水沢そら個展「逍遥する光」
水沢そらさんの、今年の展示もクオリティーの高い見応えある作品ばかりでした。
今回、昨年出版した漫画書籍「ちゃっくん」を置かせて頂きましたが、読んでみて大感激！
青年（そらさん）と猫のちゃっくんとの日々の生活を描いたものですが、そらさんのちゃっくんになり切った観察眼には脱帽！そして、本はいつものイラストレーションのように始まって、だんだん独特なスタイルの漫画へと進んで参ります。
生命力溢れるちゃっくんとの日常を描いていても、単に楽しさや面白さに止まらずに、静謐ささえ感じられる普遍的な表現へと連なっている感覚に、水沢そらさんの大きな力量を感じます。
その様な観点からも、新たに水沢そらさんの表現世界への興味をそそられる感慨を覚えるのでした。
北海道函館市出身。東京都在住。
書籍装画や広告、音楽ジャケットなどの分野で活動中。
主な近年の仕事としてアリ・スミス『四季四部作』（新潮社）
装画、『暮しの手帖』（暮しの手帖社）
表紙、洋菓子ブランド『ネコシェフ』（株式会社シュクレイ）へ、パッケージ含むブランドイメージ全般にアートワークを提供。
また初の漫画作品『ちゃっくん』を大阪のブックレーベル東南西北kikenより2022年8月刊行。
Q. 作品を通して、人々にどの様なメッセージを伝えたいですか？
A. 特にないですが、自分の作品を気に入って下さったそなたかのかけがえの無い日々に寄り添えていたら嬉しいです。
Q. 好きな画家、イラストレーターは誰ですか？良ければその理由も。
A. たくさんありすぎて書ききれませんが、パッと思いつくのは海外ですとHenry Darger、Raymond Petitbon、Gerhard Munthe、90年代〜2000年前後のRita Ackermannなど。
国内では鈴木春信や歌麿などの美人画の浮世絵師、小村雪岱、竹久夢二、宇野亞喜良さん、伊坂芳太良さんなどでしょうか。
人物、とりわけ魅力的な女性をお描きになる方々に惹かれてしまうようです。
Q. どんな小説を読まれますか？また、好きな小説家はいますか？良ければその理由も。
A. 佐藤泰志。もうお亡くなりになっていますが、同じ函館出身（というのもおこがましいのですが）の作家です。
別に函館だから好き、というわけではないのですが、はじめて読んだ時にこの方の表現される人間の心の機微に衝撃を受けました。
Q. あなたの作品の表現方法や画材、モチーフやモデルへのこだわりについて教えて下さい。
A. 基本的には顔彩や透明水彩を使用して制作していますが、
個展を開催する際にはいつも何か新しい技法を試してみるように心がけています。
Q. ご自分の作品と世界（社会）との繋がりについて、こだわりはありますか？
A. オリジナル作品を描く場合はあまりないです。
ただ仕事でご依頼された作品を描くときは意識して社会性や普遍性を持たせるようにしています。
Q. ご自分が一番大切にしていることを何でも！
A. なるべく謙虚に生きていけたら、、、と思っていますが、
毎日が後悔の連続です。。。
Q. 作品の創作に繋がる印象的な夢を見たことはありますか？
A. 具体的には覚えていませんが、夢で面白いアイデアを見たときは起きた瞬間にメモしておくようにしています。
しかし後で見返すと、大概は意味不明な文章で理解できません。
Q. 特に好きな国や都市、風景や場所はありますか？良ければその理由も。
A. オーストラリア、メルボルンが好きです。コンパクトシティで歩きやすいのと、
古いビクトリア様式の建物が現役で使われているのが理由です。あとは故郷の函館です。
Q. 会いたい人は？ 身近な人でも、著名人でも、歴史上の人でも誰でも。良ければその理由も。
A. 人ではないですが、一昨年天国へお散歩に出かけた愛猫、チャビーにとても会いたいです。
そしていつか必ずまた会えると思っています。
Q. 謎の不思議体験がございましたらぜひお話し下さい。
A. 一時期、数年に渡ってよく見ていた夢の話ですが、
僕は夢の中でよく同じ坂を歩いていた時期がありました。
そしていつも僕は今自分が夢の中にいることを認識していながらも、坂の途中にある古い民家へ毎回入っていくのですが、
その薄暗い部屋の中には見たこともない人々の写真（遺影？）が鴨居の上に飾られていて、その重苦しい空気に耐えきれず、
僕はいつもこの家の裏口から後ろめたさを感じながら立ち去るのです。（この時点で体は金縛りになっています）
しかしある日、夢の中でまたこの家に行った時、玄関は板張りされ、窓という窓も雨戸が閉まり、
全ての出入り口が固く閉ざされており、その家には絶対に入れないようになっていました。
そしてそれ以降、この家が夢に出てくることは二度と無くなりました。
Q. 生まれ変わったら就きたい職業は？
A. 心理学者か、映画監督。もしくは小さい居酒屋を経営したいです。
