタイトルにあります『Elegant simplicity』にはそんな想いが込められています。
Q. 好きな食べ物や料理についてお話しされたいことがあればお話し下さい。
A.刺身や丁寧に作られたソーセージが好みです。備前に盛って映える食材でもあります。
Q. 天野さんのお好きなアーティストは?
A.ダリやマグリットに魅かれています。
Q. 好きな音楽、ミュージシャンなどについてお話し下さい。良ければその理由も。
A.音楽ではありませんが、古今亭志ん生の落語を聞きながら陶器を製作する事が多いです。