Ota Minami さんへのインタヴュー

関西で活動されているOtaさん、初日には雪に見舞われました!
シンプルなポップなラインと色彩で表現された作品は、日常とその向こうの非現実を描いていて、不思議な、そして前向きな精神に溢れていると感じます。
作品に添えられた短めの文学的なタイトルも作品と一緒に楽しむことができました。
これからがとても楽しみな作家さんです。

Ota Minami
イラストレーター。
1995年生まれ、兵庫県神戸市在住。大阪芸術大学デザイン学科グラフィックデザインコース卒業。シンプルな線で、かわいさの中に少し不思議な空気がただようようなイラストレーションを描いています。
一見関係なさそうなモチーフの組み合わせで不思議な雰囲気からまた新しい想像が出てくることに興味があり、その感覚が伝わったらいいなと思いながら描いています。最近は自由律俳句・落語が面白くて見たり聞いたりしています。

Q. どんな小説を読まれますか?また、好きな小説家はいますか?良ければその理由も。
A. 
ミステリー小説のように事件が起きて問題を解決していく内容や、ハッピーエンドなりバッドエンドなり最終的に物事がはっきりとするような小説より、特別なことは起きないけれど、日常の中のささやかな物事で変わっていく繊細な感情が描かれている小説を読みます。

レイモンド・カーヴァーの小説が好きで読むのですが、淡々とした文章にうっすら漂う不穏な空気と絶望感、でもユーモアもあり、希望もあったりするのがどっしりと伝わってきます。何も起きてないのだけれどたくさん起きている、わたし的にはもうそれだけでミステリーのようです…。

Q. 好きな音楽、ミュージシャンなどについてお話し下さい。良ければその理由も。
A. 
今回の個展でも空間のBGMにしていますが、蓮沼執太さんの音楽が好きです。電子音や日常や街でサンプリングした環境音を使ったりするのですが、音の世界を自由に軽やかに行き来しているようで、聞いていてとても心地が良いです。

窓ガラスやテーブルのグラスを通して変化する光の形、一瞬で通り過ぎる自転車の車輪の音、公園で子どもたちが遊ぶ声、セロテープを切る音…色々な生活のかけらがありますが、全部大切に集めたくなります。
絵を描く時、たまにBGMにして描くと、気持ちの良い線が引けたりします。

Q. 好きな食べ物や料理についてお話しされたいことがあればお話し下さい。
A. 
卵が好きで、どんな形状になっても好きです。生、半熟、卵焼き、あんかけ、そぼろ…。
プリンなど、卵の形がない料理に変わっても大好きですが、やはりできるだけ卵の味を感じたいので、一周回って卵かけご飯が一番好きかもしれません。
最近はお休みの日の朝にスクランブルエッグを作るのが好きで、写真で記録しています。塩はこれくらい、火かげん、かき回す速度…毎度いろいろ変えてみて、どうしたら一番美味しく作れるかを考える「ひとりスクランブル研究会」をしています。
(ですがものぐさなのでメモはしない)

最近カフェに行ってモーニングのスクランブルエッグを食べたのですが、「自分で作る方がじょうずかもしれない…!」と偉そうに思ってしまいました。
しかし安定した味を作るには程遠いので、研究はまだまだつづきます…。

Q. 行動を起こす時、自分の直感を第一に考えますか?その時人々の視線の影響はありますか?
A. 
基本的に難しいことがあまり考えられないので、「これ面白いな、やってみようかな~」と思ったらその気持ちを軸として、ひとりで計画を練っています。
ただ、人から言われることにも影響されやすい性格で、人の視線があるところではそもそも何もできないし、動けません。聞きたい話だけ都合よく受け取り(ずるい)、あまり人々の視線が届かないところで物音立てずにコソコソやって、できた後事後に報告します。
「あれ?いつの間にそんなことやってたの?」とよく言われます。

Q. 生まれ変わったら就きたい職業は?
A.
落語家です(ビックリ)。
登場人物ごとに演じ分けて(しかも噺家ごとに雰囲気が全然違う!面白いです)、聞き心地の良いセリフをリズムよく話して、お客さんも面白がってくれる芸能が日本独特で残っていることが素晴らしいなと思います。最近「落語って音楽に似ている気がする…」と思います。深い世界…
もっとも、現世の私はウィットに富んだことも言えず、自分がする話すらオチがありません(笑)。来世に期待を込めて、今はいろんな噺を聞いてケラケラ笑っておこうと思います。

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